ナガイモがんばれ
ナガイモが芽を出していた。
実は先日、草刈りをされた場所だ。
ナガイモが芽を出し、元気にツルを伸ばしていたのに、公共の場所なので業者が草刈りをした。きれいに刈られ、すっかりナガイモのツルがなくなっていた。それなのに、どっこいナガイモは生きていた。
新しい芽を出したのだ。負けてたまるか。
実は実は、このナガイモは私が、ナガイモのムカゴをまいてから芽を出すようになったものだ。
山へ行くと、歩道に自然薯の小さな芽がいっぱい出ている。歩道だから、これ以上大きくならずに消えていくんだろうなと思った。
周りを見ても自然薯だらけにはなっていない。
がんばって芽を出したのに消えていくのは寂しいなと思った。別の場所で増やしたいなと思った。
自然薯はムカゴで増えるので、自然薯のムカゴをまけばいいけど、近くに自然薯がないので、おんなじ仲間のナガイモのムカゴを家の近くでばらまいた。
蛍やメダカが減っていくので、それを増やそうとしても、その場所の蛍やメダカと遺伝子が違うので、勝手に放流したりしないでくださいということだけど、ほっておけば蛍もメダカもいなくなる。
次の世代に蛍やメダカを伝えたい。
という思いで、ニホンタンポポやシロバナタンポポの綿毛を飛ばして歩いたことがある。もちろん自生地の近くの草原へ。
近くなら、別の遺伝子をばらまいたことにはならないだろう。
ニホンタンポポの生息域は、ちょっと増やしたと思う。
シロバナタンポポはなかなか芽を出さない。
やっと芽を出し、白い花を咲かせたところで草刈り作業にぶちあたった。草刈り作業をしている人にとっては、タンポポはタンポポで、在来種だろうが白い花を咲かせていようが全部同じ雑草。
自然を楽しむ目を、子どもたちには持ってほしい。
ニホンタンポポとセイヨウタンポポの違いも知ってほしい。
ナガイモは栽培種なので、野生ではそんなに生存できないと思っていたが、昔、別の場所にまいたムカゴからできた苗は数年芽を出し続けていた。
それでも、やっぱりいつの間にか消えていた。
その後、数年前にまいたムカゴからできた芽が、今回草刈りにあった。
草刈りにあったけど、新しく芽を出した。
消えたと思ったけど、どっこい生きていた。
これからツルを伸ばし、草刈りにあうこともなく成長し、茎にムカゴをつけ、それを地面に落とせば、来年も新しい芽が生まれる可能性がある。
新しい子孫を残せる。
自然界を無視した自分勝手な自己満足だろうけど、それでもナガイモが野生の中で生長するのを期待している自分がいる。
不安定な生だけどがんばって生きようとしている。生きる姿に力をもらえる。
がんばっているから私も元気をもらえる。
ただ生えているだけだけど元気をもらえる。
今日も青い葉を輝かせていた。
がんばれナガイモ。