ニート、東北へ行く~東日本大震災ボランティア記⑦~ 二十四~
以下の文章は3度のボランティア体験について2011年5月~12月にかけて当時書いたものです。
二十四・最後の夜
商店街から帰って来て、最後のリーダーミーティング。明日の予定の話があってから、今回のボランティアを、チームを振りかえってのことばを、各リーダーが話していく。あるリーダーさんは被災者の方々のことを思って、こらえきれず泣いていた。胸をつくもの。きっといろいろある。そんななか、チーム番号最後でトリ(笑)の私が話し始めたのは、悲しくも事実のケガ報告。しかも作業外って。
そして、だ。私は勝手に自分のことを話しだす。ただ、行くしかないって自己満足のために来たこととか、あたし自身の境遇のこととか、人のことまで考えられないあたしだから、チームで過ごしたことは言わずに、ただ話しつづけた。勝手にちょっと泣きそうになりながら。場違いだってわかってた。それでも、言わずにいられなかった。自己満足。青さ。いいわけ。に溢れたことばたち。あたしのことばたち。さびしがり屋のことばたち(安藤裕子だね。)。付け加えるように、メンバーへの感謝。ほんとはもっと口にしていいはずなんだけど。ごめんね。あたしは相も変わらず自分のことで精一杯なんだ。
最後は誰かに伝えることができたらいい、とかなんとか言った。これからに繋がる何かを、自分の道を探していた。
ミーティング終了後、メンバーの一人が明日のバスについておかしいってADさんに言いに行く。確かに17時に帰れるグループと、専修大学に寄って引き継ぎのある他のチームを乗っけるため、20時に帰るグループがある。しかも遠くから来てる兵庫、名古屋チームが20時帰り。それはおかしいんじゃないかって不公平さをただ問いただしていた。その姿がかっこよかった。俺ときたらただの付添いでした笑。それで、何が変わるわけじゃなかったし、言い訳になるけども、逆にこの時間を有効に使ってほしいとか言われちゃったけど、そう己がある感じ、なんかいいと思ったんだ。ってか己を持ってんだよね、ここに来てる人って。俺がないだけか?ってかなくても来れる。俺が来れたんだから誰でも来れる。と強引に締めておこう。
名残惜しさ?にふらついてたら、2日ほどお世話になったLLさんに会う。ちょっと立ち話。「一生懸命なところは必ず伝わっているから。」って言ってくれた。「変わった。」とも。うれしい。やっぱねぇ、そればっかりってかその為じゃいけないって思うけど、誰かに見ててもらえるってのはうれしいことだ。泣きそうになる。最後に握手した。なんかわかんないけど、あたしは喋るのが苦手だからってか、最後に握手したがる。なんかふれあっておきたいんだ、目の前の人と。
それから、最初に我々にいろいろ教えてくれたLLさんに会う。彼も一度帰るという。それで、寄せ書きをノートに書いた。LLさんの「大丈夫すか?」で何度救われただろうか?声をかけてくれる誰かがいるってことで、最初の数日、乗り越えられた気がするんだ。結局自己確認だよなぁ、いるってわかんなきゃやってられないのか?
ってなぜおまえは最後にDragon Ashを引用する?「with smile on the face waiting for the grace.」って。使いたがりね、このことば。 「頬笑みを持って恩恵を待とう。」あたしの気持ち。きっといいことある。この場所の人たちに言えないけど、ただ強く願うんだ。何も変わりなんてしなくても。やっぱり握手。力強かった。
最終日は日記なんて書いて自分に浸ってる場合じゃない、と。LLさんや、メンバーや、今日はじめて話した子となんでもないおしゃべり。ってときどきパフェが食いたくなるってなんだ?俺の発言・・・。家に帰ったら、何がしたい?なんだろう・・・。
消灯は23時でちょっと遅くしてくれたけど、電気が消えるまで何かしていた。明日、僕らは帰る。
Landscape:Dragon Ash
二十五・カスカを去る前に
出発の朝です。
6時まで消灯時間なんだけど、4時ぐらいから帰り仕度してる人多数。目覚めて外に出ると曇り空。昨日初めて喋った方にあいさつ。
この一週間があっという間だったと感じている。そしてそれは私にとって、この経験がいいことだったってことなんだろう。
って俺も帰り支度しなきゃ。詰めていく。一週間分の下着を再び詰める。出たゴミもつめる。そう持って来たもんは全部持って帰るのが基本。予備用だった水とか、食べなかった缶づめとかは提供したけれど。ってか荷物減らすために置いていったっていうのが正直なところ。ピースボート的にはどうなんだろう?積極的に置いてってとか、それで嬉しいとか、いう感じではなかったからなぁ・・・。
あ、一つだけやってしまったことを。貼るカイロですが、数日前、貼って出歩いている間にはがれて紛失。誰か拾ってくれたかなぁ・・・。
ってチームメンバーの視線の先には・・・あっ食事で出たゴミが入った袋・・・生ゴミもあるよね?よしっ仕方ないぜ、みんなで分けよう!ってな感じで一部をまた詰め込みました。
準備も終わって、最後の集合。ADさんやスタッフさんからのこの一週間の感想。
それから、黙祷をした。石巻の、いや、この大震災で亡くなられたすべての人へ。知らないうちに涙がこぼれていた。張り詰めていたものが切れたのだろうか?このわずか一週間でいろいろあったことを思い出したのか?ただ亡くなられた方を直接的に思ったのか?わからない、わからないけど、ただ涙が止まらなかった。
泣くことを恥ずかしくないように生きたいなって思う。それが私なんだから。でも、やっぱ隠しちゃっている。
お世話になったカスカ・ファッションを掃除です。リーダー集まり、話しあって場所の分担。それぐらい勝手にできるってことだ。どのくらいまで、掃除するかってのも、お任せだ。大人なんだからってか。「あなたの気持ちがその程度なら・・・。」という山田里見先生(TRICKより)の御御言葉を思い出す。
それなりに一生懸命、外のゴミを拾う。ってか埋まってる。携帯電話の部品がまぁ埋まっている。実はここも掘ったらまだ出てくるのではないか?などと思った。
掃除も終わってまたLLさんやいろんな人とお話。昨日、サヨナラな感じで握手までしてるのでなんか変な感じ笑。もう一週間残るおとといから一緒に作業した別チームのリーダーさんと握手。「また来れたら来ます。」ってなんか中途半端なことばだな、俺・・・。その方は新しくきた企業さんと、昨日俺たちが作業していた御宅に向かうらしい。そう、続いているんだ。
直東京行きの1台目のバスを見送り、しばらくしてから来た2台目に俺たちは乗り込み、専修大学へ出発。さよなら、そしてありがとう、カスカ・・・っておまえが感謝するのは建物にかっ!?
二十六・日和山
専修大学に着き、待機。俺たちは引き継ぎのあるデリバリー班やキッチン班等を待つのだ。その間にトイレに向かうと、そう1週間前の我々がいた。今日から作業するボランティアの方々が説明を受けていたんだ。こうやって繰り返されていく。でも、なんか人が俺たちのときより少ないような気がした。大変だろうけど、行って欲しいなって思う。
前にも書いたけど、だからここに記していくのさ。綴っていくのさ。ダメ人間のボランティア記を。俺でも行ったぜ、来てみないかって。
それもボランティアの使命なんだと思うのさ。伝聞すること。忘れていた誰かの心にそっと火をともすような(なんかミスチルでこんなのあったような。)。それができるかはわからないけどただ発信していく。
ピースボートのスタッフさん現れ、日和山に俺たちを連れて行ってくれるという。まぁ当然だぜ笑。俺たちゃ待ってんだし。正直俺は調べ不足で知らなかったんだけど、津波に遭ったとき、住民の方々が逃げてきた場所だという。ニュースでもよく流れていたって。
着いたころから降り出していた雨の中、バスは出発した。気を抜いていた僕は居眠りをし、最終列の座席だったため、出っ張っているものに頭をぶつけた。なんだかんだで今でも痛い笑。
日和山到着。階段を上って最初に感じたもの。それはにおいだった。あれ、おかしいと感じた。表現の仕方がわからない。どう例えていいかわからないけど、おかしかった。雨のせいだろうか?
見渡す石巻の街並み。荒廃した中に無事だった建物が見える。雨と霧で遠くははっきりみえない。このにおいもきっと向こうから流れてきているんだろう。思い知らされるんだ。まだまだはじまったばかりだということを。もう3か月になるけど、まだまだこれからだってことを。この無事だった建物の方が少なくて目立つってことに心引き締めるんだ。ここで迷ってた思いが消えたのかな?また来ようって。
ふっと視線を落とせば、献花がしてあった。この地が、この生きるために登った此処こそ、祈るための場所になるんだ。
ここには神社もあって、鳥居があった。神様は・・・なんて何も言えないけど、ぼくは何を思えばいいのだろう?今年の始め、大学時代の友人と三輪山に登って感じた何か、空気感が変わった何か、不思議な力を感じたのに。本当に困ったときに、すべてを丸投げ出来る神様がいないぼくら日本人は、どうしたらいいのだろう?ってか此処の人達は。力強く生きるしかない、がんばりすぎるしかない人たちに、何か・・・。そして、そんななか、がんばれない人たちがいて、悪いことしてしまう人たちがいて、でもそれをただ一方的に責めれるはずもなくて。信じれるものがないってことは実は悲しいことなのかもしれないな。
なんか宗教的になってるので今日は終わろう。無宗教のあこがれ野郎が綴ったところで何にもなんねぇ。
ああっ、これだけは書いておこう。日和山には売店があって、石巻焼きそばとか食べ物を売ってんだ。そこのおばちゃんは震災後もずっとお店を開き続けているんだ。
365日:Mr.Children
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