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Still Crazy After All These Years:Paul Simon

リアルタイムではないのですが、中学生の時にサイモン&ガーファンクルが好きになりました。

ポール・サイモンのギターの音に魅了されたのもあるのですが、詩も大好きでした。英語がよく分からず聴いていたのですが、例えば「サウンド・オブ・サイレンス」って何だ?「静寂の音」ってどういう意味なんだ?なんて考えたこともありました。サイモン&ガーファンクルの「ボクサー」や「アメリカ」。ソロになってからの「アメリカの歌」の詩は心打つものがありました。この曲もそうです。

高校1年(1982年)の5月に、サイモン&ガーファンクルは再結成して来日しました。絶対行きたかったので、私は入ったばかりのクラブをサボって後楽園球場のコンサートに行き、生のサイモン&ガーファンクルを見ました。大好きな「アメリカ」や「アメリカの歌」そして、「時の流れに(Still Crazy After All These Years)」、「追憶の夜」も演奏しました。感動でした。バックにはスティーブ・ガッドやアンソニー・ジャクソン、リチャード・ティーなど、当時のニューヨークでの最高のミュージシャンで固めていました。

■Still Crazy After All These Years(1975年)
同タイトルアルバムの1曲目で、のちにシングルカットになりました。
邦題は「時の流れに」ですが、直訳すると「何年たっても、まだ狂っている」です。とても気持ちが分かるラブ・ソングです。当時凄いタイトルだと思いました。

昔の恋人との再開を通じて、自分の気持が昔と変わっていないことをちょっと自嘲的に歌っています。とにかく、この詩の表現が好きです。「英語の詩」をリアルに感じたのがポール・サイモンが初めてでした。英語を覚えたての、拙い中学生でも素晴らしさが直感的に分かりました。

サウンドはとてもシンプルなアレンジです。ほぼ、エレクトリック・ピアノとベース、ドラムだけです。間奏でブレッカー・ブラザーズのマイケル・ブレカーのサックスが入ります。このソロも泣かせます。ニューヨークにサックスの音が良く合います。ちなみにビルボード・チャートでは40位とスマッシュヒットです。

<クレジット>
Arranged – Bob James
Bass – David Hood
Drums – Roger Hawkins
Electric Piano – Barry Beckett
Saxophone – Mike Brecker

■フィル・ラモーン
この曲はポール・サイモンと共同プロデュースがフィル・ラモーンがクレジットされています。フィル・ラモーンといえば、ビリー・ジョエルを成功にのし上げたプロデューサーとして有名ですが、以前はサイモン&ガーファンクルの要請を頑なに断っていたそうです。でもポール・サイモンがソロになってからやっと折れたのでしょうか、プロデューサーやエンジニアで関わっているようです。アート・ガーファンクルもソロになってから、アルバム「ウォーターマーク」(1977年)でフィル・ラモーンがプロデュースしています。

後楽園球場でのコンサートでもニューヨーク・セントラルパークでのコンサートの流れで、フィル・ラモーンが関わっていました。ビリー・ジョエルの盟友ギタリストのデヴィッド・ブラウンも後楽園球場のコンサートでクレジットされていたので、この人選もフィル・ラモーンの流れではないでしょうか。

時の流れに(※以下AI訳)
作詞作曲:ポール・サイモン

昨夜、街で昔の恋人に会った 彼女は私に会えてとても嬉しそうだった
私はただ微笑んだ そして昔のことを少し話した ビールを飲みながら
これほどの年月を経ても、まだ狂おしい
ああ、これほどの年月を経ても、まだ狂おしい

私は社交的なタイプの男ではない 昔からの馴染みの方法に頼りがちだ
そして恋の歌に騙されるほど愚かじゃない 耳元でささやく歌に
これほどの年月を経ても、まだ狂おしい
ああ、これほどの年月を経ても、まだ狂おしい

朝の4時、へとへとに疲れて あくびをしながら、人生を切望している
心配なんてしない、する必要があるのか? 全ては消えていくのだから

今は窓辺に座って 車を眺めている
いつか大変なことをしでかすんじゃないかと恐れている
でも、私の仲間たちの陪審員に
有罪を宣告されることはないだろう
ああ、まだ狂おしい
まだ狂おしい これほどの年月を経ても、まだ狂おしい

後楽園でのコンサートでは、ポール・サイモンは読売ジャイアンツの帽子を被って登場していました。

その後、甲子園でのコンサートでは阪神タイガースの帽子を被っていたそうです。誰かの入れ知恵だと思います。ポール・サイモンは生まれも育ちもニューヨーク、生粋のニューヨーカーなので、大ヤンキースのファンです。ヤンキースの帽子で良いのに・・・。当時、読売ジャイアンツにヤンキースからホワイトというトップメジャーの助っ人が来ていて、ポール・サイモンは「何でこんなところにホワイトがいるんだ?」とびっくりしたそうです。余談でした。


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