Freddie Green [guitar] - その1

エレキギターといえばエディ・ヴァン・ヘイレンやジミ・ヘンドリックスなど、派手なギターソロを思い浮かべる人は多いと思います。もちろんソロギターは良いですが、ギターの魅力はそれだけではありません。

フレディ・グリーンは私の大好きなギタリストの一人です。
カウント・ベイシー・オーケストラのリズムセクションの最重要人物で、同楽団のサウンドの要になっています。カウント・ベイシー(pf)、ジョー・ジョーンズ(d)、ウォルタ・ペイジ(b)を加えた4人は結成初期のオールド・ベイシー時代、ジャズ界最高のリズムセクションとして「オール・アメリカン・リズム・セクション」と呼ばれていました。

プレイスタイルはひたすら4つ刻み。至ってシンプルに聴こえますが、昔、友達のギタリストが「フレディ・グリーンは同じコードでも、ポジションを変えたり音を加えたりして、4つ刻みのコードポジションを微妙に一つ一つ変えてくるんだよ。」と目を輝かせて語っていました。二人で「すげーな」と言い合っていたことを思い出します。

■使用ギター:ストロンバーグ・マスター400
19インチの超ドデカ・ボディサイズで、ノンカッタウェイ。
fホールのフルアコタイプです。

ギブソン「ES-175」が16インチ、ギブソンのフルアコで最大ボディサイズの「Super400」で18インチなので、比べてみると大きがわかると思います。ピックアップはなく、弦の太さは0.014〜0.059のブロンズのヘビーゲージ、弦高がものすごく高く7.6mm一番高くしたときで10,0mmだったともいわれています。ちなみに、島村楽器サイトによるとオススメとして、ライトゲージ(0.010〜0.046インチ)、14フレット上で1弦の弦高が1.5~2.0mm、6弦で2.0~2.5mmを基本値としているると書いてありますので、比べてみてもフレディ・グリーンのギターセッティングの特異さが分かります。

フレディ・グリーンはジャズオーケストラの中で弾くことが多いので、管楽器に負けないよう超ドデカボディに弦高を鬼のように高くして、ブッ太い弦を張って対抗していました。それもピックアップも付けずにですよ。こだわりが強すぎる。

左足を上にして組みボディを寝かして弾く独特の奏法で、フレディ・グリーンいわく「こうすると音がどこまでも遠くへ飛んでいくんだ。」とのことです。ピッキングは、初期('30~40年代)の速い曲においては1・3拍をアップ、2・4拍をダウンピッキングで弾いていたりするものの、後年はすべてダウンピッキングで弾いていたそうです。音も2音か3音を鳴らすようにして、時にはシングルノートで弾くこともあったようです。

ピックアップやマイクを通さない生音はどんなに大きな会場でもよく聴こえたといわれています。フレディ・グリーンの音量はバンドの基準であり、「各プレーヤーがギターが聞こえる音量で吹く」といわれ、カウント・ベイシー・オーケストラの独特のサウンドが出るのだそうです。

そういえば、娘が小学生時代ビッグバンド・クラブの在籍したときに、カウント・ベイシー・オーケストラの「Jumpin' At The Woodside」を演奏していました。上手かったのですが、ギターが入っていなかったので物足りなさを感じました。「ギターがないのはベイシーじゃない。ベイシーになっていないな」とひとり呟いたことを思い出します。小学生相手に、こんなこと思うのはダメですね。でもひとりごとで呟いただけで、誰にも言っていないので良しとしてください。

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