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chapter1-6: 湘南リゾートパーク


「姫野先輩だろ? 学園の有名人だぜ」
椅子を脚立代わりにしながら、カメは当然といった感じでそう答えた。昼休みの廊下、カメの手伝いで学内の掲示板に彼の部活が作った【桜山学園新聞5月号】を貼っていく。B2サイズの1枚の用紙に、学園の様々な情報が記載されている。各フロアや体育館入口や部活棟にも貼るらしく、絵美里も押しピンやガムテープを必要に応じてカメに手渡していく。
「私だって知ってるよ、学園の超問題児って感じで」
「そんなにヤバいのか?」
「ヤバいなんてもんじゃないよ、あの生徒会長と正面からやりやってんだから」
生徒会長、と言われて先ほどの鋭い目をした黒髪の少女の姿を思い出した。
「あの、って言われてもオレよく知らないんだけどさ、生徒会長の事。あの人ってそんなに怖いの?」
そういうと上辺を留め終えたカメが椅子から降りながら、少し語気を荒げつつ話す。
「生徒会長の佐倉千歳。この学園の一切を取り仕切ってる女王ってところだな」
女王――どこか嫌味な言い回しだ。
「流石に盛りすぎじゃないか、女王って……たかが生徒会長なんかにそこまでの権限はないだろ?」
オレが疑問を口にすると、絵美里が苦笑いを浮かべながら解説が入る。
「それがそうでもないんだよね、佐倉先輩だと」
「どういう事?」
「佐倉先輩って、学園理事長の孫娘なのよ」
そう言って指先で頬をかく。
「――へぇ、学園の親族関係者なのか」
「そうだぜ、それで生徒会長やってるみたいなところあるしさ。結構無茶な事もやってくれちゃってるし」
カメはそういうと、ちょうど貼り終えた新聞の一部を指さす。
「ここの記事、見てみろよ」
メインは先日のサッカー部練習試合だが、サブの記事の中、紙面で一番左下のスペースのところの記事を指さしている。タイトルは【生徒会による部活動縮小提言に対して】とあった。
「これは?」
「去年の春、つまりオレ達が入学してすぐに今の生徒会長になったんだけど、それから部活がどんどん縮小されてんだよ。活動内容を精査されて、潰れたり統合されたりして、とにかく部活がガンガン減ってる」
さっと記事をななめ読みしてみると、カメが言っている事と同様の内容、そしてそれに対する抗議、反対論が熱く書かれていた。
「数もそうだし、もちろん部活の数が減ってるから部費の予算総額も結構減らされててさ、結構生徒側からの文句もあるんだけど聞く耳なんてもっちゃいない。ありゃ独裁だよ独裁」
「……独裁って……」
「まぁ翼にはまだわかんないかもしれないけど、言い得て妙なんだぜこれが」
そう言ってカメは苦笑する。
学園新聞に再び目をやる。そこには、部活動の活性化に対する提言と、生徒会による部活動縮小への明確な批判が込められている。


「でも、なんで生徒会が部活の縮小なんてやってるんだ?」
カメに聞いたつもりだったが、横で聞いていた絵美里がその問いに答える。
「それはさ、桜山の大学進学率を上げたいんだよ」
「……はぁ? なんで進学率?」
「翼が前にいたDGTと違ってさ、ここ桜山学園って結構ヤバいんらしいんだよね、新入生の確保が」

それはちょっとわかる。というか、特定の学校に限らない社会問題だ。少子化は止まる事を知らず、生徒の定員を確保できない学校の統廃合はよくニュースになっている。

「桜山学園って歴史はそこそこだけと実績というか、部活も勉強も普通でさ。なんか中途半端だし、部活もパッとしたのないし、進学率もほどほど、立地も別にいいわけじゃないし……桜山って詰まる所なんにも特徴ないんだよね」
「――だから、進学率を上げて、って事か」
「そうみたい、経営方針として分かりやすく学校の価値が上げたいんじゃないかな。休日の補習なんかも力入れ始めてるし……」
カメが憤りを抑え込むように、舌打ちをしながら補足する。
「それに合わせて、生徒会が大した成果をあげてこなかった学校の部活動を一斉に粛清したわけさ」
なるほど、そういった方針で姫野先輩の部活も早く無くしてしまいたいって事なのか。
「あっという間に部活の活力がなくなってさ、残っている部活もみんな消沈気味なわけ、やる気出るわけねぇよな。あのクソかいちょ……」
言い掛けて、カメはとっさに口を紡ぐ。オレ達の傍に、1人の男子生徒が立っている。
「クソ、なんですって?」
ニヤリ、と口角をあげてカメに問う。朝、旧部活棟で出会った生徒会長の後ろにいた背の低い少年だ。
カメはあからさまに機嫌が悪くなる。
「ちっ、なんでもねぇよ。あっちに行ってろよ」
「いやいやいやいやいや、言いたい事があるのならちゃんと言ってくださいよ。私からちゃんと会長にお伝えしますので」
バチン、という空気がはじける音が聞こえた、ような気がした。瞬間、空気が変わった。したり顔で続けるその少年に、カメのスイッチが入ったらしい。
「子本、テメェ、調子に乗るのもいい加減にしろよ?」
ドスのきいたカメの声に、それまでニタリとしていた少年の顔が凍る。
「ヒッ……! な、おま、副会長に向かって……」
「うるせぇよ、なにが副会長だ。てめぇ1人で何かできんのか? あぁ?」
「くっ……!」
高身長に赤髪とピアス、ドスを利かせた声で睨まれれば本能的に後ずさるのも無理はない。そんなカメの顔面迫力に圧されたのか、何も言い返す事なく、副会長だというその少年はこの場所を後にした。視界から少年が消えると、絵美里が心配そうにカメに声をかける。
「カメ、大丈夫なの? アイツにあんな事言って。報道部に迷惑かかるんじゃ……」
「大丈夫だろ。あんな小物、どうにでもなるさ。ウチの部長がそう簡単に圧力にどうこうなる事はないだろうし。しっかし子本の野郎、最近ホント調子に乗ってんな……」

2人の会話を聞きながら、あれが生徒会の副会長なのかという所までは理解した。
「なぁカメ、アイツはなんなんだ?」
「アイツ? あぁ、子本な。副会長って立場に寄生しているだけの、大したことないクズだから。気にすんな」
同学年という事は、同じクラス……じゃないな。さすがにクラスが同じなら顔を見た事ないはずはない。そうだとすると2学年は2クラスだから、もう1つのクラスなんだろう。
「まぁでも気を付けろよ翼。生徒会長本人に目を付けられると、この学園じゃ色々と厄介ってことさ。黙ってりゃ相当な美人だしもったいないんだけどな、でもアレはダメだ」
カメはそうオレにアドバイスをすると、次の場所に向けて、椅子と筒状に丸めた学園新聞を持って移動を開始する。

まぁなんか色々あるんだな、と思いながら、手にしていた新聞紙面へと視線を落とす。色々な特集がある、思いのほかしっかりとした構成になっていた。 スポーツ部の記事やコラム、そして【学園新七不思議】という不思議な標題も……
「なんだこれ?」
その表題を指さしてカメに問う。
「なに、って学園七不思議知らないのか?」
いや、そりゃ知らない事はない。要するに学校の怪談ってヤツだ、トイレの花子さんとか二宮金次郎とか、理科室や夜の校庭などなど……ずっと昔から今まで飽きられることなく続く怪談話。日本人は奇怪な現象を7つ集めて、まとめて7不思議と称することが好きらしい。カメはフフン、と得意げに鼻をならすと、ポスターに手を添えながら口を開く
「夏だろ、夏といえばなんだ? 山か? 海か? いやお前、怪談だろ?」

――そう言いながら歩く速度をオレに合わせると並走するように廊下を進む。
「それに怪談ってさ、なんとなく女の子とのひと夏の恋、みたいなイメージないか?」
「いや、ないだろ。どういうことだよ?」
「怪談=肝試しって感じでさ。女の子と二人で暗がりの中をこう……」
なんという古典的日本の夏。ニヤニヤしたカメの顔が、なんか面白い。絵美里は呆れているのか、ため息だけをついている。
「ってことで肝試しフラグを立てるべく、怪談特集をと思ったわけですよ、どうですか?」
しかし別にカメの行ってることは間違っているわけでもしない。
「――でもまぁ、夏の特集といえば怪談は定番だよな」
「だろ~」
こちらの同意に機嫌をよくしたらしく、ポンポンとオレの肩を叩く。
――っと、ここで1つ気になる事が。
「でも、この"新"七不思議ってなんだ?」
そう、新という言葉が使ってある点だ。
「そりゃ、そのままの意味だよ。学園の新・七不思議さ」
カメは得意げな顔を見せながら話を続ける。
「トイレの花子さんとか、音楽室のベートーベンとかさ、そういった古典じゃなくてウチが独自調査した新しい7つの怪奇」
「そんなのがあるのか?」
「あったんだよね、後輩の手駒どもが色々と調べてきてくれたんだけどな。案外面白いのがね」
――へぇ、それはちょっと面白そうかも。
「どんなのがあるんだ」
いいながらその答えが書いてあるであろう紙面へと視線をやる。こちらの視線に合わせてちょうどガイドをするようにカメが話し始めた。
「今月初めのことだが、深夜の体育倉庫、締め切りのはずの体育館の扉がなぜか開いていて、暗闇の中からボールをつくような音が……」

それはよく聞く一般的な怪談だ。無人の体育館で響くバスケットボールのドリブル音、定番中の定番。おそらくバスケ部かなにかが規定時間外に練習していたとかそんな事なんだろうけど。
「それから今月に入ってからだが深夜の誰もいないはずのプールにて、シャワーが出ている音がする、とか」
水場のホラーは確かに多いよな、古井戸とかもそうだし、プールも定番。
「あとは、世界史の内田からのリークでさ、夜勤の時、行きにコンビニで買ってきて職員室の冷蔵庫に入れていたハズの夜食のプリンが、定期見回りの後食べようと思ったら無くなっていた、とか」
「――ん?」
なんだか、それは手違いで誰かが食べちゃっただけじゃ……
「我々報道部の独自取材によると、ここ最近そういった怪奇現象が次々と起きているらしいのだよ。それらのソースを取りまとめて、特に面白そ……重要そうな案件を学園新七不思議として今回発表してみた、ってワケ」
「……なるほどね」
本当に人に対して取材して<特に面白そうなネタ>に脚色を加えたものが、新七不思議ということか。
カメの記事に記載された7つは以下の通りだ。
・体育館でボールをつく音が響く
・真夜中のプールで水音が
・不意にぼんやり青白く光りだす学園校舎の幽霊
・職員室の冷蔵庫のプリンが消える
・誰もいない夜の校庭と飛びまわ人魂
・旧図書館塔を彷徨う足音
・音楽室から聞こえるラップ音
……まぁ、悪くないラインナップだが、やっぱりプリンは違う気がする。カメ的にこの項目がオチというかジョークってことなのかな。よく分かんないけど。
まぁ、なんにしても高校の学内新聞って感じでいいんじゃないかな?ただ純粋にカメの楽しげな姿はちょっとだけ羨ましく思った。


  * * * * 


ポスターすべてを貼り終えて教室に戻ると、もうほとんど昼休みは残っていなかった。カメは部室に物を置いてくるとかで、絵美里と2人で先に教室に戻っていた。オレは自分の席に座り、絵美里はちょうど席を外しているらしいオレの前の席の椅子に座るとこちらへと振り返るようにして座って話始める。
「それにしても、姫野先輩かぁ。翼ってば転校早々、凄い人に見つかっちゃうものだね。運命?」
「運命って……」
「よく屋上から飛び降りたり、学校を逃げ回ったりで本当に有名な人だよ。もれなく生徒会長とセットだから関わりたいって人は少ないと思うけど」
人の印象を聞いた時に、よく飛び降りるとか逃げ回るとかって、そんな言葉がでる人は初めてだ。一体どんな学園生活を送っているんだろうか。
「翼は先輩に情報処理部の部室に連れて行かれんたんだっけ?」
「旧部活棟のにある部屋だろ?」
「そうそう。私は旧部室棟へは行った事がないんだけどね。彼女のうわさはよく聞くよ。生徒会と正面から対決するソロレジスタンス、みたいな」
絵美里も自分の言葉ではないらしく、言葉を探す様にしながらオレに話をする。オレはとりあえず1つだけ確認をする。
「あのさ、姫野……先輩がいるその情報処理部って、何をする部活なんだ?」
「ん? あぁ、あの部活ね。元々はパソコンとか、コンピュータ系の部活だったらしいんだけど、そこからGPD関連の機械を作ったりする部活に変化してって――」
……GPD、反重力子生成ドライブ。
「つまり、エースって事だよな?」
「まぁ、そういう事だよね。やっぱり運命なんじゃない? エースの話なら、翼の方が詳しいでしょ?」
絵美里は特に感情の起伏もない、淡々とした口調でそういうと、手持無沙汰だったのかテーブルの上で右手の指をタンタンと叩く様に踊らせる。何かを確認するようにこちらに向けられた瞳から、無意識のうちにオレは目をそらしていた。
「……知らなかったな、この学校にもエースの部活があるなんて……」
「そりゃ知らなくても当然なんじゃない。大会で目立った記録もないし、ほとんど潰れてるような部活。部員だって姫野先輩しかいないはずだよ」
「1人? エースの部活なのに?」
「そうだよ、実質廃部って感じなんだけど、先輩が1人で無理やり粘ってて、それで生徒会とバトルになってるって感じかな。私が入学する前からみたいだし、もうずっとだよ」
そっか、そんな潰れかけの部活じゃ、オレが知らなくても当然か。
オレにはこの桜山学園という名前に聞き覚えがまったくない。この学校に対して、エースのイメージは全くなかった。そもそも高校のエースはチーム戦、裏方にもメカニックなど特殊な人手が必要なグループ競技なのに、それを1人でというのはちょっと無茶が過ぎる。

「……でもまぁ、そんな事はさておきですよ、翼さん」
と、何を思ったのか、絵美里が急に話題を変えてくる。ふふんと鼻息荒く、絵美里はテーブルに置かれた2枚の紙へと指を伸ばす。
「先輩から貰ったっていう、湘南リゾートパークのチケット、今週末のだよね」
そう、先ほど姫野先輩から貰った2枚のチケットに絵美里が指をかけた。湘南リゾートパーク、江ノ島や片瀬海岸を含む大規模なエリアに大型ショッピングモールやテーマパークが隣接する関東でも最大級のエンターテインメントパークだ。最新のファッションアイコンや、最新スイーツの発信店舗が集まる事でも有名で、雑誌やメディアで特集されているのは目にする。そしてこの学校から一番近い巨大エンターテインメント施設でもある。
「ねぇ、せっかくもらったんだし、これ行こうよ。土曜日何かある?」
「絵美里と?」
「なによ、1人で行けっていうの? 買い物の荷物どうするのよ」
――そうですか、荷物持ちですか。
「それにさ、何度も行っているでしょ翼。楽しい事は待ってたってやってこないんですよー? 自ら奪いとりに行く、これが大事」
「そうだな、絵美里から見習うべき部分もちょっとはあるなって思う」
ちょっとかい! とツッコミと共に脳天にチョップが振り下ろされる。
「2人で出かけるなんて久しぶりだよね。ってかこれってもしかしてデートなのかな? なんちて。アハハハ!」
絵美里はいつだってなんか楽しそうだ。青春を青春にしようと努力しているからだろうか。
そうだな、せっかくチケット貰ったんだし、ゴミにしてしまうよりは使った方がいいよな。
――別に、休日に何か予定があるわけじゃないし。


  * * * *


カーテンの隙間から零れる淡い光粒が瞼の上を踊り、少しだけ肩を伸ばしながら体を起こす。気がつけば土曜の朝だった。淡く光るカーテンを開け放つと、朝だというのにすでに部屋の電気をつける必要が無いほどに眩しい日差しが差し込んできた。天気は前日の天気予報の通り、快晴のようだ。
そうでなければ困る。今日は、湘南リゾートパークへ行く予定があるのだ。別に雨天でも決行だが、せっかくなら晴れの方がいいに決まっている。

ピロリロリロ

――と、不意に着信音が聞こえてくる。電話ではなく、テキストメッセージの着信音だ。
「誰から?」
オレは端末に手を伸ばす前に、端末へと問いかける。
『メッセージ、藤沼絵美里カラデス』
ファイが無機質な音声でそう答えた。そっか、絵美里ならその主題は今日出かける話に違いない。起きたばかりの体を少し伸ばしたりしながら、部屋の隅に転がったモバイル端末へ歩み寄り、手を伸ばした。

受信
藤沼 絵美里

〈おはよう、起きてる?〉

「起きてるよ……起きたばっかだけど」

〈この前のサッカーと違って、今日はちゃんと間に合いそうだね〉

「まだ言うか」

〈とりあえず12時30分 江ノ島駅前集合でいいんだよね〉

「まぁ、それくらいの時間で大丈夫じゃないかな」

〈いい天気だし、楽しみだね。ホント前みたいに遅れちゃダメだよ〉

「わかってるよ、これ以上絵美里に怒らせたら大変だし」

〈うむ、分かっていればよろしい。それじゃまたあとでね〉

そうして絵美里とのメッセージリレーを終える。
この前のサッカーの件もあるし、今回遅れたら何を言われるかわかったもんじゃない。やや寝ぼけた体を叩きおこすように、大きく体を伸ばすと時間に間に合うように、そさくさと準備を始めた。

湘南リゾートパーク
湘南の公道や中心市街地と海岸、そして海へと飛び出して展開された巨大な商業エリア群の事だ。 アクセスは江ノ電と呼ばれる古くからある路面電車か、もしくはモノレール。オレの場合は路面電車の方が便利がいいので、特に考える事なく江ノ電を選択した。トンネルを抜けると次第に煌めく海の風景へと車窓が変わっていく。
景観の良さから観光客も多いローカル電車に揺られながら大体20分もすれば江ノ島へ到着した。家を出た時と変わらない、青と白のコントラストが美しい晴れ模様。そういえば集合場所、駅前って結構広いけど、とりあえず江ノ島駅の駅前エリアで待っていれば間違いないのかな。オレは駅の改札を出るととりあえず周りが見渡せるロータリーへと向かった。

待ち合わせ時間より少し早くついたので一番乗りだと思っていたが、駅前にはすでに見覚えのある人影があった。
「翼めっけ! 今日は早いじゃん」
絵美里だ。
こちらに気が付くとすぐに声をかけてきた。普段みなれた制服と違う絵美里の服装――大きめのフリルになっている白シャツに淡いピンクのカーディガン、パステルカラーの淡い緑の柔らかなスカートが風にふわりとなびく。いつもよりもどこかオシャレで女の子らしくみえた。
「絵美里のそういう私服、ってなんか見慣れないな」
「そう? まぁそっか、普段だとパンツルックも多いしね」
確かに、私服の絵美里を見た事ないわけじゃないんだが、その時は軒並みTシャツにジーンズといったボーイッシュなスタイルが多く、今回のような女の子っぽい雰囲気の服はとても意外な感じがする。
「なに? もしかして可愛いとか思ったりした?」
「は?」
「……なによ、まったく心が動いていないって顔しちゃって。ちょっとぐらい動揺とかしなさいよ」
絵美里は唇を尖らせると、先にリゾートパークの入口へと進んでいく。
「ま、とりあえず時間も勿体無いし、会場に入りましょ」
そのまま会場へとさっさと進み始める。
「あ、ちょっと待ってって!」
そのあとをついて行くようにオレも続いた。

湘南リゾートパークは簡単に言えばアミューズメントエリアとショッピングモールを合わせたような巨大複合施設になっている。遠くからも見える巨大観覧車がランドマーク。ちょうどそれを中心に、中世の建築を模したレンガ調の3階建てのショッピングエリアと、アトラクションや映画、演劇などのステージもあるアミューズメントエリアの2つにわかれていた。普通のショッピングモールはチケットがいるわけじゃないが、アミューズメントエリアが併設されたここはチケットがなければ入る事が出来ない。その代わり日本ではなかなかお目にかかれないようなブランドやセレクトショップ、限定キャラクターグッズなど他では手に入らないアイテムが購入できるとあって、週末は常に多くの人で賑わっていた。
絵美里も足早にゲート通過するとすぐ正面のエスカレーターに乗って2階へ。
「なにしてんの? 早く行くわよ」
迷うことなくショッピング、主にファッションフロアとなっている所へ一直線で向かっていった。


  * * * *


女性の買い物に付き合う、というのはなかなかどうして難しい。絵美里が楽しそうなのは、まぁなによりといったところだが、どんどん増えていく両手の荷物はどうしたものか。洋服を中心に色々と買い物が重なり、1時間も経過すれば両手は結構な量の紙袋で塞がってしまっていた。
「さて、そろそろ次に行こうか?」
絵美里が両手をぐっと頭の上に延ばしながら、ようやく買い物の時間は終わったらしい。
「次、ってなんだよ。観覧車にでも乗るのか?」
「それもいいけど、両手の荷物郵送で送り返しとかないと乗れないね」
そういうと、絵美里はテラスの柵の前から少し身を乗り出すようにして周囲を見渡す。そうして何かを見つけたのか、グランドレベルを指差した。両手の荷物に気をつけながらオレもその先に視線を向ける。看板に書いてあったのはサービスカウンターの文字、つまり荷物の郵送を頼める場所だ。エスカレーターで1階まで降りると、オレはようやく大量の紙袋から解放された。
「優待チケットって便利だね、郵送もサービスだって」
絵美里がそう言うように、ただの入場チケットと違って今回のチケットは色々とサービスがついているらしく、郵送はもちろん、併設される演劇ホールなどで開催されるイベントにも入る事が出来るようになっている。まさに優待券の名にふさわしいチケットだ。
「なかなか買い物だけを目的としていた場合には、そこまでのチケットは購入しないけど、やっぱり高いチケットには高いだけの理由があるって感じだね。サービスかなり手厚いし。学生じゃそんな簡単じゃないけど」
オレは両手が空いた事でとりあえずは一安心。絵美里はサービスカウンターのすぐ横に常設されている大きな案内板の前に立って
「じゃあ、どうするかな」
と、言いながらあれこれと視線を動かす。
「休憩ならカフェかなんかに入る?」
「うーん、それもいいっちゃいいけど……」
そう言いながら、パネル上のとある施設を指さす。
「せっかくの優待券だし、ここ、行ってみない?」
「えっ?」
白い人差し指が示した先は、エンターテイメントエリアの端、海にせり出した最大の遊技場・エアリアルソニックスタジアム。湘南エリアでは最大の、公式戦も数多く開催されるエースの闘技場だった。
パネルに向けてやや視線を落としているオレに、絵美里はこちらを覗き込むようにして視線を向ける。彼女と視線がぶつかると、オレはその視線を外すように上体を起こしながら疑問を口にする。
「なんで?」
「なんでって……いいじゃない、せっかく優待券で入ってるんだし、このフロアもタダ見できるんでしょ?」
ショッピングフロアへの入場チケットだけなら、このフロアに入ってエースの試合を見るのに別料金が必要になる。
確かにこのチケットなら、エースの観戦に関しても使用条件に内包してあるので観戦する事も可能だ。平日なら何もやっていない事もあるだろうけど、今日は土曜日だし、何かしらの試合はやっている。
だけど……
「いや、別にオレはいいよ……」
「なにが?」
「見たいなら絵美里が1人で見に行ったら? オレはこの辺で待ってるから」
その言葉を聞いた絵美里の表情が一瞬曇り、すぐさまムスっと怒りの色へと変化していく。
「なによ、いいじゃない! 昔は翼たちとよく見に来たじゃない?」
「それは……そうだけど……」
そう、小学生の頃、オレはよくこの場所にエースを見に来ていた。小学生割引の恩恵を存分に利用して、近所に住んでいた絵美里と……そしてやっぱり小さな頃からの友達だった乙羽と。
「それに翼、こっちに帰って来てから一度も見てないんでしょ、エースの試合」
「そりゃここに来ないと見れないし」
「じゃあ試合は? 来なくても試合は見れたりするでしょ?」
「……ネットで結果くらいなら見てるかな?」
「だから、試合は?」
「見てない、です」
オレがそう言い終わるや否や、絵美里はガッと左手首を掴む。ギリッ、と音がした様な気がするほど、女の子にしてはとても強い圧力で。
「イタッ、なにすんだよ」
「いいからスタジアム! 試合見に行こうよ! せっかく来たのにもったいないじゃん!」
絵美里はこちらの事などお構いなしに、掴んだ左腕を体ごと引っ張っていく。こういう風になった絵美里は言う事を聞かないと逆に長引く傾向がある。
半ば諦めの気持ちで無理に抵抗することなくその手に引かれてオレは施設の端にある海に面したエースの会場へと連れていかれた。


 * * * *


入場チケットチェックと持ち物検査を兼ねた全身を覆うようにぼんやりと青色の光を放つルーフ型の入り口の通過する。
ピッという音がする、ブザー音でなければ特に問題が無いという事だ。
その先に広がるコンコースは大きく円形の形状をしており、ゲートから真っ直ぐ進むと落下防止用の柵を挟んで野球スタジアムのような傾斜型のスタンドと席が並ぶ。
「うわー、試合中だね。今日は何の試合をしてるのかな?」
絵美里は少し興奮気味なトーンでスタジアム内の至る所にあるモニターへと目をやる。
「……えっと、エキシ……ビジョン?」
「エキシビジョン、別に何かの大会とかじゃないって感じだね」
モニターに書かれた文字、今日は何かの大会を開催している訳ではないらしい。エキシビジョンは、参加者自身が自分でエントリーをして対戦を行う形式で、もちろん賞金もあるが高額なものではない。大体が次回大会に向けての練習試合やテストなどの理由で参加する事が多い。観客もいないわけではないがさすがにまばらに着席しているといった様相が上から見て取れた。
だが、エアリアルソニックのバトルの迫力は決して大会に劣るものではない。
「うわぁ……」
絵美里が思わず声を漏らす。

〈さぁ、2機が同時にスクエアビルコーナーを曲がる! ビルを挟んでの大立ち回りだ! 距離をとるためか、先を行ったトリニティクレアがハンドガンを構えて振り向いた!〉
複数の巨大なスピーカーから聞こえてくる実況アナウンスと会場に設置された巨大なホログラムスクリーンの映像。目の前に実際の機体がいるわけではないにもかかわらず、意識は一瞬でその世界へと吸い込まれる。
――エアリアルソニック、個性的なガジェット・エアロフレームを身に纏い、凄まじい速度で相手をねじ伏せる空戦バトル。地方会場――湘南バトルフィールドに来たのは中学生ぶりだ。高校に入ってから首都圏でやはりエースの会場には頻繁に足を運んでいたので別に懐かしいはずはないんだけど。たった数ヶ月この場所に来なかっただけなのに、何ともいえないそのエース独特の空気はどうしようもなく心をざわめかせる。

「私、ここじゃなくて前列ギリギリで見たいんだけど、いいかな?」
絵美里はやや興奮気味にそう申し出る。
「せっかくエースの会場に来たんだもん。座ってみるなんてもったいないでしょ?」
「そうかな……個人的には前でも後ろでも、どっちでもいいけど」
「えー、暗いなー。小さい頃は翼がいの一番に最前列まで駆け抜けて行ったくせに」
「そりゃ、小さかった時は色々と憧れだったしさ」
「じゃあ今は?」

絵美里の言葉に、少し返しに詰まったが……
「学生大会で試合とかにも出てたしさ、憧れっていうよりはもうちょっと現実になったって感じかな」
「ふーん、冷めたのか、冷静になのか。翼も大人になってるって話?」
「まぁオレの事は別にいいだろ? 絵美里は前で見たいんだろ?」
「私は本当に久しぶりに来たんだから、せっかくなら前の方で見たいかな」
「じゃあそれでいいじゃん、最前に行こう」
別に前列に出たとしても、エースの大半は大型ビジョンで見ることになるわけだが、それでもスタジアム最前に近づきたいって気持ちはわかる気がする。周りを見渡してもさほど人の姿は見えず、彼女が言うように最前列のコンコースと言える共通エリアで手すりに手をかけて立ち見している人もちらほら見てとれた。
――確かに人が多くて危ない訳じゃないし、おとなしく座って見る理由もないかもしれないな。
「翼、何か飲み物とかポップコーンとか買う?」
「んー、別にいらない」
「ほい。じゃあ行きますか、最前ダッシュ!」
髪を少し揺らしながら、彼女が一番に最前列へと動き始めた。絵美里と小学生の頃にこの場所に遊びにきていた記憶がよみがえる。あの時は確かに、オレが先に階段を最前まで駆け抜けて、振り返っては絵美里を呼びつけていたような気がする。
「……なにぼーっとしてんの? 早く行こうよ」
階段を数ブロック分降りた先から絵美里が振り返りこちらへと催促の声を上げる。
「悪い、今行く」
それだけいうと絵美里は二人を追いかけるように通路を前列へと下っていた。

エースはGPドライブを用いた空戦バトルロワイヤルである。反重力の力で空を飛び回る武装した選手達が様々な武器を用いて相手を打ちのめす。

インナースーツに内蔵されたパラメータに外部からのダメージ量が数値として集積され、初期数値が0になると強制的に機能がオフ、つまり戦闘不能に陥る。相手への攻撃方法に規定はないが主流は射撃武器によるミドルレンジでの戦闘スタイルになる。

積載量についても特に規定はない。
だが重装備を抱えて飛べばスピードは出にくくなるし、機動を優先して軽くするとダメージ数値が上がりにくくなる。長距離狙撃も無い事は無いけれど、詰め寄られると弱いし、かといって近距離武器のみではどうしても限界がある。その辺りの個体差が個性として認識されることで多くのファンを獲得していく事になる。
バトルスタイルは個人戦とチーム戦があるが、基本的にはチーム戦が人気のスタイルだ。規定時間内に相手チームを全機戦闘不能にするか、タイムアップの場合は残っている機体のパラメータ値の合計で争われる。
防護フィールドに包まれたステージは起伏に富んでいて、場所場所で様々な特徴がある。このため会場ごとに戦略も変わるため、その辺りは技術チームなど裏方を含めたチーム力が試される事になる。

今回はどうやら5VS5のバトル、最もポピュラーな公式のスタイルで行われているようだ。

会場内のモニターには両チームの出場者機体名と、状態が表示されている。片方のチームはすでに1体落とされている状況のようだ。数的有利を利用して、一気に攻勢にでるのかそれとも数値が整っているのであればタイムアップを狙って逃げ回る手もある。
――まぁ、逃げ回るのも容易ではないし、そんな事をするとファンが付かなくなるのであまり見かける事はないが。光の弾丸が無数に飛び交う中でそれぞれの機体がタイムアップまでフィールド上に残る事を目指して翔け抜ける。
「すごい綺麗だよね、あの光の粒!」
無邪気な声、絵美里は単純にその上空の光を美しいという。
オレは軽くため息をつきながら、
「キレイだと思うのは私たち観客だけだよな」
そう呟く。
「え、どういうこと?」
絵美里は不思議そうに首をかしげてオレに問う。
「エースはあの無数の光の中を飛ばなければいけないんだぜ? 当たれば一瞬でゲームオーバーなんて事もあるだから、そんな無邪気な感想言ってられないよな」
そう、天の光はそのほとんどが〈攻撃〉による光である。エースでは電磁砲レールガンなどの光学兵器や殺傷能力のない計器破壊系実体弾、近接格闘などによる攻撃も許可されている。NG項目はあまり多くない。自由度の高い競技である。さきほど絵美里が綺麗といった光はもし当たれば機器や計器にトラブルを引き起こし、飛行などに支障をきたす選手達にとっては悪魔の光。
物理攻撃ほどの衝撃量はないにしても、当然ダメージとしても蓄積されてしまう。キレイだなんて、そんな事を思う関係者はいない。だがその鮮やかさにファンが付いている事もあったりはする。
「で、あの攻撃に使われるエネルギーと飛行に使われるエネルギーは同一だから、飛行と攻撃のバランス配分が大変なんだよね」
「へぇ、そうなの?」
絵美里は続けて知らなかった、と付け加える。
「……お前、ガキの時よくオレや乙羽と一緒に見てたじゃん?」
「私、翼みたいに頭よくないし、私はただの観客だから。実際のところエースのシステムとか、細かいところまでは分かってないよ。その雰囲気楽しんでる派ですから」
何度も見に来ているはずだが、絵美里はそのシステムを特に理解しようとしていないらしい。まぁエースを見に来ている人たちでも別にそんな事を気にしながら見ている人は少ないかもしれない。空を飛び回る自由さと、実に個性的なデバイスの数々、そしてバトルの迫力と、そういったインパクトに惹かれて、その雰囲気を楽しんでいるという人の方が多いだろう。
「エースはレースごとに主催側から供給されるエネルギー量の規格が決まってて、マシンフレームはそれぞれオリジナルカスタマイズだけど、MAXのエネルギー容量だけは同じ。それをどういう目的に使うかは自由だからさ、もちろん飛行にも使わなきゃいけないし、機体への攻撃にも使わないといけない。守備……攻撃をガードするシールドなどにも利用できるってわけ。ただ攻撃ばかりしてしまうと、移動用のエネルギーが足りなくなって、結果的に足が止まって的になる事もあるし。エネルギーをどう効率的に使うかは各機体設計者の勝負の見せどころだな」
「へぇ……そういう風に見るものなのね?」
「いや、別に。見てて楽しいならそれでいいんじゃない?」

そう、今のは設計側の話だ。
普通に見る分には好きなファイターを見つけるとか、あの子可愛いとか、ガジェットが好きだとか、そんな事でいいと思う。それぐらいシンプルに見ていた頃の自分の方が純粋にエースを楽しめていた、ように思う。
そんな会話をしている間にもバトルは進む。目の前のモニターに映っているのは両肩が紅く鋭い矢じりのようなフォルムのフレームが特徴的なレッドクリフと全体的に曲線的なフォルムの白い2位の機体・ホワイトアウト。2機が浮遊岩を挟んで高速移動しながらのタイマンを展開しており、他の機体とは別世界を作り出していた。白い機体は常に光弾を仕掛けるのではなく、岩々の間を移動をしながらクイックカーブやロングストレートといった要所要所で光弾を的確に放つ。それらに邪魔をされて、紅い機体はストレートではなかなか思うように展開ができないといった具合でややふらつきを見せる、カーブでは繊細なハンドリングが必要なコーナリングに加えて光弾の動きを読み切る必要があるためだ。
「なによ、あの紅い棘々。避けてばっかりじゃない。白い方が攻めてばっかりじゃん」
絵美里が不満げにいう。確かに攻撃を仕掛けているのは後方から砲撃を加える白い機体。
先を行く紅い機体は攻撃をかわすばかりだ。

――だが。

「……でも攻撃が全然当たっていないから、別に負けてるわけじゃない」
先ほどから攻撃の手数は多いものの、直撃どころかニアを通過する事すらほとんどない。
「でも攻撃数が多い方がいいんじゃないの?」
「いや、あくまで有効攻撃回数で、フレームに対してダメージを与えたと認識されないと加算されないので、現在までのやりとりではほとんど有効打がないから」
先頭を行く紅はただの一撃もそのボディに光弾をかすらせることなく、上手くフィールドを浮遊する岩を壁にしながらするすると逃げ続ける。
既存の町を含めてエースのバトルフィールドにしているが、ビルなどの通常建造物に対してはグラビティフィールドが展開されている。そのためエースの試合がフィールドの外に影響を与える事はないので、自由に攻撃をぶっ放して問題ない。うまくそういったフィールドの特性を盾として利用しながら逃げるレッドクリフは、逃げながら時折実弾での後方牽制攻撃しながら進んでいる。直撃する訳ではなかったが攻撃をなるべく行わずに、地味だけど着実にポイントを重ねていた。
それに対して満身創痍なのは、撃ちつかれたホワイトアウトだろう。
「あれだけのエネルギーを使った後だからね、もう逆転はできないだろうな」
オレがそう呟くと、絵美里にはよく分からなかったのか
「そうなの?」
そういって首を傾げた。どうしても盛り上がっているから2機だけを集中して見てしまいがちだが、チーム戦である以上、大事なのは全体を俯瞰で眺める大局観。
「おそらく弾も残っていないだろうし、岩を目くらましに見事に誘導されたって感じだよな」
そういうと同時だろうか、ホワイトアウトに向けて無数の砲撃が上空から降り注ぐ。
「うわっ」
絵美里が思わず目を細める。

岩礁を抜けた直後、レッドクリフのチームメイトが上空から全力射撃を行った。おそらく作戦だろう、ホワイトアウトをおびき寄せての集中砲火。モニター上に表示されていたホワイトアウトのパラメータが一気に下降し、0になると同時に表示が暗くなる。赤文字でリタイアという表示がその上に出た。
ホワイトアウトの離脱によって、チーム戦は3VS5、圧倒的に数的不利な状況へと陥る。
おそらく1機が先に離脱した事で焦ったのだろう。数的不利を改善するために、なんとか1機沈めようとした結果、周りが見えなくなって結果的に取り返せない差となった。正直、1機の差であればタイムアップまで十分戦略を練っていけば戦えたはずだ。全滅でなければ、タイムアップ時に必要なのは機体数ではなく、パラメータの合計残量。
慌てず試合を組み立てていけばよかったはずだ。さすがにこうなっては取り返す事は不可能だろう。


事実この後、優勢は崩れることなく、結果はレッドクリフ率いるチームがこの差を終始リードしたままタイムアップとなった。

chapter 1-6 (終)

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