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渡邉りょう選手 ジュビロ磐田へ期限付き移籍!

試合開始早々の前半6分。

ロングパスを受けたその選手は、あっさり磐田のゴールに流し込んで先制ゴールを決めて見せました。

私は、ヤマハスタジアムのゴール裏に近いバックスタンドに座っていました。

その選手はちょうど私の目の前でガッツポーズをし、ゴールセレブレーションを披露していました。

エースストライカーには絶対に決めさせてはいけなかった。

早々に失点してしまった磐田に対するガッカリ感。
目の前でゴールの歓喜を見せつけられた悔しさ。
そして、絶対的なエースストライカーという存在への羨望。

いろんな思いを抱きながらその光景を見つめていたことを今でも鮮明に覚えています。

2023年7月16日。J2リーグ第26節。
ジュビロ磐田 vs 藤枝MYFC

渡邉 りょう選手

シーズン13得点目を決め、町田のエリキ選手、長崎のフアンマデルガド選手とリーグ得点王を争うその姿。背番号9を背負いこれぞエースストライカーという姿をまざまざと見せつけられました。

当時磐田の最多得点者はジャーメイン良の6ゴール。ストライカーの地位を築きつつありましたが、残念ながら13ゴールの渡邉 りょう選手には遠く及びませんでした。

磐田は2021年のルキアンがJ2で得点王を獲得すると同時に退団して以降、2022年、2023年とエースストライカー不在、得点力不足に悩まされました。

決めて欲しい時に決め切ってくれるエースストライカー。

「磐田にも渡邉 りょう選手のようなストライカーがいてくれたら」

あっさりと先制点を決め切る姿に悔しさを感じると共に、そのストライカーとしての十分な実力に感心しきりでした。




あの藤枝戦からちょうど1年。

まさかこんなことが実現するとは。

2024年7月29日。

ジュビロ磐田は、セレッソ大阪の渡邉 りょう選手が期限付き移籍することをリリースしました。

先んじて報じたのはスポニチ。
2日前の7月27日早朝でした。

土曜日の早朝。

スマホのニュースで目に飛び込んできたその記事に「エッ!」と声が出ました。

「あの渡邉りょう選手が磐田に来る・・・・?」

にわかに信じがたい思いでした。

確かにセレッソ大阪ではあまり出場していないことは知っていましたが、それでもあの藤枝で大活躍したエースストライカーを口説き落としたのか?

磐田のフットボール本部は良い所に目を付けたと思いました。

というのも、磐田のFWはジャーメイン良マテウスペイショットがスタメンで出場しますが、ベンチメンバーにFWがいないという異例の事態で戦っていたからです。

FWにはウェベルトンもいますが、横内監督の求めるレベルに至っていないのか、リーグ戦のメンバーになかなか入れない状況。

ジャーメイン良とマテウスペイショットのFW2人だけでシーズン戦い続けるのはどうしても厳しいのは明白でした。特にこの厳しい夏場の戦いでは体力と戦力の厚みが勝負。後半厳しい時間帯で、もう一点取りたいという場面で渡邉りょう選手が投入できればこれほど頼もしいことは無い。

また、コンディションによって、ジャーメイン良、マテウスペイショットとスタメンローテーションで戦うことができる。

先日のジョルディクルークスの完全移籍に続き、ウイークポイントを埋めるナイスな補強だと思います。


振り返れば、2022年夏の移籍ウインドウ。

当時も磐田は下位に低迷していましたが松原后1人しか補強できませんでした。小野社長(当時)は、予算はあるもののJ1リーグの経験者を獲得できず、更に伊藤彰監督(当時)のリクエストに応えられず、チームの力不足を認めていました。

このときの小野社長のコメントには心底ガッカリしました。

しかし今年は、ジョルディクルークス、渡邉りょうというJ1経験者を獲得しハッサンヒルというセンターバックも補強した藤田俊哉SDとフットボール本部。

素晴らしい仕事をしてくれました。2022年を想えば隔世の感です。




移籍に当たり、渡邉りょう選手はセレッソ大阪のサポーターに以下のコメントを残しています。

「この度、ジュビロ磐田への期限付き移籍を決めました。移籍を決めてから何をどう伝えようか、すごく迷い考えました。結局何を考えていても感謝の想いしかなく、それをきちんと自分の言葉で皆様に伝えたいと思いました。どんなに苦しいときでも熱い応援で僕達の背中を後押しして共に闘ってくれたサポーターの皆様、愛のある厳しいご意見を頂いたサポーターの皆様、そしてセレッソ大阪を通じて出会う事ができた全ての人に感謝しています。本当にありがとうございました。そして試合に出られない中でもユニフォームやグッズを購入して応援していただいた方々には本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。自分の無力さと不甲斐なさを痛感しています。チャンスをモノに出来なければ出場機会を失いチーム内で自分の立ち位置を確立する事ができないのは当たり前の事で、こうなってしまったのは誰のせいでもなく全ては自分の力不足です。J1という大きな舞台に自分を導いてくれた森島社長、小菊監督、梶野強化部長をはじめセレッソの関係者の方々にも本当に感謝しかありません。最後になりますが30周年となる節目の年がセレッソ大阪にとってそしてファン・サポーターの皆様にとって残りの時間が良い時間になる事、またセレッソ大阪の選手として皆様の素晴らしい最高の応援を背にヨドコウ桜スタジアムに再び立つ日が来ることを心より願っております。皆さんに頂いたこの恩をこのチームで返せるように、しっかり闘ってきます。1年間本当にお世話になりました!ありがとうございました!」

セレッソ大阪公式ホームページより

渡邉りょう選手であっても、セレッソ大阪では競争に打ち勝つのが難しかったことがわかります。改めて選手層の厚さを痛感しますね。

そしてこのコメントの長さ。

私もこれまで多くの選手との別れを経験してきましたが、ここまで長い文章で自分の心境と感謝の気持ちを表した選手を知りません。セレッソ大阪サポーターとチームに対し、最大限の感謝の言葉を紡いでいます。渡邉りょう選手の誠実な人柄、そしてその言語力に感心しました。

そして、ジュビロ磐田サポーターへは次のコメントを発信しました。

この度、セレッソ大阪から期限付き移籍で加入する事になりました渡邉りょうです。
なかなか試合に出れていない自分を戦力として必要としてくれた藤田SD、横内監督をはじめとするジュビロ関係者の方々に、本当に感謝しています。
ジュビロ磐田の一員として、サンコウチョウのシルエットが込められたエンブレムを纏ったユニフォームに袖を通す以上は、このチームの為に自分の全てを出しきります。
自分にとって、ジュビロ磐田にとって、この選択が間違いじゃなかったことを、ピッチの上でそしてチームの結果で証明してみせます。
よろしくお願いいたします!

ジュビロ磐田公式ホームページより

藤田SDと横内監督が必死に口説き落としたことが読み取れます。よくぞここまで交渉しましたね。

しかもサンコウチョウのことまで触れるとは。沼津、藤枝と静岡のクラブで戦い続けてきた渡邉りょう選手だけあって、ジュビロサポーターの心を掴むようなコメント。さすがです。


改めて、渡邉りょう選手、ようこそジュビロ磐田へ。

チーム状況は厳しいですが、J1残留を成し遂げるために一緒に戦って下さい。ヤマハスタジアムで会えるのを楽しみにしています。

最後までお読みいただきありがとうございました。
ジュビロ磐田と渡邉りょう選手のファン・サポーターに歓喜が訪れることを願って。

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