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ジュビロ磐田の復活に尽くした横内昭展監督—退任に寄せる想い

ジュビロ磐田のJ2降格が決まった時点から、少なからず予感はしていたんですが、12月11日未明に新聞報道がありました。

ジュビロ磐田の横内昭展監督(以下横さん)が今季限りで退任することが明らかになりました。

他のスポーツ新聞ならばまだ疑問符が付くところもあるのですが、静岡新聞の報道ですからね。この時点で確度は高いと思いました。

今朝、スマホを開いてこの記事が目に飛び込んできた時、さすがにテンションが下がりましたね。急降下でした。

私は横さんに来季も続投して欲しく、先日SNSにもこのように投稿していました。

一方で中日新聞の記事読むと、横さんから辞任の申し出があったようなので、致し方ない面もあるのかと思います。クラブ側が慰留したのかどうかまでは判りません。しかし、横さん自身がJ2降格という結果に対し大きな責任を感じていたのは間違いなさそうです。


やはり何が何でもJ1に残留しなければならなかった。来年の開幕は2月15日。2か月しかない。年始までには新体制を構築する必要がある。

静岡新聞の記事によれば

「後任人事を急いでいる」

って、やっぱりこれからなんだ。 

あまりに時間が無い。

他クラブは続々と選手編成に関するリリースがある中で、磐田は監督選出からとなれば、選手編成で後手を踏んでしまうのは覚悟しなければならないですね。

J2降格が影響して、主力選手が他のJ1クラブからオファーがあって引き抜かれるなど、選手がJ1に個人残留するのは覚悟していました。

しかし、監督交代となれば、選手編成全般に影響してしまうのは避けられません。

今季で引退する山田大記は、横さんに続投して欲しい旨について言及していました。

僕個人としては選手を離れ、一線を退く立場として無責任に言わせてもらうと、降格する度に例えば、(藤田)俊哉さんのポジションなど、全て責任を取ってまた0からチームを作り直すということを繰り返していると、なかなかクラブとして積み上げていけないと思います。もちろん意見はあると思いますが、横さん(横内監督)も含めて2人が残ってくれたら僕個人としては嬉しいです。残ってこの上に来年積み上げていくということをやっていかないと、いつまで経っても同じことを繰り返してしまうということを個人的には感じているので、J1に残れたら一番良かったですけど、落ちてもなお、一貫性を持ってやって欲しいと思います。

ジュビロ磐田公式ホームページより

選手からもこのようなコメントが出るくらい、横さんは求心力を持っていたと思います。

ここ数年、毎年のように監督交代していた磐田には継続性という点では疑問符でした。

ようやく横さんという指導者を迎えて、今季はJ2降格にはなったけれども、積み上げた2年間に更に上積みするチーム作りをして欲しかった。

そんなことを思い巡らせている間に、午前10時にジュビロ磐田から正式にリリースがありました。

横さんのコメントです。

ファン・サポーターの皆様、パートナー企業の皆様、いつも多大なるご支援ご声援ありがとうございます。
今シーズンをもってジュビロ磐田を離れることになりました。
この2年間、皆様には苦しくてつらい思いをさせてしまうことの方が多かったと思います。
それでもチームや私を信じて、最後まで一緒に戦ってくれた皆様に感謝しかありません。
特にホーム最終戦、残留の望みがあるとはいえ厳しい状況は変わらない。試合終了後にブーイングを受けても仕方がないときでも、チームや私を信じてコールし続けてくれたこと、今でも心に響いています。
それに結果で応えられなかったことに、大変申し訳なく思っています。
ジュビロ磐田はこれからも続いていくクラブです。
必ずJ1に戻り、J1でタイトルが取れる強いジュビロ磐田を、ジュビロファミリーの皆様と共に築いてくれることを願っています。
最後になりますが、共に戦ってくれた選手、スタッフ、そしてジュビロ磐田に関わる全ての皆様に支えていただいたことに、心より感謝申し上げます。
ありがとうございました。

ジュビロ磐田公式ホームページより

横さんのコメントにあるように、ホーム最終戦はブーイングが無かったんですよね。むしろ後押しするためのエールを送っていた人が大多数でした。実際にはブーイングしていた人もいたかもしれませんが、少なくとも私には聞こえなかった。

それよりも「横内磐田!横内磐田!」というコールが起こったのが嬉しかった。

最終節の鳥栖戦、いやそれは来年以降も横さんと共に戦うためのコールだったと信じたいです。

本当に残念。

来季横さんと出直したかった。

それが叶わぬ夢となったのは、残念という言葉一言で片づけられない自分がいます。




2023年、J2からの再出発。且つ、ファビアンゴンザレスの二重契約問題でFIFAから選手補強の禁止という前代未聞の制裁を受けていた磐田。そんなクラブに、まさに火中の栗を拾う形で磐田にやって来てくれた横さん。

本当に感謝しかなかったです。

感謝してもしきれない。
本当に磐田に来てくれて嬉しかった。

今でもあの時の頼もしく感じた高揚感を思い出します。

2023年1月、横内磐田の始動日。横さんは

「J1復帰」
「チームの基盤づくり」
「成長」

の3つの目標を掲げてスタートしました。

2022年のJ1での戦いは、戦術以前に強度不足で全く歯が立たなかった磐田。ようやくそこにフォーカスを当てて基盤作りとして取り組んでくれた横さん。

「そうだよ!そこに目を付けてチームを強化して欲しかったんだよ!」

我が意を得たりでした。

私は今に至るまで、この動画を事あるごとに何度も見返してきました。2023年だけでなく、2024年も念頭に戦ってきたはず。

J1復帰という目標は一年で達成できました。
しかし再びJ2降格。

2025年も、横さんの下でもう一度この目標で出直せば良いじゃないか。この2年間で成長や基盤はゼロでは無かったはず。一年でのJ1復帰は難しいかもしれないけれど、将来の飛躍のため積み上げを継続すればいいじゃないか。

少なくとも私はそう思っていました。




2024年11月26日と12月3日。今季も大詰めとなった大久保グラウンドでの公開練習。

今年、選手達の練習風景を間近で観れる機会ももう無いだろうと思い、思い切って行って来ました。

練習開始前には、観客席のサポーターの前まで駆け寄ってくれて、

「おはようございます!」

と深々と頭を下げて挨拶する真摯な姿。あの姿がもう見れなくなると思うと本当に寂しい。

笑顔でサポーターに駆け寄る横さん
サポーターへ深々と頭を下げる横さん


今季最後の公開練習となった12月3日、奇しくも試合終了後のファンサービスに横さんもやって来てくれました。

横さんがファンサに参加するのは極めてレアケースです。今思えば、最後になるかもしれない事を予期してのファンサへの参加だったのかもしれませんね。

サポーター一人一人と会話を交わし、気さくにサインと写真撮影にも応じる横さんの人柄の良さ。本当に嬉しかった。私は何を話していいか緊張して色々迷ったのですが、

「ジュビロに来てくれてありがとうございます。」

と、2023年からの苦境の磐田に来てくれた事への感謝の言葉を伝えました。

横さんは、私のサイン帳にサインをしながら「いやいや。応援ありがとうございます。」と気さくに話してくれました。

最終戦の鳥栖には行けなかったので、結果的に横さんと会うのはこの日が最後になってしまいました。この出会いは一生の宝物にしたいと思います。

横さんからサインをいただきました

人柄の良さだけで監督が務まらないのは重々判っています。

しかし、その人柄の良さがチームの求心力になっていたんじゃないかと思うんです。選手もサポーターも。

それは試合中にも見て取れました。

選手をピッチに送り出す時はいつも握手や肩に手をかけて入念に語りかけるようにして送り出す。そんなシーンが大好きでした。ここにも横さんの選手一人一人を大切に思う気持ちが込められていると感じていました。

森岡陸を笑顔で送り出す
藤川虎太朗を送り出す

温厚な横さんですが、試合中では選手達に向けて大声で終始指示を与えていました。時には怒気をはらんだ声で。

大声で指示を与える横さん

勝利には誰よりも豪快なガッツポーズで喜びを体現していた横さん。また一緒に歓喜を共有したかった。

ガッツポーズの横さん

横さんと一緒に戦った2年間は、決して楽な戦いではありませんでした。

でも、後藤啓介古川陽介を海外に送り出し、ジャーメイン良をエースとして育て上げ、2022年よりもJ1で戦えるチームにしました。ヤマハスタジアムでそのサッカーを見るのが楽しかったです。

そして、何より2023年最終戦でJ1昇格に導いてくれたこと。栃木へ遠征してその瞬間を共有できたことは決して忘れません。

2023年最終戦 J1昇格が決定。 三浦龍輝と喜ぶ横さん
いざJ1へ。本当に嬉しかった。

横さん。

苦境のジュビロ磐田にきてくれたこと、改めて本当にありがとうございました。感謝してもしきれません。

次なるステージ、キャリアでのご活躍を心より願っています。


最後までお読みいただきありがとうございました。横内昭展監督に歓喜が訪れることを願って。

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