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【江戸ことば その25】十七屋(じゅうしちや)

≪ 2011年、Facebookへの投稿 ≫
講談社学術文庫の『江戸語の辞典』(前田勇編)は1067ページもある大著で、約3万語を収録しています。
私は4年前(注:2006年秋)に「端から端まで読み通してみよう」と一念発起し、4か月半かけて何とか通読しました。今も持ち歩いては、「江戸の暮らしが目に浮かぶ言葉」「現代語の知られざる語源」「色っぽい言葉」を楽しんでいます。
1日に1語程度、ツイッターで紹介してきた江戸語を、Facebookのノートにまとめて採録してみます。
なお、カッコ内は私の感想・コメントで、編者の前田勇さんとは関係がありません。

「十七屋」(じゅうしちや)

飛脚屋の異称。
十七夜(毎月17日の月=立待月)を、「たちまち着き」ともじったらしい。

(…当時の暦は月に合わせたもの。今日は何日なのかが、月の形をみれば誰でも分かった時代のシャレ)

文例・明和2年(1765年)
「はやり風十七屋からひきはじめ」
2011年2月13日 Twitter投稿 


前近代に生きた人々にとっては、現代人が想像するよりはるかに、月は身近で大切なものでした。夜空を見上げれば、そこに暦があるわけですから。
月の最初は、新月と決まっています。3日目は、三日月。少しづつ太って、15日は満月。ここから日ごとに痩せていき、新月を迎えて次の月に入るわけです。
満月の翌16日の月を、「いざよい」というのは、「ためらう」という意味の「いざよう」から来ているとか。1日に50分ほど遅れて出てきます。
17日は、立って待ってみる月「立待月」(たちまちづき)、18日は、座って待つ「居待月」(いまちづき)。月の出はどんどん遅くなってきますので、19日が「寝待月」(ねまちづき)。20日になると、もう夜更けになってから出てくるから「更待月」(ふけまちづき)となります。

宿で父母に送る手紙をしたためてから、通りに出て「十七屋」の看板が出ている店を探すと、すぐに見つかった。
飛脚屋に入った吉五郎は、故郷の村の名を告げた。

写真は今年4月の満月で、父撮影。
木の映り込みがよいなと思い。

0408月


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