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【江戸ことば その20】貝廻し(ばいまわし)

≪ 2011年、Facebookへの投稿 ≫
講談社学術文庫の『江戸語の辞典』(前田勇編)は1067ページもある大著で、約3万語を収録しています。
私は4年前(注:2006年秋)に「端から端まで読み通してみよう」と一念発起し、4か月半かけて何とか通読しました。今も持ち歩いては、「江戸の暮らしが目に浮かぶ言葉」「現代語の知られざる語源」「色っぽい言葉」を楽しんでいます。
1日に1語程度、ツイッターで紹介してきた江戸語を、Facebookのノートにまとめて採録してみます。
なお、カッコ内は私の感想・コメントで、編者の前田勇さんとは関係がありません。

「貝廻し」(ばいまわし)

貝独楽(ばいごま)を回す遊び。
バイと称する海産巻貝の殻に
鉛などをつぎ込んで作った独楽を用いる。

(…私の時代はベーゴマ、今はベイブレード。語源は江戸に)

文例・文化5年(1808年)
「貝廻しの鞭打つ間なく」
2011年2月8日投稿


僕は不器用で、ベーゴマを廻せたことがありません。

数年年上の世代が、いとも簡単にベーゴマを投げたり、ヤスを持って川に入っては大きなヤマメを仕留めてくるのを見ては、うらやましかった覚えがあります。

「バイ」が「べー」になるのは、江戸語でよくある変化です。
時代劇で、「大変だ!」と向こうから走ってくる七兵衛さん。「てぇへんだ!」と発音していますよね。「ai」は「ee」に変わります。
だから、バイゴマはベーゴマになります。

敏ちゃんが、麻縄をグルグルと貝独楽に巻く。
見てろよ、という目つきで、右手を後ろに大きく振りかぶり、引っくり返した盥(たらい)の上に抛った。僕の独楽と当たり、ガチンと火花が散る。

写真は、子供の頃によく遊んだ、自宅前の川原。
昨年11月、父撮影。

20貝廻し


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