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〈雑記〉3次元空間上での話

 言葉って、多面体だ。
 
 この多面体は、非常に多くの面を持っている。一つ一つの面の大きさや形は、人によって変わる。更に言えば、その多面体は、それぞれの人によって大きさが違うこともあるだろう。

 一つの面の形状も違い、面の数も違い、大きさも違う。多面体が4面体なのか、100面体なのか、1000面体なのか、そんなことは知らないが、とにかく人によって違う多面体を持っている。

 例えば、
「言葉って、カレーだ。」
「言葉って、空気だ。」
「言葉って、檸檬だ。」
 ・・・・・
という人がいるかしれないし、

「言葉って、ぬくもりだ。」
「言葉って、猫だ。」
「言葉って、道具だ。」
「言葉って、砂だ。」
「言葉って、宇宙だ。」
 ・・・・・
という人がいるかもしれない。


 そして、僕らはその多面体をそれぞれ持っているのだが、自分自身でも他人からでもその形状は正確に把握できない。
 一つの面だと思っていた部分に近寄って見たら、実は二つの面が並んでいた、なんてこともあるだろう。また、別の角度から見れば、見えなくなる面があるかもしれないし、次元を超えて見れば、全ての面を見る方法があるかもしれない。

 更に、その多面体は絶えず形を変えている。動いている。僕がこの文章を書いてる瞬間にも形を変えている。僕の中での“言葉って多面体だ”という面が動いている。


 多面体の究極の形の一つに球がある。
 面の数をずっとずっとずーーーーーっと増やしていくと、球に限りなく近づいていく。球になった瞬間に、面はたった一つだけになる。ただし、動いている多面体上の全ての面が、全て同一の瞬間に球と成らなければならない。
 
 もう一つ、多面体の美しい例として、“正”多面体がある。これも人が自然に目指す形の一つかもしれない。動いている形状の物を正多面体にするのは非常に難しい。そして、例えば正四面体にした場合に、消えた別の面が存在していた可能性もある。

 他にも美しい例はあるのだが、球にしても正多面体にしても、その形に成るのにも維持するのにも、簡単なものではないと思う。
 そして、美しいものである必要があるかどうかは、議論の的ではない。


 ここまで書いて気がついた。(まだ書き切れてないけど)
 多分、僕の言っていることが伝わっていない人も多く居ると思う。

 だって、これは僕の中の多面体の中の、ただ一つの面のお話だから。そして僕はこの多面体の正確な形を知らない。もちろん、僕以外の人からも僕の中の多面体の形は分からない。

 そして、ある一面を見せようとしているか、それを見ようとしているか。

 もちろん、人の数だけ多面体があり、その中の多面体もいくつの面があるかは分からない。だから、世の中に存在している全ての面を見ることは不可能と断言してもいいと思う。

 それを把握する手法として数式があるのかもしれない。
 数式で表せていない図形を僕たちは抱えているが、それは今の段階で数式になっていないのであって、普遍的な性質が存在したとすれば、数式で表せるのだ。

この例示をした時点で僕は、“言葉”という多面体の存在と、普遍的性質の存在を仮定している。

もちろん、この仮定が成立していなければ、僕の話はすべて破綻する。

でもこの仮定は僕にとって必要な物だと思う、たぶん。



おしまい。またね。

 

 





この雑記は、以下の企画に参加する文章として書きました。


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カナヅチ猫
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