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『数学ギョウザ』

 新生物、数学ギョウザが捕獲された。

「博士! 数学ギョウザが食べる数字の個数が日ごとに増えてます。4個の数字を食べた翌日に8個の数字を食べ、その翌日に16個、更に32個、64個、128個……どんどん増えてます。
 それと、数学ギョウザが数字を食べる度に、世界から数字が消えるようです」

「うむ。そしてコイツは正の整数しか食べない。−1を食べさせたら、ニンニク臭い−1をペッ! と吐き出しよった」

「ああ。このままじゃ世界から正の整数が消えてしまう」

「うむ。試しに虚数を与えてみよう」

 数学ギョウザは無表情でiを食べた。

「しめた! 次は100iを与えるんだ!」

 数学ギョウザは100iを食べ、腹の中のiと乗算され−100が生成された。
「ぐへぇっ」と数学ギョウザはニンニク臭い100個の数字を吐き出した。

 次々とiを食べた数学ギョウザはそのうち全ての数字を吐き出し、腹の中には一つだけiが残った。

 そして始まる、愛のギョウザ伝説。



(おしまい)

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カナヅチ猫
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