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ハリオ式ドリップを解説!コーヒーが好き。ハリオが好き。金澤屋流ペーパードリップ教本

ガラス製品と言えばハリオと言われるメーカーハリオ。ガラスの王様を意味する「玻璃王」からハリオに。コーヒー業界でいえばハリオのドリッパー60が世界的ブームに。現在75ヶ国以上で使用されています。日本でも2005年の発売。躍進的な構造で「淹れる人が味を作ることができる」とドリップに1歩進んだユーザーから絶大なる人気となり、通称「V60」と呼ばれている。そんな人気メーカーハリオ社の「ハリオ式ペーパードリップ」を金澤屋流に解説。ハリオV60の特徴や美味しい淹れ方の図解や動画を交えて美味しさ抽出の秘密の謎解きをしていきます。コーヒーの抽出に1歩2歩進んだ解説となっております。初めての方向けというより普段からドリップをされている方、どうしたら美味しく淹れられると考えている方にお勧めします。

初めまして「ハリオ」



HARIOこのマークが目印。一般家庭で使いたい!使ってみたい!と思わすおしゃれでカラフルな調理器具コーヒー、ティー、酒器類、珈琲器具問わず幅広い商品アイテムがずらり。
今では、一般のスーパー、デパート、そして雑貨店でも見かけるようになりました。そのハリオといえば1921年創業の93年の長い歴史を持っています。
東京 神田須田町に柴田弘製作所を創立、理化学用硝子器具の製造と販売を開始しましたことから始まります。
そうそうガラスと言えばハリオです。
そもそも名前の由来は、The King of glass, ガラスの王様です。
硝子の王様「玻璃王」(七宝のひとつの水晶)を意味しています。
硝子製品のクオリティが高く、日本だけでなく、海外からも評価されています。日本でも業務用から一般家庭まで幅広いユーザーをターゲットに展開されています。数々のヒット商品の中、
主力商品となった
1957年 S7型サイフォン
1965年 フリーザーポットの1号型
1969年 耐熱硝子製保存容器初代「サイクルウェア」発売
1979年 ハリオール(コーヒープレスで知られる)
1988年 硝子の急須「茶々」、「茶茶急須」
そして、世界的ブーム的なコーヒードリッパー V60シリーズ

が世に出回ってきたのは2005年からです。
V60の歴史はまだたったの16年。他のメーカーさんと比べるとかなり新しい時代のものと言えます。そして人気の高さや、プロからアマチュアまでのユーザーの多さ、目を見張るものがあります。

ハリオの魅力
性能、機能の高さはもちろん、デザイン性の高さそして手が出る納得の価格。手が届く納得の価格。
キッチンに並べておきたくなるようなシンプルかつ、カラーバリエーションや素材の多さが魅力です。
特に耐熱強化ガラスはレンジや食洗機対応で時代の流れにあっています。

ハリオV60透過ドリッパーについて



従来の扇形ドリッパーとは違う新しい円錐形のドリッパー。2005年より発売。ネルドリップに近い構造により味わいを再現。写真はガラス製の透過ドリッパーです。厚みのあるガラスに、底から上部まで伸びた長いリブと上部から短く伸びた2種類のリブが螺旋状に伸びています。

底1点には、大きな穴が空いています。

材質にはセラミック、ガラス、AS樹脂、ステンレス、銅製がある。
V60透過ドリッパークリア
V60耐熱ガラス透過ドリッパー01、02、03
V60メタルドリッパー
V60カパードリッパー
V60透過ドリッパーセラミック
価格 樹脂製で432円~5000円帯

ドリッパーにつけらた持ち手部分は取り外し可能です。


<メーカー推奨の淹れ方>
最初に粉を蒸らす。
炭酸ガスが抜けたころ30秒ほど待ってからは、断続的にお湯を注ぐ。早く注ぐと軽やかに。ゆっくり注ぐと深い味わいが出る。
推奨抽出時間 3分~4分
紙フィルター/円錐形
杯数と粉の量の目安
1杯分 120㏄ 12g  中細~中挽き
2杯分 240㏄ 24g 中細~中挽き
杯数が増えるにつれて8~12gずつ粉を増やす。

ハリオV60 本体の構造

大体の構造を頭に入れた上で、もうちょっと深くこのドリッパーを探っていきます。横から見て図にすると三角。逆円錐形ではありますが、こちらをコーヒー器具用語としては、円錐形のドリッパーと言います。3枚はぎのネルフィルターの構造をもとにネルドリップに近い味わいを再現してしている。

リブをよく見るドリッパー上部まで伸びているものは12本。上部から短く伸びた短いリブは12本。合計24本のリブが伸びています。そのリブは、真っ直ぐではなく円弧上に伸びている事からスパイラルリブと呼ばれています。

スパイラルリブは、底の穴に近づいた箇所で高さがやや高く造られ造られています。穴は大きな1つ穴。紙フィルターをセットした際に穴からでる先端部分が大きくなります。持ち手部分を外すとアルファベットの「V」の形に見えます。

「V」字の角度が60℃。「V60」のネーミングの通りです。

V60の円錐形で大きな1つ穴。スパイラル状の沢山のリブといったキーワードが見えてきます。

金澤屋流ハリオV60で淹れる|動画解説

底に大きな穴が1つ 円錐形
スパイラルリブは先端部分の下部で深くより高く設計。フィルターの先端が大きく出る形状
<抽出のコツ>
1. 紙側にお湯をかけない
2. 蒸らしの際に、フィルター内の粉にまんべんなくお湯が届くくらいのお湯をたっぷりと一度に注ぐ。
3. 炭酸ガスが抜けるまで注ぐのを待つ。
4. 蒸らしが終わったら、抽出の開始。1度に注ぐとすっきりと、ゆっくり注ぐと深みのある味が引き出せる
5. 泡には、コーヒーの灰汁が付着して浮いた状態になっているため、最後はドリッパー内のお湯を落とし切らずに完了させる。

ハリオV60と3枚はぎのネルフィルター比較

ネルドリップに近い味わい。という事で当店のオリジナルネルフィルターと比較してみます。当店のネルフィルターは、3つのはぎを縫い合わせた3枚はぎと言われるネルフィルターです。V60のドリッパーと並べて見ると

横からのアングル、上からのアングル、とても似ていますね。ちなみにネルフィルターのはぎの枚数は一般的に、2枚はぎ、3枚はぎ、4枚はぎがあります。はぎの枚数が増えるほどネルは球体を半分にカットした形状に近づいていきます。2枚と3枚では、確実に形状が変わります。3枚はぎの方が球に近づき上から注いだお湯は、球の1番深い箇所に流れ、偏りなく流れやすい構造です。

ハリオV60と3枚はぎのネルフィルターの比較

この部分は、ハリオのドリッパーとネルフィルターの構造の比較の核心部分ではないかと思うほど大切な点と考えています。実際にドリップした状態でのとハリオとネルドリップの比較。ハリオの利点である「淹れ手が味をつくる」これこそがネルドリップの利点と重なる部分です。

まずは、解説図のネルドリップの抽出を見てみます。ネルの袋に直接粉をいれドリップします。布側には、お湯が抜ける事は勿論抽出時の炭酸ガスも抜けます。

ペーパードリッパーの場合は、ドリッパー+紙フィルターがあり、ダイレクトにお湯が落ちることがありません。ドリッパーという障壁があります。

ネルドリップの抽出前半では、豆からでる炭酸ガスが沢山抜けコーヒーの味がでる準備が効率よくできます。ガスが抜けた後のコーヒーは、お湯を吸い急速に濾過が始まります。布側全体からお湯が抜けますのでネルの場合は注ぎ方がダイレクトに味に出ると言えます。理想的な抽出といえば、ただ早ければ言い訳ではなく、布側に近い粉にも満遍なくお湯を注ぎ布にお湯をかけないようにコーヒーにお湯を通過させる。細口ポットであれば、湯量のコントロールが可能です。

ハリオV60は、このネルドリップのような構造をドリッパーで開発しました。円錐V型60℃。大きな穴。複数のリブや形状でドリッパーと紙フィルターの隙間を多くしてあります。密着しているのはリブの箇所。密着していないと言う事は、抽出時紙フィルターはより自然な流れで濾過されます。複数あるリブによってむらしの炭酸ガスの抜けがよく、コーヒーの持ち味を隈なく発揮できます。ガスが抜けた後の抽出時には、注ぎ手のスピードに乗ってお湯が濾過されます。コーヒーの味わいは、注ぎ手が造ると言うのはこの特徴から言える事です。

早く注ぐ、ゆっくり注ぐ。コーヒーによって淹れ分ける!など使い勝手は自由です。初めての方は、やや難易度が高いですが理解を深める事でより美味しくコーヒーを淹れられます。

ハリオV60透過ドリッパー①粉をセットした際の基本構図

ドリッパーに粉をセットした際のイメージです。上から覗くと粉はまんまるです。斜め横から見ると、ドリッパーの底先端から紙フィルターの先端が出ているのがわかります。真横からドリッパーの粉を想像して見ると、1番右の図となります。上から見て中心から底に向かって粉の層が1番深く、ドリッパー側に行くほど粉の層は浅くなります。コーヒーの粉に満遍なくお湯を注ぐには、中心にたっぷりとお湯が必要であり、そのサイド側は、中心に注ぐ量よりも少なくて良い事がわかります。ドリップは、中心からお湯を注ぎましょう。と言うことが多いですがこういった点を頭に淹れると理屈がわかります。

ハリオV60透過ドリッパー②形状を考える

ここで、思い切って違うドリッパーと比較して見ます。扇形の代表で言えば、カリタさんです。こちらのドリッパーは、皆さん持ってる!とご存知の方が多いはず。扇形と円錐形は全然違うのですね。勿論この違いは味にも出ます。同じ粉の量を円錐ハリオと扇形カリタで比較しました。ハリオの方が粉の層が深くなります。深いと粉とお湯の接触時間が長くなりますので抽出効率はググッと上がりますよ。

ハリオV60 透過ドリッパー③そこに大きな1つ穴

底に大きな1つ穴。通常のペーパードリッパーと比較してもハリオのV60は、ペーパーフィルターとドリッパーの接点が少ない事がわかります。リブの数とリブの高さ構造が加わりより接点が最小限になっています。注がれたお湯は、ドリッパーの制限を受けずよりスムーズに流れます。

抽出時間を測って淹れてみるとわかりやすいですが早く注ぐ、中速、ゆっくり注ぐとコーヒーの味はどうなる?などがよくわかるので、抽出の技量をあげることができます。

ハリオV60透過ドリッパー④スパイラルリブ

スパイラルリブにフォーカスしました。うねりの効果とネルドリップに似せた構造。浮いた紙は、よりお湯を吸って膨らみ保水力の効果も期待できます。保水力の高さは美味しさを引き出すネルドリップの特徴の一つ。高ければ高いほどお湯を粉の接触時間が長くなり味が引き出されます。

ハリオV60の抽出中のお湯の流れ

抽出時には、お湯はこのスパイラルリブによってスパイラル状にうねりを伴って流れます。また豆から出る炭酸ガスは効果的に外へ出ていき短時間で効果的な蒸らしが行えます。

抽出中のお湯の流れ(他社比較)

抽出中のお湯の流れを他のフィルターと比較しました。

上記記載のドリッパーやフィルターを見たことがある、使ったことがある方はイメージして見てくださいね。比べると面白いのです。同じ扇形でもリブのつき方や穴の位置によって変わったり、ハリオで言うとよく比較されるのはコーノ式。

メーカーによって構造が違いますので、推奨する淹れ方も様々。

ハリオと比較されるコーノ式では同じくネルドリップに近い味わいと言いながらもなんとリブが短く紙フィルターとフィルターがより密着する構造になっています。ドリッパーとの接点を減らしたハリオの考え方から言うと「えーなんで?」とまたまた違う構造ではありますが、それだけに推奨する淹れ方も異なります。考えて淹れるとなるほど!と。(コーノのお話はまた今度)

ドリッパーの造りや形状を考慮すると淹れ方が沢山あるのも理解できるでしょうか?ですがコーヒーの基本は同じです。造りの理解を深めるといつものコーヒーがより美味しくなることは間違いありません。

ハリオV60透過ドリッパー抽出のイメージ

ハリオの抽出の最大のポイントはむらし。最初に注ぐお湯ですが、ためらわず、粉全体にたっぷりかかるように一気に注ぎます。こうすることで一気に炭酸ガスが抜け、全ての粉が抽出体制に切り替わります。より短時間で味わいを引き出せます。特に炭酸ガスの多い煎りたてのコーヒーはハリオが優勢と言えます。煎りたてって美味しいけどガスが沢山出ています。ガスの抵抗があるとお湯を思ったよりも吸わないので、水っぽくなるのです。いつもより味が薄いなーとか、思ったことないですか?その後は、一気に注いでも数回に分けて注いでも自由です。

ハリオV60透過ドリッパー抽出のイメージ

抽出時の、イメージです。炭酸ガスの放出と共に灰汁が粉の表面に浮いた状態になっています。ドリップの最後は、ドリッパー内のお湯を落とし切らずに浮いた状態で終わらせましょう。こうすることで灰汁の混入を防ぐことができます。

ハリオV60透過ドリッパー|ドリップ時に紙を濡らす手法

紙を濡らす?濡らさない?

個人的な見解ですが、紙フィルター自体に臭みがある、気になる何かがなければ濡らさず淹れてほしいなーと思います。ドリップする際に濡らすと言う人がハリオユーザーさんに多いですが、まずはノーマルにドリップ。気になったら濡らして淹れて比べてみたらいかがでしょう?個人的には、濡らさない派です。良質なコーヒーで紙であれば濡らす淹れるのが最適です。ドリッパーの構造の説明の理解も深まります。それでも濡らす理由をいくつか考えてみました。


ハリオV60 透過ドリッパードリップのコツ|蒸らしのガス抜き作業

ここまで来て、むらしのお話です。むらしって何?と思ってた人も多いかも知れません。豆から挽いて淹れたコーヒーってよくお湯を注ぐとぷっくりと膨らみますよね?コーヒーが持っている炭酸ガスという気体なのですが、普段は目には見えず、焙煎後コーヒーの香りと共に抜けているものです。この炭酸ガスが抜ければ抜けるほどコーヒーの劣化が進みます。美味しく入れるには、この炭酸ガスをきちんと抜いて粉がお湯を染み込みやすくなるようにするのです。

この炭酸ガスは、浅煎りのコーヒーでも深煎りのコーヒーでもみんな持っているものです。抽出する際に、むらしをするのは、準備不足になるのを防ぐ為です。ハリオのリブは、ドリッパー全体についていますので効率よくガスが抜けます。

ガスが抜けたかの確認は、膨らみが落ち着いた頃。少し凹んだ瞬間など。長く待ちすぎると今度は逆にコーヒーの繊維が伸びきってしまうこともあるので、お湯を注ぎ始めたら目を離さずにが鉄則です。むらしの後の注ぎ始めは、粉の中心にお湯を数的垂らしその際に泡がクリーミーに上がってくるタイミングがちょうど良いと言えます。最初は、ゆっくりゆっくりでOKです。

ハリオV60透過ドリッパー|蒸らしの後は浅煎りと深煎りで淹れ分ける

コーヒーには、色々タイプがあります。ささっと淹れて軽やかさや香りのあるスッキリとした風味が特徴となる浅煎りコーヒー。ゆっくりと引き出す事でまろやかで深みや甘みが出る深煎りコーヒー。好みは、人それぞれですがハリオのドリッパーでは、こういったコーヒーの注ぎ分けをできます。

それぞれ、むらし作業は同じですがその後の抽出が異なります。

この淹れ方もほんの一例ですので色々試して研究するのも面白いですよ。

ネルドリップに近い味わい⁉ハリオV60透過ドリッパー1点ろ過を集中させる検証結果

こちらは、少し気になっていた抽出時のお湯の流れを実験的に検証したものです。穴が1つでも抽出時、お湯がドリッパー側から分散して濾過されたり底1点以外からもお湯が抜けている点があり、気になって実験。

お湯を一点に向かって注ぎやすくするには、注ぐ速度を早くする高速ドリップで変化が見られました。

更に紙フィルター自体に細工をしてみた場合がこちらの図解↓

糊代部分をカットするというものですが、なんとこれが良かった。切りすぎると圧着部分が弱まって破れることもありますので、おすすめはできませんが(笑)

のししろ部分をカットしセットし通常と同じようにドリップしたところ、お湯のい流れはより1点に集中しました。更に驚いたのは出来上がった液体の艶感。コーヒーの表面にキラキラしたものが見られます。これをコーヒーオイルというのですが、ネルドリップしたコーヒーでよく浮かぶオイルです。コーヒーの成分ですが通常は、ペーパーで濾されて見えなくなっているものです。

このオイルが出て来る事で、とろっとした質感、甘さ、まろやかさが感じられます。これがネルっぽさでもあります。

たまたまカットしたらこのオイルが沢山。糊代部分でオイルが吸われていたこと、より一点に湯が流れることで、コーヒーの成分を透過させたと言う事になります。

V60が世界中で人気の理由-まとめ



V60注ぎ手が味を作る!と言っても過言ではないのがV60。

十人十色の淹れ方、味がある。

淹れ方で七変化する難易度の高いドリッパーであるが、家庭用からプロまで幅広く愛用されている。

リブの構造や形状により抽出に時間がかからない。

近年のサードウェーブ系のカフェで提供する浅煎りのコーヒーのフレッシュ感、果実感、明るい酸味などの持ち味を引き出すのが持ち味で世界的にユーザーが多く愛用されている。

材質や大きさなどの商品アイテムが沢山あり選ぶのが楽しい。

いかがでしたか?ハリオ。

コーヒー以外の食器でも多く登場するので、キッチンアイテムに揃えたくなりますよね。おしゃれなハリオ、当店オンラインサイトでも販売しておりますよ↓

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