無題

「帰り道、ふと、前の職場の最寄り駅で降りてしまった。
見慣れたホーム。いや、そうでもないな。
駅ビルの書店は閉まっていた。
足は無意識に南口を向いていたので、そのまま前の職場へ向かった。
覚えていると思ったのに、3回道を間違えた。
すれ違う人がかつての上司に見える。首は動かさず横目で顔を見る。全然違った。
オフィスの電気は消えていた。潰れた? テナント看板を見る。見慣れた横文字がある。しぶといね。

急激にどうでもよくなったので、また歩きだす。そうか、潰れていてほしかったんだ。
2分ほど歩くと、知らない古着屋ができていた。あるいは、もともとあったのに知らなかったのか。
その向かいにクリーニング屋がある。ドア上に電灯が5本生えていた。全部上を向いている。入店する客を光らせるためではなくて、ロゴを光らせるためだけにあるんだ。5本も? 目立ちたがり屋さんかよ。今は消灯しているから、白とピンクのロゴに黒くて細くて長い影が落ちている。
また歩き出す。信号。松屋。定礎。マンホール。あ、靴が汚れてる! 最悪!

電柱にある住所の地名が変わった。隣の駅に着いた。もうどうでもいいので駅に入る。改札を通った瞬間に、部署のSlackが動いた。誰かがまだ残業をしている。電車は5分後に来る。noteでも書くか。」と、ここまで書いていたら家の最寄り駅に着いたので終わりにします。おやすみなさい。

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