一生実家暮らしかもしれない その12
初めて病院に行った時は、今のように初診の予約はいらなかった。
中に入り「初めてなんですけれど」と伝えると、「こちら18歳以上の方が対象の精神科ですがよろしいですか?」と聞かれ、はいと答えた。
でかでかとした問診票を書き、受付に出して座っていた。
しばらくして名前を呼ばれ、診察室に入った。
そこには短髪にメガネの、背の高いおじさん先生がいた。
今の状況や困っていることなどを話したが、自分でも何をどう伝えたか覚えていない。
先生は私の話を一通り聞くと、「初めて来た患者さんで君のようにわかりやすく説明してくれる人は初めてだ」と褒めてくれた。
「先生、私は家で何をしたらいいですか」
「寝てて」先生はウインクでもしそうな勢いの笑顔でそう言った。
薬をもらい、病院の最寄駅からだいぶ離れた中古CD屋まで歩いた。好きなバンドのCDを2枚買って帰ってきた。
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