一生実家暮らしかもしれない その14
その年の冬に飲食店のアルバイトを始めた。
もちろん、何かしなくちゃという焦りからだった。
学生の時にも飲食店で働いていたので仕事を順調にこなせると思っていた。
ところが同時並行の仕事ができなくなっていた。
例えばもうすぐ料理ができそうな時に、一緒に持っていくドリンクを作り忘れてしまったり、お会計やご来店が重なるとどちらを優先したらいいかわからなくなってパニックになっていた。
一度ミスをしてからはシフトに入るのがどんどん怖くなっていった。
次の日失敗したらどうしよう、と悩みすぎてお風呂に入れないまま出勤してしまったこともあった。
店が混雑している時に失敗すると、容赦なく怒鳴られた。
接客業なのに笑えなくなる日がどんどん増えていった。
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