パワーメタル万頭開発の経緯その2
こんにちは。板屋4代目です。
前回のブログでパワーメタル万頭開発の経緯について少し説明しましたが、長くなりそうだったので分けるかたちとなりました。今回はその2ということで読んでいただければと思います。
前回のブログでは主に作ろうと思ったきっかけと、商品化することの難しさを中心に据えました。ヘヴィメタルをテーマにした和菓子なんか作ってもそりゃ赤字になりますよね~、ということがなんとなく分かっていただけたのではないでしょうか。
今回はそのあたりの難題をどうクリアして商品化したかということを説明します(まぁ実際そこまで大仰な話ではないんですが…)
メタル和菓子については何年か前から何かできないかなぁと考えてはいましたが、前回のブログで書いた経費的な部分を筆頭に、他にも奇をてらったものや突き抜けたものは最初は良くてもリピーターを作れないだろうなぁと思ったり、自分が食べて美味しいと思えるものじゃないと意味がないなぁと思ったりして、色々と案を浮かべてはボツにしてました。
そしてさかのぼること一昨年の6月中旬。工房のほうで「氷室万頭」の製造をしているときのことです。氷室万頭とは7月1日の氷室開きに合わせて万頭を食べるという金沢にある風習で、金沢の和菓子業界では1年の中でもトップクラスに重要なイベントとなっています。
6月末~7月1日にかけては金沢市内の和菓子店やスーパー、はてはコンビニまでどこを見渡しても万頭だらけで、この期間にいったい何十万個の万頭が金沢市民のお腹に消えているのか心底知りたいくらいです。つまりそれだけの数を金沢市内の和菓子屋が作っているわけで、6月中旬以降はどこのお店もひたすら万頭を作っています。
その氷室万頭、板屋では粒餡/こし餡/白餡/かぼちゃ餡の4種類の万頭を作っており、長年かぼちゃ餡が一番人気の座に座っています。上の写真の黄色いやつです。
そのかぼちゃ餡の氷室万頭を製造しているときに、ふと「これにお化けかぼちゃの焼き印を押したらハロウィンの時期に売れるかもな~」と思いました。そこからしばらく思索にふけっていくなかで「HELLOWEENの焼き印はさすがに無理やよなぁ…あ、メロイックサインの焼き印ならいけるか…」と思ったところで「それや!」と一気に目の前が開けた気分になりました。
「お化けかぼちゃとメロイックサインの焼き印が押してあるかぼちゃ味の万頭」となったら、メタルファンならHELLOWEENを連想してくれるのではないか。聞くと「なるほど!」と思ってもらえる納得感はありますよね。
更に大きいのはメタル和菓子のために新たな商品を考えなくて良いということです。上述の通り板屋の氷室万頭の中で一番人気なのがかぼちゃ餡であり、既に完成された商品ということで作り方も同じです。イチから試作したりなんだりという労力と時間はこれで不要になります。
また一番人気ということは味も間違いない(僕も好きですから)わけですから、自信を持って出せますしリピートしてもらえる可能性も残せるかもしれません。
ヘヴィメタルをテーマにした和菓子と聞くとおそらく最初はネタ的に捉えられると思いますが、やるからには見かけだけだったと思われるのは絶対に嫌だったので、かぼちゃ万頭はそういった点もクリアできる気がしました。
そして前回のブログでも書いたお金がかかる包装関係ですが、とにかくお金をかけずに自前で持っているものをフル活用する方法を考えていきました。
具体的には
・万頭1個1個を包装するフィルムは無地の汎用タイプ
・箱は他の商品に使っているものを流用
・箱にする帯紙はデザインだけ依頼して印刷は自前
・箱を包装する包装紙は板屋の包装紙
という方針です。
この中で新規に費用が発生するのは3番目だけです。トップ画像にあるやつですね。さすがにこういったデザインは素人の僕には無理なので、ちょっと前に知り合ったデザインができる方に趣旨を説明して、デザインしてもらって完成したのがトップ画像のものということです。
メタルは殆ど知らなかったようですが、HELLOWEENのARE YOU METAL?を聴きながらイメージを膨らませてくれたみたいです。
ちなみにARE YOU METAL?の文言は僕が絶対入れてほしいとこだわったものです。今回の商品はHELLOWEENを連想させるもので、ARE YOU METAL?という文言は最高のフレーズです。デザイン全体としてもHELLOWEENの楽曲と同じポップで楽しい感じ、且つ可愛らしく仕上げていただきました。
といった具合に、パワーメタル万頭を新たな商品として販売するにあたって新規に発生した費用はわずか2種類。2個分の焼き印代と帯紙のデザイン代のみです。ざっくり5万円くらいでしょうか。前回のブログに書いた通り色々と新規で作ると4~50万円くらいかかってしまうものが10分の1程度で済んだわけですね。
氷室万頭のおかげで野望として抱いていたメタル和菓子を実現できる見通しが立ったわけです。最初に閃いたときから自分でも「これならいけるかも」という手ごたえがあったので、その後の色んな方法を考えていくのがとても楽しかったです。
経費面をクリアしたパワーメタル万頭、次回のブログでは残ったその他の裏話などを紹介したいと思います。
それでは。
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