タイ・国内源泉所得と国外源泉所得
タイ国歳入法は、第41条において個人所得税に関する課税原則を定めています。
①タイにおける職位、職務、事業、あるいは財産から所得を得た者は、「その所得がタイ国内で支払われたかタイ国外で支払われたかに関わらず」、タイの個人所得税が課税される。
②外国における職位、職務、事業、あるいは財産から所得を得た「タイ国居住者」は、「その所得をタイ国内に持ち込んだ部分に限り、タイの個人所得税が課される。
③課税年度(暦年)において、滞在日数の合計が180日以上ある場合、タイ国居住者とみなす。
上記の含意は、
・「タイ国居住者」(暦年で180日以上の居住者)は、「タイ国内源泉所得」に対して、タイの個人所得税が課され、その受取りがタイ国内かタイ国外かを問わない。
・「タイ国居住者」は、「国外源泉所得」に対しても、タイ国内に持ち込んだ範囲でタイ個人所得税が課される。
第41条には、国外源泉所得についてタイ国内に持ち込んだ年度(暦年)に関する規定がありません。
この点、歳入局解釈指針(Kor.Por.Or. 21Feb B.E.2528(1985)では、「その所得を持ち込んだ年度(暦年)に限り、その所得を持ち込んだ範囲内で課税される」との解釈が一般的でした。
しかし、歳入局解釈指針(Departmental Instruction No. Por.161/2566)によって、「その所得を持ち込んだ年度(暦年)に関わらずタイの所得税が課される」に差し替えられました。
新しい解釈指針は以下の内容です。
歳入局解釈指針(Departmental Instruction No. Por.161/2566)
歳入法第41条第2項に基づく個人所得税の課税について
(第1)
歳入法第41条第2項で定める「外国における職位、職務、事業、あるいは外国に存在する財産から歳入法第40条で定める所得を得たタイ国居住者」は、どの課税年度においてタイ国に所得を持ち込んだとしても、当該課税年度において、当該所得を第48条で定める個人所得税の計算に含め、歳入法に規定する個人所得税を納税しなければならない。
(第2)これに反する指針、ルーリング、実務等は廃止する。
(第3)この指針は、仏歴2567年1月1日以降にタイ国内に持ち込んだ所得に対して適用する。
(ご留意点)
・当該解釈指針は法律ではありません。強制力はありません。
・どういった課税実務となるかは今後推移をみる必要があります。
・どうしてもタイに送金しなければならない場合(コンドミニアム購入など)は、2024年1月以降の送金の場合、課税されます。(解釈指針に従えば)
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