小学校お受験、入塾はいつから?
元お受験ママ、カナヲです。
このノートは少しでもお受験に挑む家庭のお役に立てればと書いているものです。
この記事は連載5回目です。
前回のノートで熱く語った内容、読んでいただいたでしょうか?
前回の内容を一言でまとめると、「塾なしでのお受験合格は不可能」ということでした。
やっぱ、塾、必要か・・・
じゃあいつから入ったらいいのかしら、というのが次の悩みですよね。
それが今回のテーマです。
お受験はやはり「都内私立」がメインの戦場ですので、塾は入試の行われる11月を年度始めと定めたカリキュラムで動きます。
つまり、幼稚園の年少の11月に新年中クラスとして開講するのがお受験教室のスタートとなります。
4歳(11月以降生まれの場合は3歳)の11月からです。
カリキュラムは11月開始
ほとんどの幼児教室はこの2年間でカリキュラムを組んでいます。
しかしスパイラル方式、つまり月齢があがるごとに難易度を少しずつ上げながら同じ単元を繰り返し学習する方式をどの塾も採用していますので、いつからでも参戦(入塾)できるとも説明されています。
顧客獲得のうまい手ですね。
しかし、事実その通りなのです。
中学受験と違い、幼児は脳が未発達ですので、3〜4歳に習ったお勉強などすぐに忘れてしまい、簡単には定着しません。
半年遅れて始めた子にあっという間に追い抜かされることは普通にあります。
個人差がとてつもなく大きいのが幼児ですので、早々と完成してしまう子や、ギリギリ直前に大きく伸びる子、最後までお受験には対応しきれない子や失速してしまう子もいたりと、本当にさまざまです。
一般的に見れば、ある程度発達の良い場合は子どもの学習だけならば、1年間の準備でも間に合う可能性は十分あります。
しかし、小学校受験は親の受験です。
親が情報収集をし、塾を決め、学習習慣を家庭に定着させ、学校を調べて志望校を決め、願書を書いて出願し、面接シミュレーションをし、子供の能力を考査本番にピークにもっていくコントロールをするのです。
1年間では親の準備が相当タイトになってしまいます。1年間でも不可能ではありませんが、もう少し時間が欲しいところです。
もちろん資金に余裕があれば2年前の年少11月からというのが一番よろしいかと思います。
ええ?結局、いつがいちばんいいの?!
という苛立ちの声が聞こえてきそうです。笑
それぞれのタイミングを箇条書きでシミュレーションしてみますね。
どこで何をするというのは色々なオプションがありますので、まずはメインのお教室への総合クラスの入塾時期で考えてみましょう。
前回も書きましたが、小学校受験では塾のことを「お教室」と表現します。
受験生側は塾と表現することもありますが、塾の先生は絶対に塾という言葉は使いません。「お教室」です。
そして勉強のことは「お取り組み」です。
勉強という言葉は使わないのに、なぜか「家庭学習」という言葉は頻繁に使います。
笑ってしまいますが、このようなお受験特殊用語は他にもたくさんありますので、随時書いて行きたいと思います。
入塾時期シミュレーション
◆年少11月より前に入塾
幼稚園入試も視野に入れてるのではない限り必要なし。
よっぽど裕福で時間に余裕があるならばまあ勝手にすればよし。
(雙葉小学校を狙うような家庭で、しかし幼稚園合格は縁故がなくむずかしいという場合、ご挨拶がわりに幼稚園を受けるだけは受け、小学校受験で本気で狙うため、赤ちゃんの時から入塾するという話も聞きます。)
◆年少11月(新年中)より入塾:2年間コース
早くからお受験を予定している家庭はこのタイミングで入塾するのがスタンダード。
2年間の準備期間で、塾のカリキュラムをフルで学べます。
ノー知識のまま入塾しても、時間をかけて考えることができますし、学校説明会も余裕を持って回ることができます。
◆年中4月より入塾:1年7ヶ月コース
4月の年度変わりに親子共々環境の変化等があるでしょうから、そこからお教室通いを始めるというのは悪くない選択肢です。
すでに11月入塾の方々との差も気にすることはないと思います。
◆年中夏より入塾:1年4ヶ月コース
個人的にはこのタイミングがもっともコストパフォーマンスが良いのではないかと思います。
前年11月入塾の方々に追いつくのもまださほど大変ではなく、しかも学校別クラスの開講される新年長11月より前に塾通いにもすっかり慣れ、それまでに基礎を進める十分な時間があります。
ただし、学校説明会が夏にはすでに終わっている学校が多いので、できれば入塾前に書籍やネットで情報収集して、めぼしい学校の説明会は行っておくべきです。
説明会は日程が多くの学校で被りますので、年長時の1年だけだと併願校やすべりどめ校に行く時間が取れなかった、または検討しきれず志望を考えた時には説明会が終了しているという可能性があります。
入塾前にすでに受験を考えているならば、まずは学校について調べる・説明会に行くということを春頃から先に取り組んでおくべきです。
また、入塾前の春頃からペーパーの家庭学習も始めておくとスムーズです。
ペーパー学習とはいえ、最初はしっかり筆記用具を持ち、線やマルを描くというようなところから始まります。
まずは1日5〜10分机に向かうという習慣を入塾前からつけさせておきましょう。
◆新年長11月直前(9月・10月)に入塾:1年2ヶ月コース
この頃になると、超難関と言われる学校を目指すには一刻も早く始めないと間に合わなくなります。
ここまでに入塾していないということは、急に思い立って受験することにしたご家庭と思われます。
おそらく親御さんはお受験についても小学校についても、情報が乏しい状態ではないでしょうか。
親子共に猛勉強を開始してください。
特に親御さんの情報収集が大事です。
入試までにやらなくてはならないこと、子供にやらせなくてはならないことを11月までに整理し、11月の新学年開始時にどの学校別クラスを受講するかを決めて申し込みまでしなくてはなりません。
塾によってはこのタイミングからだと、すでにクラスがいっぱいで断られることもあります。とりたいクラスを受講できる塾に入りましょう。
本気で頑張れば超難関校への合格も可能性は十分あります。
(実際にカナヲのまわりにもこのパターンはわりといらっしゃいます)
◆新年長11月より入塾:1年コース
どの学校を目指すかにもよりますが、もしも超難関校を目指すならば、出遅れた感が否めません。が、可能性はゼロではありません。
しかし焦って子供に負荷を急にかけると、子供は潰れてしまいますので慎重に様子を見つつ進めましょう。
しかし、やはりスタートが遅い分、やらなくてはならないことはたくさんあります。
11月からは志望校別クラスが始まります。
基礎がまだできていないとしても意中の学校のクラスがあるのであれば履修する以外の選択肢はないと考えた方がいいです。
この時期から始めるご家庭が学校研究をご自身でなさるのは不可能です。
2年間コースの方ですらほとんどの方が学校別クラスを履修なさいますので、遅れた分を取り戻すにはプラスアルファ、絵画クラス・運動クラス・行動観察クラスをなどを取るか、それぞれの専門のお教室に別に通うことを検討するべきかもしれません。
また難関校受験者向けの選抜クラスなどもこの時期から始まります。それまでの成績で受けられる子がピックアップされますので、選抜クラスに最初から入ることはできません。
選抜クラスに入るのであれば3ヶ月程度で一気に成績をあげていくしかありません。
そこまでしなくても1年未満の準備で難関校に合格なさるお子さんもいらっしゃいますが、よほど元々の能力が高いか、ご家庭のしつけや教育が良かったか、試験当日に大きなラッキーが起きたかだと考えられます。
いずれにせよイレギュラーなことですので、この時期からの方は1年間は24時間365日受験にむけて努力するべきです。
◆年長春以降に入塾:7ヶ月コース
いわゆる超難関校やそれに次ぐランクの学校の合格の可能性はかなり低くなります。
年長春と言えば、考査に出る範囲の学習の基礎問題集は2〜3周程度はとっくに終わらせているべきです。
この頃から応用問題から実際の入試の過去問演習に入っていく時期であり、志望校も併願校まで大体目星がついて、説明会のスケジュールを組んだり願書のネタを書き留め始めなくてはなりません。
この時期から開始して最上位校クラスを狙うのであれば、入塾までに家庭で塾にいる子と同じかそれ以上のペーパーをこなしていたり、そもそも名家であったり学校に縁故のある家庭であったり、お子さんが天才児であったり・・・というような条件があれば叶うかもしれません。
そうでなければ、最上位校は避け、しっかりと合格可能な学校を堅実に狙いましょう。
ですが、この時期に始めるような方に限って早慶・筑波以下ならお受験する意味がないなどと言い出しがちでもあります。
お受験とはどのようなものなのかをご存知でないからこその、この時期からの参戦であり、無茶な高望みをしてしまうというわけです。
冷静に考えてください。1年半前から本気で頑張っている方との差を埋めることが本当に可能かどうかということを。
しかしながら。
お受験は番狂わせは必ずあります。
夏頃スタートで早慶や筑波に合格するという話もないわけではありません。
併願校をしっかり定めた上で、最上位校に記念としてチャレンジするのは自由です。万が一受かれば超ラッキーです。
受けなければラッキーは絶対にありませんからね。
買わなければ当たらない宝くじを一応買うというくらいのつもりで。
またこの時期からでも国立大附属校ならば合格する可能性は十分あります。
なぜなら国立附属校の合格者を見ると、私立狙いでしっかり特訓してバッチリ仕上がったお子さんが残念な結果で、短期間の準備で荒削り、よい言い方をするとナチュラルなお子さんが合格する例が本当に多いのです。
しかし、準備が間に合ったとしても高倍率の抽選にはずれる可能性の方が高いのが国立大附属であることも承知しておいてください。
(そうです。国立の附属小学校は抽選!がありますからね。抽選だけで5倍以上の学校もあります。落ちれば考査を受けることすらかないません。そういう意味で受験準備が簡単に水の泡になるのが国立です。)
抽選の倍率が高いからこそ「抽選さえ通れば合格するかも」という考えの家庭がたくさん夏以降に入塾してきます。
国立附属校のみに出願するというご家庭です。
夏からの準備で本当に合格なさる方もいらっしゃいますが、それでもやはり入塾前にペーパーの家庭学習はしておいた方がいいでしょう。
我が家の場合・反省点
いかがだったでしょうか?
みなさんはどこに当てはまりますか?
我が家は期せずして「コスパ最高」とした年中夏からのスタートでした。
それを知っていてこの時期まで待っていたわけではありません。
たまたまお受験を思い立ったのがその時期だったのです。
ですから、上に書いたようにすでに志望校が決まっていたり、お受験の全体像を把握していたわけではありません。
そのため、そこからはずーっと情報集めに奔走しましたし、説明会は年長時のみでしたので、併願校選びには苦労しました。
幸い我が子は最終的には第一志望と第二志望に合格し、いわゆる超難関校と言われる学校に入学しました。
そのため併願校対策は手薄なままでもなんとかなりましたが、その2校がダメだった場合、入学したい学校の合格は一つもないという状況でした。
非常に危ない橋を渡ってしまったいうことに終わってから気づいて身震いしました。
全てが終わったあとでしたがあの学校とあの学校にも出願するべきだったと思う魅力的な学校がいくつか見つかりました。
しっかりと事前に情報を集めて「この学校に合格すれば入学したい」と思える学校で最低でも第5志望くらいまでは出願すべきだったと今でも反省しています。
もちろん、出願のやり方は家庭の考え方次第です。
ちゃんと理解した上で確たる理由があるならよいのです。
超難関校のみの決め打ち、ダメなら中学受験でリベンジというのも一つの方法です。
しかしカナヲの個人的な考えて、そうならば中学受験に強い学校を併願校として受けておくべきだと思います。合格した上で辞退するという選択肢はもちろんありですが、とにかく入学の可能性のある学校の合格を一つはいただけるような出願をするべきと考えます。
しかし志望校選びにおいて、このような熟慮は時間がないととても難しいのです。
じっくり調べて、実際に学校に足を運び、先生やお受験の先輩家庭の意見を聞いて学校を選ぶには時間がかかります。
特に熱望校があった場合、それ以外の学校の存在はなかなか目に入ってきません。
見向きもしなかった学校が「意外に良さそうかも」と思うきっかけはいつ訪れるかわかりません。
知ったときにはもう遅いということもありうるのです。
大慌てで出願校選びに失敗しないよう、親の準備は早めに始めるに越したことはありません。
【まとめ】
子どもの成長と受験準備にも時間がかかるが、小学校受験は親の受験。
親の準備に十分時間をかけられれば、子供の入塾は年中夏頃からでも余裕を持てる。
どの時期から始めるにしても志望校選びが生命線。