ある社会人野球クラブチームとの関わり
野球に関わり36年が経つけれど
ここ2年ほど、ある社会人野球の球団と関わらせていただいている。
高校時代のマネージャーに始まり、卒業前からウグイス嬢として球場に足を運び続けた。そうしていつしか野球との関わりは36年を超えた。
私にとって高校野球という世界は当たり前のものであり、それだけで野球という世界のほとんどを知ったつもりでいたのかもしれない。
でも、その社会人球団に関わり始めて思う。
私は野球の世界を何も知らなかったんだな。
仕事として始めたけれど
関わっていると言っても、練習に赴いて選手たちと話すなんてことはマネージャー時代だけ。
でも、この6月くらいからはその球団の練習に何度も足を運んでいる。
表向きは仕事。
広報用の写真を撮ることが目的なのだけれど、当初はスマホでちょっと撮るくらいを想定していた。こんなに足繁く通うことになろうとは想像していなかった。
それに、依頼を受けた時点で私が一眼レフを持っていることはお伝えしていなかった。だから球団側も、スマホ写真で十分と思っていただろう。
ただ、撮り始めると欲が出るもので。私自身ももう少しいい写真が撮れないかとレンズを買い替えたり、おそらく球団側も私の撮影の上達を期待してるだろうと思う。
ちょっぴりプレッシャー。
「また来てください!」
そうして練習に赴くことで、だんだんと話しかけてくれる選手が増えてきた。
初回から大きな笑顔で挨拶してくれた選手は「また来てください!」と言ってくれた。
息子のような選手たち。彼らからしたら、得体のしれないおばちゃんがでかいカメラぶら下げてウロウロしてるだけだ。実は私もそんな状況に緊張しながらカメラを向けていた。
それでも「また来てください!」と言ってくれたことが、たった一人だけどそう言ってくれたことが、どれだけ嬉しかったことか。
また来ていいの!?
ほんとにいいの!?
って心の中で何度も反芻した。
話すきっかけ
珍しい苗字の選手がいた。
珍しいけど、私の中学時代の同級生と同じ苗字。きっと親戚だと思い話しかけた。結果としては遠い親戚かもだけれど知らない、ということだったが、その後彼は気軽に話しかけてくれるようになった。
今では頭を下げて挨拶というより、「バイバイ」と手を振ってくれる。
これもまた嬉しくてたまらない。
野球選手の素の表情
私のカメラを見つけ、練習中におどけてポーズをとる選手、投げキッスする選手笑、恥ずかしげに逃げる選手、無表情で足早に去る選手。
行くたびに、ただ野球をしているだけの姿しか見ていなかった彼らの、感情を伴う表情を感じることが増えた。
指導陣の素の表情
コーチやマネージャーという立場の人と話をすることも。
この立場の人たちは年齢層が広く、同世代もいれば我が子みたいな年齢の人も。
我が子でもおかしくないような年齢の青年と練習を見ながら話をしていたら、プライベートのこと含め2時間話し込んじゃったりした。
管理指導する立場の彼らの葛藤を知ることができて、本音を聞くことができて、私の知らない彼らの想いを垣間見ることができた。
表情と葛藤を持った個人の集まりとしてのチーム
私の中でこのチームは、偶像や『球団』としての塊ではなくなった。個性あふれ表情豊かな選手たちが一つの目標に向かって集まった一人ひとりの人間たち。
そう思うと、組織内のあれこれや試合結果など思うようにいかない様子を見るときゅうっと切なくなる。
彼らに、好きな野球を思い切りやってほしい。
そのために、私には何ができるだろう。
いつもそのことを考えている。