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ウグイス嬢の弁当事情
高校野球のウグイス嬢という仕事を始めて、まる31年が過ぎようとしている。
今日は、私にとっては当たり前となった球場での昼食タイムをご紹介しようと思う。
ほとんどの場合、場内アナウンスとして呼ばれるとお弁当付き。
ただ、これをどのタイミングで食べるかは、ウグイス嬢によっても試合数によっても試合展開によっても違うと思う。
結論から言うと、私は現在、試合中にアナウンスをしながらお弁当を食べている。
もちろん最初からそうだったわけではない。
初心者のころはアナウンスだけで手いっぱい。お弁当を食べる余裕なんかなかった。だから試合と試合の間で食べる。
でも試合と試合の間と言っても、ノックの案内はしなければならないし、スターティングオーダーの紹介もある。
ウグイス嬢がまとまった時間をとれるとしたら、2チーム分のノック間、細切れの5分。その間に、お手洗いも済ませなければならない。
天気によってはノックもファウルグラウンドで両チーム一緒に済ませちゃうので、5分が一回だけだったりする。
試合中は、初球打ちもあればファウルで10球粘る打者もいるが、どちらにせよちゃんと見ていないと分からない。
まぁつまりは、ゆっくりお弁当を食べる時間はないわけです。
試合間のわずかな自由時間、私は少し気分を変えるために場合によっては建物の外に出ることもあります。そうでもしなければ何時間も座りっぱなしだから。
そういった理由もあり、試合中にお弁当を食べるようになったのだけれど、それもモリモリ自分のペースで食べられるわけではなく。
おかずを小さく小さく切って、お箸で自分の口の前に運んで待機。ピッチャーの手を離れたボールがキャッチャーのミットに収まったのを確認して口に入れる。小さく切ってあるので、次の投球までには飲み込める。
ただ口の中はスッキリしていないので、バッターが変わるときにはお茶を飲む。
これの繰り返し。
小さく切れないおかずのときや、ズボラして大きいままで口に運ぶと、初球打ちのとき慌ててしまうこともある。あまり噛まずにお茶で流し込むこと多々。
そして最近はスコアを付けながらアナウンスするので、さらにお弁当のハードルは上がった。
一回の表裏は、守備の紹介もあれば打者が一巡目だから2回繰り返してコールする。スコアにはなるべく打者を間違わないために右打ちか左打ちかをメモすることも多いから、一巡するまでは少し忙しい。
なのでお弁当を食べ始めるのは2回以降。できれば試合の様子が見えてくる3回くらいに食べ始めると、すこし落ち着いて食べられる。
で、先日の試合。
マイクの横に置かれていたお弁当が少し邪魔だったこともあり、さっさと食べて片付けちゃおうと思ったのだ。いつものように2回が終わったころに食べ始めると、突如試合が動き出した。
内野安打、犠打、2塁打、四球、エラー…この回一挙5点。スコアブックは真っ赤。
その間も少しずつ食べてはいたが、犠打はどこに転がった?打者走者はどこまで走った?と確認しているので食べ進めるのはとても遅かった。
結局、お弁当を置いておくのも邪魔だからと食べ始めたのに、食べ終わったのは6回コールドの試合終了のころ。一時間もかかってしまった。
こんなふうに試合展開を読み違えることもあるので、まぁゆっくりお弁当を食べることはあまりないですね。
そうやって読み間違えるのも、お弁当に時間がかかっちゃうのも、また面白かったりするのだから、ウグイス嬢が体に染みついているのかもしれません。