出生前診断で出来ること・出来ないこと~3分でわかる出生前診断~
ここでは、いわゆる「新型出生前診断」と言われる
NIPT(Non-Invasive Prenatal Testing)について説明していきます。
①確定は”出来ない”
この検査は胎児の染色体異常の有無を「スクリーニング」する検査であり、「診断」するものではありません。
あくまで”可能性が高いかどうか”を評価するための検査です。
そのため、この検査によって「陽性」となっても、その後確定的検査(絨毛検査や羊水検査)といった侵襲的かつ確定的検査を受ける必要があります。
②3種類の染色体異常の有無を推測することが”出来る”
妊婦さんの血液中に含まれる胎児のDNAを分析することで、胎児が
1.ダウン症(21トリソミー)
2.18トリソミー
3.13トリソミー
である可能性を”推測”することが出来ます。
これらの先天性疾患については、また個別に説明していきます。
③遺伝カウンセリングを受けることが”出来る”(はず)
遺伝カウンセリングとは、胎児がどの程度染色体異常をもつ可能性があるか、持っていた場合はどのような症状で生まれるのか、等をカウンセリングしながら出生前診断を受けるかどうか、陽性だった場合どうするのか、クライアントが最善の判断を出来るよう意思決定を支援するカウンセリングのことです。
主な目的は
①情報提供
②心理的・社会的支援
となっています。
認定遺伝カウンセラー・臨床遺伝専門医などが、カウンセリングにあたります。
なお、日本産婦人科学会はNIPTを実施する際には、検査前後に専門家による遺伝カウンセリングを行うことをルールとしていますが、実際にはカウンセリングなしで検査を行っている病院も多いそうです。
参考:http://www.jsog.or.jp/PDF/58/5803-032.pdf
④ほんのわずかな疾患しか判断”出来ない”
全ての赤ちゃんのうち、何らかの先天性疾患を抱えて生まれてくるのは全体の3.0~5.0%といわれています。
さらにそのうち「染色体疾患」であるのは25%、つまり全体の1.25%~0.75%です。
さらにそのうち診断ができる染色体異常である可能性は70%。
つまり、診断で引っかかるのは全体の1%に満たない疾患であり、大半は検査で予測出来ない、ということです。
視覚・聴覚障害、発達障害、その他の染色体異常、低出生体重児やまして出産時の事故による脳性麻痺など…、事前に診断出来ない、というのが現状です。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?