隣の倉庫は、どこでもドア(エッセイ)
あまり大きな声では言えないけど、この家に越してきてからずっと
お隣さんのこと気になっている。
厳密にいうと、気になる小さな小さなヨドコウ物置がある。
この土地は、もともと広大な畑でした。
私はよくここを通って、三男がまだ幼稚園に通っているときに
こんなところに家が建てられたら良いな。と
二年通った幼稚園の一年目の通学は、その畑を通るときに
必ず神様と心の中で話をして、
「ここに家が建てられますように」
なんて菜の花畑に向かって念をかけたものです。
そんな矢先にたまたま売り土地としてチラシが入って
即座に行動を起こして今に至ります。
私たちが家を建てようとしたときには、三軒分の土地が
我が家の並びにありました。
うちは夫が自分で設計施工するということが条件で
それならと、一番奥地しか売っていただけないということでした。
道路面の土地には、もう買い手がついていて、思っていたその
隣ではなくて、一番奥の杉林や広大な森林が連なっている森と
くっついているような土地が我が家の敷地となりました。
結局、うちの建築が終わることに真ん中を買った人たちが建設を
はじめて、そこがこのお題になっている気になる隣の倉庫・・という
ことになります。
私はもともと風水を通信講座でも習っていたので夢は、自分で
理想の風水をいかした家の間取りを考えることでした。
なので土地に対して夫の生まれた日を参考に夫に都合よく
玄関は、夫の良い方角に玄関も家の向きも向けたことで
少しだけ土地に対して斜めを向いて建てました。
そうしたことでなんと隣さんとの境目は、階段下から
私の靴が一個分・・
その靴一個分の先には、お隣さんが建てた家のヨドコウ物置
があとから参上したのでした。
暗い・・・
しかも、仕切りにも翌年、真っ黒な金属の高い壁が突然立てられ
ました。
隣のことは、ブロックが五段くらいあって、その壁との隙間が
数ミリあるくらいで光が入ることも少なくなりました。。。
それから今までもう十五年以上経ちましたが、田舎だけど
まるで都会の住宅地のようにその二軒の家の方たちと目を合わすのは、
一年に一回くらいあるか、ないかって感じ。
ただ、一番いやなこと。。。。
うちのその靴一個分先の玄関には、人が当たり前だけど
出入りするのですが、我が家に人が来るのは、たいてい
近所に住んでる母くらい。
あとは宅配の人。
玄関が斜めに大きく飛び出していて、たいてい母が来ても
絶対、家には上がらず玄関の外の広すぎるタイル張りの玄関先で
話をするのが常。
花も植えるのが趣味の私。
玄関先には、たくさん花を植木鉢や花壇のあちこちに植えています。
ついつい、鼻歌うたいながら、ひとりごとしゃべりながら私って
玄関に出てしまいます。
でも・・・・
怖いことに隣からしばらくしてから・・
ガラガラガラッ
そっーーーーーと、扉が開く音。
これは必ず一日一回以上。
え? いました?
どこからともなく、そのヨドコウ物置が開く音。。。
無言で。。。。
いつからいました?
いつから聞いていましたか?
声なき隣人のヨドコウ物置の扉は、なぜか私が玄関に出て
しばらくしたら開閉されます。
私みたいな小人が手を広げたら幅の小さな小さな物置ですが。
母が来たらいつも集落の人たちの話や親戚の話。
父の、弟の愚痴・・恥ずかしい。大きな声・・・
聴いてるよ。絶対。
どんなに小声で話しても聞かれている。
でも、なんでその物置に毎日、用事があるのだろう。
長年の疑問です。
私だけではなく、会話をしない同居人、夫もそれはずっと
気になっていたことが先日判明。
久しぶりに我が家に笑いが。
夫は、毎日何かそこに取りに行かないといけないものを置いてると
私と同じ説を考えていたようです。(それしかないけど、それって何)
私は、きっとどこでもドアがあって、隣の人たちは、タイムトラベラー
なんだろう??とか。
実は、中は広い異空間がある。
隣の人、宇宙人?
せめて足音をさせて歩いてほしい。
ビックリするの。
鼻歌歌ってたり、ぼっーとしたいのに。。。
庭に出てしばらくしてから音が鳴る不思議な物置。
私の説はキレイ好きすぎるご夫婦なので掃除機を
家に置きたくないからと、置いてる説。
ずっーと、長くそんな中には、入らないし、用事もそんな
なさそうだけど・・
不思議で考えたら夜も眠れなくなりはしないけど。。。
毎朝、ドキドキしながら静かに静かに花たちに水やりをしている。
壁に耳あり、障子に目あり。
隣は何をする人ぞ・・・