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役病10 パンデミックにおける狂気

 今回のパンデミックの中、多くの方が長期的視野を持たず、また、不完全情報下にあることを理解していないのではないでしょうか。

  今回のウィルスを凌げば、それで終わりではなく、まだまだ疫病禍が続いていくことが予測されています。

  1970年頃から人類は未知の動物由来のウィルスの攻撃に晒されるようになりました。エボラウィルスが最初に確認されたのは1976年です。人口が増えすぎたために森林破壊が進み、野生動物との接触機会が増えたことが原因です。1975年の地球人口が40億だったことから、40億以下まで人口が減少しないかぎり新手の動物由来のウィルスがヒトの生活圏に侵入してくることになるでしょう。人口が一定以下に減少し新手のウィルスがヒトの生活圏に侵入しなくなっても、既に侵入し周期的に蔓延するようになってしまったウィルスの後始末が待っています。

  だから長期的視野に立って、社会政策的には防疫体制を日常のものとして敷いていく必要があり、医学的には免疫能力を維持強化していく必要があります。

  また、ヒトの免疫機能についてはまだまだ分かっていないことが多く、今回のウィルスについてはもっと分かっていません。ジグソーパズルに例えると半分くらいが全く空白で、もう半分がまだらに埋まっているような状態でしょうか。残りのピースがある程度埋まっていくと、予想していたのとは全然違っていたということもあり得ます。我々人類は不完全情報下にあります。

  不完全情報下では、恐る恐る少しずつ、暗闇の中を手探りで進むようにしか動けないのではないでしょうか。状況がよく分からないのに大胆に動くと失敗する確率が高まります。実際、戦場では周りの状況がよく分からないのに動いてしまうと、冷静に落ち着いて観察している敵対者から狙われて、死ぬ確率が非常に高いそうです。

  でも、パニックに陥ると冷静さを失って動いてしまいます。冷静さを失うと長期的視野など持てるわけがありません。

  冷静に考えてみれば、疫病禍が百年、二百年と続くのであれば、遠くへ行く、集まるという行動パターンは限りなく縮小していくはずで、現在影響を受けているような飲食業、旅行業、娯楽産業は衰退していくしかなく、政府がどんなに頑張っても救済できないでしょう。

  これらの産業が無くても人類は存続していくことができ、ヒトが生きていく上で必ずしも必要ではないものばかりです。国連が2030年までに達成すべきとして掲げた、持続可能な開発目標SDGsの考え方からすると、これらの産業が消滅すれば、消費資源の節約となって地球環境への負荷を軽減し、ひいては動物由来感染症の原因をも軽減することになります。

  だから疫病蔓延前の生活に戻すことは諦めて、防疫体制の日常を作ることが合理的なのではないでしょうか。そして例外的にウィルスの活動が著しく低下していれば緩めるというふうに、生活を逆転させる必要があるのではないでしょうか。

  さらに、これからまだまだウィルスとの闘いが続くという前提に立てば、免疫能力を低めてしまうリスクのある医学的な政策は極力回避すべきなのではないでしょうか。

  2020年末の時点で、ウィルスによる死亡率は、高い国でも国民の0.2%ほどだったので、焦ってワクチンを接種する必要はなく、もっと辛抱強く有効なワクチンを開発すべきだったのではないでしょうか。

  mRNAワクチンは、人類の存続を図るために感染を抑制するマクロ政策的には失敗で、個人の生命を守るミクロ政策的には効果が限定的です。

  mRNAワクチンはウィルスの変異に弱く、ファイザーの社長が当初から一年以内にブースター接種しなければならないと言っていたように、効果の持続期間も短いということが基本設計の段階で分かっていました。今回のウィルスのように変異しやすく長期的に蔓延するウィルスには向いていないのではないでしょうか。

  それだけでなく、運搬時の振動に弱く、-20℃以下で保存しなければならず管理も大変です。今回のように変異しやすいウィルスの場合には出来るだけ時間差なしに全世界一斉にワクチンを打つことが必要ですが、発展途上国で大多数の人への接種が現実的に可能かどうか疑わしいです。そもそも年間数十億人分のワクチンを供給することが可能なのでしょうか。

  しかし、実験室内での検証結果とイスラエルでの集団接種の結果が良かったことから先進国は先を争って、なし崩し的にmRNAワクチンを接種し始めました。その後、デルタ株に対しては、2回接種から4か月経つと感染予防効果が著しく弱まり、6か月経つと重症化予防効果が著しく弱まることが明らかとなって来ました。

  国民の80%以上が2回接種を受けたシンガポールでも感染爆発を引き起こし、現在、科学者の多くがmRNAワクチンを2回接種する人が9割を超えても集団免疫、すなわちウィルスを制圧することは不可能だと考えています。

  それにもかかわらず、先進国の首脳はmRNAワクチンのブースター接種に熱心です。オーストリアはワクチンの義務化を決定しましたが、先進国は軒並み公共の場への立ち入りにワクチン接種を求めるようになり、事実上強制しているのと同じです。

  2021年9月29日、Youtubeは今回のウィルスに対するワクチンだけでなく、全てのワクチンについて有害な動画を削除すると発表しました。他のソーシャルメディアも追随し、国によっては反ワクチンの言論を弾圧しているところもあります。西側白人社会は自由を尊ぶのですが、第二次大戦後、最大の危機を迎えています。

  また、2021年11月に新たな変異種が見つかり、オミクロン株と名づけられましたが、mRNAワクチンの有効性を確かめる前に、先進国首脳は3回目のブースター接種を決めてしまいました。

  米国CDCは、mRNAワクチンを2回接種している人もデルタ株には感染し、無症状または軽症感染者となり、未接種感染者と同じだけの量のウィルスを排出して、却って感染を拡大させる危険性があるとしています。オミクロン株はさらに感染力が高まるので、もはやマクロ政策的には意味がなくなってくるのではないでしょうか。

  ウィルスの拡散、人間の免疫力と進化生物学を融合させた、ウィルスの系統ダイナミクスの考えによると、部分的な免疫力があり、なおかつ感染が広がっている状況において、突然変異が最も起こりやすいそうです。強いワクチンを大量に接種して、ウィルスの変異を促してしまったかもしれません。

  英国政府の緊急時科学助言グループ(SAGE)は、今後も高い確率で変異種が出現し、最終的に現在のワクチンが効かないものが出てくるだけでなく、過去に流行したSARSの10%やMERSの35%に匹敵する致死率を持つ変異株が出現するだろうと予測しています。

  なぜ先進国の首脳がmRNAワクチンにこだわるかというと、現在開発済みのワクチンの中では最も有効性が高く、これを使って社会生活を正常化したいという強い思いがあるからなのですが、今回のウィルスはどんどん変異して強力なものとなっていくと予測されているので、予測が外れてウィルスが弱毒化してくれない限り、ウィルスとの共存というのはあり得ません。

  mRNAワクチンの長期的な安全性は不可知で、全員が接種してしまうと全員共倒れのリスクがあります。接種しない方々が一定数いたほうがリスクを回避できるのではないでしょうか。

  mRNAワクチンは開発、製造ともに短期間で済み、短期間で大量供給が可能なので、ヒトに応用できれば、こんなに素晴らしいものはありません。多くの研究者が取り組んだのですが、動物実験の段階でうまく行かず、ヒトへの大規模な治験は今回が初めてです。ファイザーは2020年4月29日に治験を開始し、2021年8月3日に一次治験を完了して、最終的に完了するのは2023年5月2日です。

  治験が完了していないワクチンを大量接種することについて、ファイザー内部でも意見の対立があったようです。方針の対立からファイザーを辞めた元副社長はワクチンについて虚偽の情報を流しているとして非難されていますが、治験が完了していないワクチンを大量接種することに反対している点については良心があるのではないでしょうか。

  これはあくまでも確率の問題で、結果として多くの接種者に大して有害なことは起こらないかもしれません。動物治験で好成績であったにもかかわらずヒトへの治験ではあまり効果がなかったということがよくあるため、動物治験で有害事象が生じていても、ヒトには影響がない可能性もあります。

  しかし、今回の疫病が治まっても、まだまだ他のウィルスによって疫病禍が続いていくことを考えると、今回何度もブースター接種しているように、これからもワクチンを打ち続けるのだとしたら、ワクチン漬けになってしまい、人体に何の影響もないとは考えられません。目先の利益に目が眩んで免疫能力を低下させるリスクを取るのはどうでしょうか。

  ワクチン接種との関連が疑われる死亡や有害事象については、政府が把握しているよりもはるかに多いようです。2021年度の超過死亡数を分析すればワクチン接種に関連した死亡者数が推定できるのではないでしょうか。

  江戸時代の日本、1760年11月30日に生れ、1835年11月21日に亡くなった華岡青洲という医者がいました。

    1804年11月14日、大和国宇智郡五條村の藍屋勘という60歳の女性に全身麻酔による乳癌の摘出手術を行い、成功させました。これが正式な記録として残っている、世界初の全身麻酔による外科手術だそうです。その後も乳癌手術は行われ、計143例、平均余命は3年7か月と、当時の世界最先端、最高の技術を擁していたようです。

    全身麻酔に使われた麻酔薬「通仙散」は、実母の於継と妻の妹背加恵を被験者にして、数回にわたる人体実験の末、於継の死、そして加恵の失明という大きな犠牲の上に完成させることが出来ました。

    彼だけでなく、最先端の医学の研究に携わっている方々の中には、いかなる犠牲を払ってでも自分の知的好奇心を満たしたいという方が多いのではないでしょうか。新しい医療技術を獲得するためには、試行錯誤を幾度となく繰り返す必要がありますが、その過程で亡くなっている方も多いはずです。

  しかし、こういった矩をこえた方々によって西洋医学は発展してきました。彼らが時として凶鬼となりうることを、少しは頭に入れておいたほうがいいのではないでしょうか。

 通常では各国の薬事法に阻まれて不可能ですが、何億という人がワクチンを打ってくれたので、mRNAワクチンの開発者は笑いが止まらないのではないでしょうか。

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