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【深堀り】A.A.とメルティーユ ~ 魂 と 肉体 ~【#メメントモリ】

 はろはろ!鴇乃カナタです。新年明けましておめでとうございます。2025年もメメモリがもっと楽しく、そして面白くなる考察記事を書いていけたらと思っております。今年もどうぞよろしくお願いいたします!
 それではさっそく、本編に入っていきましょう!今回はメメモリの中でも珍しい『母娘』コンビである、メルティーユとA.A.に触れていきます。

【注意】今回は文量がいつもより多めです。

温かいお飲み物等をご用意して、適度に休憩をとりながらご覧ください。


バイルン王国ってどんな国?

 今回の主人公であるメルティーユとA.A.のお話に移る前に、二人と出会った場所であるバイルン王国について紹介しておきましょう。

【科学国家】バイルン王国

 バイルン王国は世界中の優秀な研究者達が集まり様々な実験を行う【科学国家】です。植物の成長や肥料の改良など、植物系の分野ではそれなりの成果をあげているようです。
 しかし、それはあくまで表の顔。深い森に囲まれた土地をよく観察してみると、謎の処理場や怪しげな隔離施設が……。バイルン出身であるディアンのメモリーからも分かる通り、非人道的な実験もまた秘密裏に行われています。

【はみだし小ネタ:ディアン】
ディアンのかつての主人は呪いの獣に関する研究を行っていましたが、あまりに非人道的なため表には出せない内容を外部に持ち出そうとしたことがバレて、博士自身が呪いの獣に変化させられるという悲惨な結末を迎えています。
ディアン自身は、主人を人間の姿に戻すために呪いの獣について調べていくうちに彼女自身も獣の姿になってしまったようです。
いつかディアンの主人も実装されるんだろうか……。

メルティーユの歩み

1枚目:Xでのキャラ紹介
2枚目:ゲーム内図鑑説明

 メメモリに登場する多くの魔女は、主人公である領主と出会う前と後で大きな『変化』があることが描かれています。変化の内容は、過去の因縁を断ち切ったり、前向きになったり、主人公に恋をしたり……キャラによって様々ですよね。
 そんな中でもメルティーユは、特に大きな『変化』を見せたキャラになります。メルティーユといえば、ラメントでも語られるように、自分が造ったホムンクルスの一人であるA.A.に母親のような深い愛情を抱く愛情深いキャラです。しかし、当初は真反対とも言っていい性格だったのをご存知でしょうか?
 時系列順に、メルティーユ、そして後半からはA.A.の『変化』を追ってみましょう。

メルティーユは魔女嫌いで冷徹な天才研究員だった

 メルティーユはかつて、バイルン王国の主任研究員でした。メルティーユ自身も魔女でしたが、魔女の力を激しく嫌い、「呪われた力を捨てて人間に戻る」ことを目指していました。
 魔女の身でありながら主任研究員になれるほど天才的な頭脳の持ち主でしたが、目的を果たすためなら手段を選ばない冷徹な研究者であるメルティーユは、禁忌である命を生み出す実験にも手を出してしまいます。

教皇が発令した「魔女狩り」令のせいで魔女が忌み嫌われるようになったわけではなく、メメモリ世界では昔から魔女を忌避する、あるいは魔女自身が人々を避ける、という考え方が根付いていました。
実際、リブラの出身地である魔女の隠れ村には「『普通の人』と関わってはいけない」というしきたりがあったり、ギルウィアルも「何故魔女だからとコソコソと隠れて生きなければならない?」と疑問を持ったり、ルサールカが湖に沈められたり……魔女は『普通』とは程遠い生活を強いられていたようです。

補足

 メルティーユの研究内容は「魔女の力を持ったホムンクルスを造る」こと。魔女ではないホムンクルスを後天的に魔女にすることで、魔女の力について知り、魔女を人間に戻す方法を知るためでした。
 彼女が生み出したホムンクルスの数はなんと30682体。活動時間は平均三日と短く、不安定な命でしたが、それでもひとつの大切な命に変わりはありません。
 しかし当時のメルティーユは、次々と消費される命をただの道具としてしか見ていなかったのです。
 そんなある日、ついに三日を過ぎても活動停止しないホムンクルスが生まれました。それが、後に『A.A.』と名付けられる実験用ホムンクルス製造番号30682でした。


 魔女の力を持つホムンクルスを造る上で問題のひとつだった寿命問題を乗り越えたメルティーユでしたが、研究は上手くいきませんでした。
 なぜなら、魔力がある=魔女ではないからです。
 魔女や杖の力について詳しいロザリーはこのように説明しています。

つまり、心がないホムンクルスは…… 

 知識として感情がどのようなものかを知り、模倣することは出来るかもしれませんが、それでは魔女の力を使うことは出来ません。研究が難航し悩むメルティーユの元にやってきたのは、悪魔に取り憑かれた教皇エルフリンデでした。
 聖槍教会の最高権力者であるから生命の樹や魂について教えられていたのか、それとも身体を乗っ取っていた悪魔王が元々知っていたのか。どちらにせよ、教皇は『クリファ計画』のため、クリファの魔女を十人揃える必要があったため、メルティーユにいくつか助言をしたようです。

『クリファ計画』とは?
神の力と特別な器を持って生まれたイリアに十人分の守護天使の力を集めさせて、そのまま身体を乗っ取る悪魔王の計画。
生命の樹を構成する十の概念(セフィラ)に由来する守護天使の力は文字通り世界を守るための力。その力を奪うことで、悪魔王は生命の樹ごと世界を『反転』させようとしていた。
–– –– ––
守護天使の力は特別な魔女に生まれながらに宿るものではあるけど、全員が同時に誕生するわけではないようです。(ルサールカは二百年間湖に沈んでいたため教皇の魔女狩り令が関与していない)

 補足2

 その結果、何度も実験を行うことで、メルティーユの研究は大きく進むことになりました。もしA.A.の後に他のホムンクルスが作られていないとしたら、生命の秘密を知るために非人道的な実験を受けていた可能性すらあるんですよね……。

魔女とは何か。魂とは何か。
それを知ることは、すなわち生命の秘密を知ることだ。

いつしか、使命も忘れて研究に没頭していた。
非人道的な実験も気にならなかった。
私はいま世界の真理に近づいている。
その高揚感が些細な罪悪感をかき消した。

メルティーユのメモリー

生まれてすぐから実験を繰り返し、壊れたら廃棄される人形。
意志を持たず、心を持たない、使い捨ての実験道具。
それが私。

A.A.のメモリー

 ここでメルティーユに一度目の『変化』が訪れます。A.Aはただの人形ではなく、必死に生きようとしている命なのだと気づいたのです。
(当のA.A.本人は、ずっと自分のことを「人形」と呼んでいる)
 メルティーユはこれまでただの実験道具として扱っていたA.A.を、とても大切にするようになりました。
 最初は、これまで実験を受けさせてきたA.A.や昔消費してしまったホムンクルス達への償いだったのかもしれません。しかし、何度も何度もA.A.と過ごすうちに、メルティーユはあれほど必死になっていた自分の目的のことよりも、『えーちゃんのために出来ることはなんでもしてあげたい』と考えるようになったのです。

──数え切れないほどの『実験』を繰り返してきた。そんな私が今更愛してるなんて……許してくれないよね。

 公式Xでの紹介時に記載されているセリフ。許すかどうかはえーちゃんや亡くなったホムンクルス達次第なのですが、少なくともメルティーユ自身は許されないことをしたと思っているようです。

メルティーユの変化①:自分自身より大切なもの

 何かひとつでも大切に思うものが出来たら、その後に必ずついてくるもの。それが大切なものを失う恐怖です。

 後にA.A.も同じ痛みを知るのですが、この時はまだメルティーユだけ。何らかの奇跡で一年間は生き残ったA.A.ですが、この先いつまた他のホムンクルスのように活動停止してしまうのかも分かりません。
 そのためにも、メルティーユはA.A.をクリファの魔女にすることを決めます。(守護天使の力でえーちゃんが守られることに賭けた?)
 自分が同じ魔女だからなのか、それとも誰かで実験をしたのか。メルティーユは負の感情の方が魔女の力を引き出せると知っていました。そのために、A.A.に最も大きな負の感情を与えるのです。
……A.A.にとって最も大切なものである、メルティーユ自身を犠牲にして。

A.A.にとっての心と代償

 基本的に平坦な口調で話すA.A.の心の動きが最も分かりやすい資料はこれだと思います。このSpecial Ver.にはラメントの中にA.A.の独白が追加されているのですが、A.A.の独白が切なすぎるのでその一部をここに載せておきます。

私の中に生まれた何かが私を壊そうとする
これがあなたがくれようとした心なのですか
これが、こんなものが心なのだとしたら
こんなもののためにあの人が犠牲になるのなら
私に心はいりません
私が欲しいのはひとつだけ
あの声を、あのまなざしを、返してください
あの人を返してください

 メルティーユはA.Aに心を与えることで魔女にし、更にクリファの魔女にすることで少しでも長く生きて欲しいと願いました。
 しかし、A.A.にとってはそうではなかったのです。自分が心を知ることよりも、いつ死ぬかも分からない自身が長く生きることよりも、メルティーユが生きていることを願ったのです。
 ここ、ホムンクルスであるA.A.が自分ではない他者の生存を『願う』こと自体がエモすぎるんです……!

願いを持つこと自体が彼女にとっての「変化」

A.A.の変化①:クリファの魔女化

恋しいと思う気持ちは感情だ。
私には感情がない。
だから悲しくはない。
だとしたら、これはなに?

私の中にあふれる何かが、私を壊そうとする。
胸が苦しくて、頭が真っ白になって、体の内側から音を立てて崩れていって、私の中に残されたのは たったひとつの言葉だけ。

「博士、また会いたいです・・・・・・」

それが私の願いであり、呪いだった。

A.A.のメモリー

 魔女の力は心の力。クリファの呪いはその魔女の心そのものでもあるのです。つまり、メルティーユに会いたいと願ってしまったからこそ呪いが具現化したとも言えます。A.A.は人間ではなくホムンクルスであり、人間でない存在に守護天使が降臨した特異的な存在でもありますので、そういう意味でもこの呪いは特別です。
 メメモリの公式アートブックのA.Aのコメントによると、「鉄ではなく錆の呪いにすることで、これから生きていくことや自身の出自への不安を表現している」とのこと。

錆びてしまうのは、不安定な命を持つホムンクルスだから?
それとも、最も隣にいて欲しい人がいないから?

 錆の魔女となり、メルティーユにもう一度会えることを願いながら壊れるのを待っていたA.A.の元に、領主がやってきます。その傍には、とある人がいて──

実は、A.A.にとっての最重要人物であるはずのメルティーユは、バイルン王国のクエストMAPでたったの二しか登場しません。
同じキャラが一章内に五、六回登場することもあるゲームなので、メルティーユがこれだけ少ないのには何か意味を感じてしまいますね……(A.A.と再会するまで、昔話とかあんまりしてくれなかったのかなとか勝手に妄想しています)

余談
再会した時の反応が普通では無いような?

 さて、ここからはメルティーユのもうひとつの大きな変化です。ズバリ、「ホムンクルス化」です!

メルティーユの変化②:A.A.と同じ体

 今のところ、メメモリに死者蘇生の概念は登場していません。そうじゃないと、各地の呪いを修復しているティクーンの杖が命を無制限に扱えることになってしまうので……。
※ディアンのご主人様が呪いの獣になった呪いも祓えてないからそのはず…?
 では、一度死んだはずのメルティーユが復活しているのは何故か。その答えが、ホムンクルス化となります。

スキルアイコンは各キャラ独自のもの。
スキル説明文にも、怪しい説明が……。

 Special Ver.の中で、A.A.がこの世に生まれて最初に見たものは「栄養と薬剤を満たした硝子の水槽(培養槽)」だと説明しています。スキルアイコンの下二つは、培養槽に浸かりながら栄養を受け取るメルティーユに見えませんか?特徴的な花のアクセサリーもついていますよね。
 
本来心を持たないホムンクルスに心を与えた天才研究者なので、ホムンクルス版のメルティーユボディを作れること自体はそれほどおかしくないかもしれません。
 問題は、ホムンクルスボディに記憶と意識を引き継いでいることですよね。肉体は別物である以上、転生とでもいうべき異常事態です。
……いやいや、昔からロリ博士だった可能性も……

「メルティーユ」には反応しないのに「博士」にはばっちり想定回答がある不思議。おい公式ィ!

……なくなりましたね。
 ついでに言えば、メルティーユ当人からも「この、可愛いでしょ?」というトンデモボイスを聞くことが出来るそうです(うちは未進化)。顔じゃなくて肉体が可愛いとは新しい表現ですね。ボディビルかなにかでしょうか()
 何はともあれ……。

 今のメルティーユは、おそらく何らかの手段を用いて魂、もしくは記憶をホムンクルスボディに移植したメルティーユだと思われます。実際、メルティーユのメモリーやボイスでは将来を不安視するような言葉が散見されています。

メルティーユのメモリー最終話

 気になるのは、スキル「生命転化」に悪魔らしきアイコンが描かれ、悪魔の力でも使えるものはなんでも利用する、と書いてあることです。ロザリーが天使と契約を結んだように、悪魔とも契約を結ぶ方法があるのでしょうか?それとも、向こうから一方的に魂だけを変質させているのか……?
 皆さんは、その人の本質は中身、それとも見た目のどちらだと思いますか?ある日貴方の大切な人がまったく別の見た目で現れたとしたら、その人を大切な人だと呼べるでしょうか。

記憶を仮初の魂に複製しただけで、
本物のメルティーユは既にいない可能性も?
(魂の本質が分かっているなら、魂も擬似的に複製出来るかもしれない)
A.A.のメモリー最終話
A.A.はメルティーユへの愛情を自覚している。

A.A.の変化②:心の自覚

 メルティーユが「戻って」きたこと、領主の杖の力で呪いが祓われたことで、A.A.は暴走から解放されています。メルティーユに抱く気持ちが「大好き」だと自覚したり、メルティーユの悪ふざけであちこちに結婚してくれと言って回ったり……。まだまだ情緒が育ちきったとは言い難いため、あちこちで色んな人を巻き込んで問題を起こしているかもしれません。
 ところで、ここ最近のメメモリで新展開がありましたよね。そう、冥ナターシャの実装と、暴走の再発の可能性です。
 
勿論、メルティーユが永久にいなくなる最悪のバッドエンドにはならないとは思うのですが、二人がどんな風に問題を乗り越えていくのかを含め、とても気になりますよね……!

まとめ:ふたりの変化とこれから

 少々長くなってしまいましたがまとめです。

 メルティーユは
①自分より優先するものが出来た(感情の変化)
②新しい身体に生まれ変わった(肉体の変化)
 A.A.は
①クリファの魔女となり呪いと願いを知った(状態の変化)
②メルティーユへの愛情を自覚した(感情の変化)

 それぞれ二点の変化(ざっくりまとめなので細分化するともっとあるかもしれません)があったといえますよね。ホムンクルスボディへの転生、人間ではない生命体のクリファ化、二人とも唯一と言っていい個性があるキャラクターです。まだ一属性ずつしか実装されていないので、今後の属性違いの実装にも期待ですね!
 それでは、本日はこのあたりで終わりにしようと思います。最後まで読んでくださりありがとうございました。次回は考察本編の続きでお会い出来ることを祈っております。それから、2025年の1年間が、皆様にとってより良きものとなりますようにお祈り申し上げます。





…… ……おまけ…… ……
メルティーユの専用武器「アルケウスの理」
アルケウスってなんだろう?と思ったのでメモ。

英語版は"Archeus Principle"だそうです。
Arche(根源、または始まりや支配)と何かを組み合わせた造語だとは思うのですが、何か思いついた方がいれば教えてください!
■意味的に近そうな単語集■
Archeus……錬金術における概念のひとつ。
Arche……万物の根源(ギリシャ語)、始まり、支配(ドイツ語)
Archetype……アーキタイプ、原型
Alchemy……錬金術

あと、なんでメルティーユがMeltillier(発音的にはメルティライアーでした)になるんだ!!!!わからん!!!!

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