扁桃腺を取った話
Twitterでツリーにして話したことをまとめました。
追記、修正してます。
以前、扁桃腺摘出手術を受けました。理由は慢性扁桃炎です。
専門4年生の頃、扁桃炎による発熱を月1くらいの頻度でしていました。
術前は人生初の手術ということで、ちょっとワクワク感がありました。怖いとか不安は一切なく、興味だったり、好奇心が勝っていました。多分一般的ではないと思っています。
大きい病院へ紹介状を書いてもらい、それを持って初診へ。触診問診で「そうですね、取りましょうか」と。
それから何度か通院。採血で感染症の有無を確認したり(感染症だと手術できないから)、口腔外科で口腔内の状態を見てもらったり(手術中口を開けたままに保つために色々使うこともあって)、麻酔の説明、同意書のサインなど色々しました。
そして手術。前述の通り、全身麻酔ってどんな感じなんだろうとか、手術ってどんななんだろうとか、そういう興味が勝ってワクワクでした。
全身麻酔って本当に知らない間に意識が無くなるんですよね。歩いて手術室まで行き、寝かされ、点滴刺され、酸素マスク付けられ。そのまま自然に呼吸していてくださいって言われて知らない間に意識なくなってて、次に目が覚めたら全て終わっているんです。
で、手術が終わり。意識がふわーっと浮上してきて。目を開けられるようになるんです。そうすると手術室の中、上からのライトが眩しくないように目を手で覆って貰えてて、呼び掛けに反応があることが確認できると「病室に戻りますね」って言われてベッドに移されてベッドごと戻りました。
その後は麻酔が抜けるまで1人で動けないし、動けても危ないので御手洗の時はナースコールしてくださいねって言われて。何となく眠いようなそんな感覚を持て余したまま気づいたら夜中。浅い眠りを繰り返すみたいにして時間が過ぎていき、ちょうど麻酔が抜けたくらいの頃に御手洗に行きたくなってナースコール。
御手洗から戻って看護師さんから「もう大丈夫ですね、もう1人で御手洗行っても大丈夫ですよ」と言われ、1人で行けるようになりました。
麻酔が切れてくると今度は痛みを認識するようになりました。ベッドの中でなんとも言われぬジワジワとした痛みと戦いながら朝まで過ごしました。
術後初めての食事は全粥という、ほぼ白湯。白い白湯でした。次の日には三分粥になり、徐々に固形化していきました。
入院は手術含め、約1週間でした。その中で1番しんどいなと思ったのが食事です。
何もしていない状態でも痛いので、水を飲んでも痛い、食事をするならもっと痛い。
うぅ……ってなりながらどうにか水分をとったり、食事をしましたが酷い時は痛すぎて食事することが本当に苦痛で「もうやだぁ」って泣きながら食事していました。
入院中は食事の時間が1番嫌いでした。
6時間おきに痛み止めのロキソニンを飲むことができたのですが、効いてくるまでに約30分。痛み止めがしっかりと効いているのがだいたい2〜3時間。徐々に効果が薄くなり、6時間後には完全に切れている。そして魔の30分を経由してまた安心のできるわずかな時間を過ごす、の繰り返しでした。
なので食事の時間を気にしながら薬を飲まなきゃいけなくて大変でした。 食事、睡眠、トイレ、時々授業。それ以外の時間は元々イラストを書いたりと有意義に過ごす予定だったのですが、痛みが酷くてイラストなんて描いてられるかぁ!という状態で。ずっとSNSを巡るか、ゲームするか、横になっているかしか出来なくて、痛いことに対する身体的辛さと、何も生産性のない状態の自分に嫌気がさし、本当に無価値なやつなんだなぁと思いながら横たわっていた1週間でした。
定期的に先生が傷口の状態を診てくださり、経過もよく、予定通り1週間で退院。翌日投稿。その夜、寝る時に謎の気持ち悪さに襲われ、冷静に袋を持って吐き出したんですね。出したものは赤かったです。出血しました。
先生からは術後1週間経って出血することは珍しいから大丈夫って聞いていましたが、その珍しい人になってしまいました。
とりあえず吐き出せるもの(ゼリー化した血液)は吐き出すようにして、気道は確保しつつ母を起こし、病院へ。到着した頃には血は止まり、救急外来で診てもらって血が止まらないようならまた来てくださいということで様子見、帰宅。この日は母に隣で寝てもらいました。
そして帰って少ししてまたも出血。しかし2回目は全く止まる気配がせず、その状態が自分もなんだか面白くなっちゃって、コンビニ袋を受け皿にゲーゲー血液を吐きながらしばらく笑っていました。はたから見たらただの狂気です。正気の沙汰じゃない。
母を起こすのも一苦労で。血液は止まる気配なし。ずーっと出てるので病院に行こう!ということで2回目。
さすがにこの時は病院に着いてもずーっと血液を吐いたままで、病院までが車で30分くらいの距離なのですが、その間血液流しっぱなしなので結構な量の血液を失ったわけで。
よし、救急外来はもう目の前だ!と、受付が見えた瞬間に目の前暗転。ぶっ倒れました。貧血の方はこの状態がわかると思います。貧血でぶっ倒れました。
目の前真っ暗で目を開けてても何も見えない。体も何かジリジリと焼けるような痺れがあって、動かしたくても動かせない。脱力ってこういうことなんだなぁと思ったし、比較的冷静だったので「ああ、これが貧血ってやつか」と本当に他人事って感覚でした。
駆けつけてくれた看護師さんによって車椅子に乗せられ、救急外来のベッドへ。遠くで看護師さんと母が話している声は聞こえていたのですが、血液の量が400か600かみたいなことが聞こえてきました。
そんなに吐いたんだ〜、まぁそれくらいあるよなぁと思いながら痺れる脳みそと体で冷静に聞いていたら再入院ですねって聞こえてきて、つい笑ってしまいました。
狂気なのは病院へ向かう車の中で推しのインスタライブを見ていたことだと思います。絵面もだいぶ酷いこと。
暗い部屋でビニール袋を持ち、血液を吐き出しながら爆笑している娘も、母からしたら相当怖かったのではないだろうかと思います。
そして再度、1週間の入院。
さすがにもう退院してもすぐには声出しは控えようと思いました。
そんな2週間の入院が2021年10月。
そこから約1年半が経ちました。
扁桃腺を取って何が変わりましたか?と時々、扁桃腺摘出を迷っている人に聞かれます。
良かったことは単純に扁桃炎での発熱がなくなったこと。
今までは扁桃炎の発熱で仕事や学校を休む必要がありましたが、その心配が無くなったのは大きいです。
逆に良くなかったことは、人によって大きく変わると思うので私の場合の話をします。
自分の場合は喉の違和感と声の出し方が変わったことです。
術後の喉の違和感は非常に酷くて、やはり切ったところが塞がったとはいえ、完全に治りきっているわけではないので患部に違和感が生まれるわけです。
今ではそこまでわかるような違和感はありませんが、なんというか、何かが詰まったような感じが残っています。あと痰が絡む。これは術後が主でした。
最近は痰が絡むこともなくなりましたが何かが引っかかる感覚だけはどうしても無くならないです。気にり出すと本当に気になる。そんな感じです。
声の出し方が変わったのは、術前までの口周りや喉の筋肉が一度落ちてしまって滑舌が悪くなったり声帯が弱ったり、声が出にくくなったりです。
自分の場合は扁桃腺が大きいタイプの人だったのでそれが無くなったせいなのか、少し声の高さが変わった気がします。なので以前は歌えていた歌が歌えなくなったり、逆もまた然り。
声を使う仕事を生業にしていなかったので良かったですが、そういう人たちは困るだろうなと思います。
いまだに違和感と戦いながら声の出し方を模索しています。
少しでも扁桃腺切るよって人の参考になればと思います。