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emerald blue (パンドラの匣・其の参)
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Blueな 夏だった。
宮古島の叔母と 月イチ訪問の兄が コロナ陽性との知らせ。
数日前から 発熱を確認していたヘルパーさんは
医療機関にも キーパーソンである兄にも 繋いでくれず
何も知らず 来島した兄は 飛んで火に入る夏の虫。
既往症のある ふたり。
幸いにも 重症化は免れたが
離島の医療&介護体制の厳しさを 思い知らされた。
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数日後 東京在住の叔母の訃報が届く。
コロナ禍で 葬儀も かなり待たされるとのこと。
葬儀 遺品整理も 兄と私が キーパーソン。
葬儀社と打ち合わせを進めつつ
東京滞在中 母を託せる施設を探したが
日付が確定しないので 埒が明かない。
兄は葬儀に間に合うのか? 無理をさせて大丈夫なのか?
費用は どのくらいなのか? 喪服のサイズ 大丈夫かな?
暑さと経年劣化で 堂々巡りの思考回路。
ドライ過ぎる自分自身への 嫌悪感も少し。
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叔母とは 20年以上 会っていなかった。
年に数回 電話で話すだけ。
見舞いに行く約束も コロナ禍で 果たせなかった。
もっと早く 会いに行くべきだったが 叔母の気丈さに 甘えてしまった。
せめて満中陰まで保管しようと 慌ただしく自宅に送った遺品の整理も
初盆を過ぎ 百箇日を目前にしても 手付かずのまま。
こういうの 苦手なんだ。 でも やらなきゃいけない。
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63歳の兄と 60歳の私。
酷暑の東京で よく頑張ったと思う。
兄が 重い骨壷を両手から離したのは 新幹線の座席のみ。
お金の話ばかりの僧侶に辟易し
ほっこりできる 僧侶探しに奔走。
初盆の読経を聴きながら スゥーッと 涙が流れた。
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生きるとか 死ぬとか 老いるとか
正解のない自問自答に 捻れて 疲れた夏に
こうして書き出すことで ピリオドを打ちたい。
我が家の墓は 関西にあるけれど
御先祖様も 父も 叔母も
懐かしい海を 仲良く 眺めていてくれたらと思う。
天国が emerald blueだったら 素敵だな。
私は もう少し コチラで 頑張るつもりだけれど…。
(年齢を重ねる毎に染みてくる隠れた名曲)