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三寒四温の頃 なぜか無性に読み返したくなるのが スタインベック著・『朝めし』 5ページの名作掌編です。 冷気が身にしみる 谷間の夜明け。 灰色のテントのそばの 古錆びた鉄ストーブの裂け目から噴出す オレンジ色の炎。 赤ん坊に 乳を吸わせながら しなやかな動きで 朝食の支度をする若い女。 ジュージュー音をたてて 縮み上がるベーコン。 オーブンから出されたばかりの 褐色の分厚いパン。 熱く苦いコーヒーに 砂糖を入れて始まる ささやかな朝食