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バリは見るべきことをはっきり見せてくれる場所

バリに来ています。これから、1ヶ月ほど滞在予定です。

バリを訪れるのは今回が2回目。
初めては3年半くらい前、チェンマイ滞在中にビザが切れるので一度出国するために訪れた。バリといえばリゾート風のイメージがあるし、神秘的な場所でちょっとのんびりしてこようっと、くらいの気持ちで来たら、来た初日にだいぶ悪い人に騙され、相当おそろしい目に遭ってお金もとられ、そのショックで体調もおかしくなり、挙句の果てに滝で動けなくなってしばらく寝かせてもらうという、いろいろと散々な滞在になった。
その後、数ヶ月じんましんが出続けたというおまけ付き。

それでもバリが嫌いにならなかったのは、その騒動の後に出会った人たちのあたたかさにふれたこと(長くこちらにいる日本人の方や、現地の方に本当に親身になって助けていただいた)と、すべて起こるべくして起こったという感じがひしひしとしたからだ。

「すべてのことには理由があるのよ…」みたいなスピリチュアルな話ではなく、でも、結局はそうなのかもしれないけれど、これは怪しい、ついていってはいけない、というサインがものすごくあったのにそれをことごとく無視して騙されたのは自分以外の誰でもなく、その後に身体に出た諸々の影響も自然なことでしかなかったし、すべてを省みて、その時の私の状態をただものすごくはっきりと見せてくれたなあというのが実感だ。

騙された時も、その悪い人の近くにいるだけで胃はきゅっと縮んで動悸がする、という、明らかな危険信号を身体が発信していたうえに、「この人を信頼してもいいかどうかサインをください」と祈ってみたら部屋の電気が二度も停電する、というこれまた漫画みたいに明らかなサインが送られてきた。
にもかかわらず、すべてを無視してわざわざ騙されにいく、という、今思っても本当にバカとしかいいようがない…という流れだった。

ちなみに、「サインをください」と祈るなんて行動も普段は滅多にしないので、その時点ですでに怪しいと直感が告げていたのだと思う。

それでもあえて(?)騙されたのは、どこかで、「これはすごく危なそうだけど、追いかけてみたら実は何かすごく面白い展開になったりするんじゃないだろうか」みたいな妙にひねくれた好奇心というか下心がはたらいていたからだ。

でも実際は、身体や直感が危なそうだと訴えてくるものは間違いなく危ない。好奇心なんて必要ないから、ただすっとそこから離れた方がいい。

そういうこと、つまりは直感、身体がどれだけあてになるかということを、ものすごく激しくはっきりとした方法でバリは教えてくれた。
そして、あんなにも無謀なことをしておいて、お金もそこまでひどくはとられず、身体も傷つけられずに帰ってこられて、素晴らしい人たちにまで出会わせてもらえたのは、やっぱりどこかで何かがまもってくれたのだと思う。

だから、バリには感謝しか感じていない。この湿度が高くて濃い空気も、鳥の鳴き声も、色鮮やかで香りの強い花々も、みんなとても好きだ。
ただ、そうはいってもインパクトの強い体験だったし、何も食べられなくなった記憶が身体にしっかり残ってしまって、すぐには再訪する気になれず、でもこれだけ好きだから、またいつか…と思っていた。

そのいつかが、気がついたら来ていた。

今年に入ってからバリが意識にどんどん入ってくるようになり、たまに会いに行くサイキックの方にも「バリ良いですね!行ったらいいですよ!」と太鼓判を押され、偶然、講座で隣り合わせた方がバリ在住だったりして、何かこれはもう、バリに近々行くんだなあ、じゃあタイ行きと絡めて来年の3月くらいかな…とか思っていたら、あれよあれよという間に航空券を買っていた、という感じ。

何だかよくわからないけれど物事の流れができてしまう時は、本当に実現が速い。
頭ではまだその意味も理由もちゃんと認識できていないので、何でバリにいるんだっけ?と思いながらも、身体はさっさといろいろなプロセスを始めている。

出発前から体調を崩し始めて、発熱したり、胃が焼けるように熱くなって何も食べられなくなったり(また!)、咳がとまらなかったりで、着いてから2日半くらいは、ほぼずっと寝込んでいた。

パソコンを開く元気もないし、日本の友達と電話するにも喉が痛くてできないから、とにかく寝て、お腹が空いたような気がしたらフルーツを食べて、ちょっと元気が出てきたら時々本を読んだり、散歩して写真を撮ったりして、思い切りだらだらした。

何だか、子どもの頃の夏休みを思い出した。

次は何をしようか、どこへ行こうか、誰々と会わなくちゃいけないから、と予定に合わせて動くことにすっかり慣れてしまっていて、こんなにも何もせず、ただひたすら自分の今の状態だけを見て過ごしたのは久しぶりだった。

そうやって過ごしているうちに、顔がどんどんゆるんで、目に力が満ちて、まだ体調は悪いのに何だか若返って元気そうになってきた。

ごめんよ…と思った。本当はいつもこんな風でいたいのに、日本で暮らしていると、いつの間にか力が入ったり、かたまったりしていて、どんどん自分の中にある輝きみたいなものを小さく押し込めてしまう。そういう環境にしてしまっていてごめん、と心底、自分に対して申し訳なく思った。

せっかく、この人間として生まれてきたのだから、この心も体も一番幸せな状態に置いてあげたい。

今の自分がどんな状態なのか、何を変える必要があるのか、旅をすること自体もそれに気づくきっかけになることが多いけれど、バリはやっぱり、特にそれをはっきりと見せてくれる場所のような気がする。
とてもパワフルだけれど、そこで起きるどんな変化も包み込むような、限りなく深いやさしさもある場所だ。

そろそろ体力も戻ってきた4日目。
体が動くようになるとついつい頭がはしゃぎ始めるけれど、必要なことが起こる邪魔をしてしまわないように、直感と身体で感じることに注意を払いながら過ごしていきたいと思う。

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