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桃源郷デストラクション【小説】

カナシバリの歌詞をもとにした小説を、AIを使って実験的に書いています。内容は随時更新(修正)していきます。
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『桃源郷デストラクション』歌詞

ザイアが足を踏み入れたその場所は、一見すると平和で美しい桃源郷だった。青い空、緑豊かな草原、風に揺れる花々が広がり、どこを見渡しても争いや痛みとは無縁に見える場所だった。しかし、ザイアにはそれが偽りであることを直感で感じ取っていた。この場所には、何か異様なものが隠されている――その思いが頭から離れなかった。

「8番目の罪は、ここにあるのか…」

彼の頭の中には、これまで幾度も耳にしてきた言葉が浮かんでいた。七つの大罪に次ぐ“8番目の罪”。人間の欲望が極限に達した時、手に入れることのできる究極の楽園――それが「桃源郷」だとされていた。しかし、その楽園は同時に破滅をもたらす場所でもあった。欲望が飽和し、行き場を失った者たちが、最終的に迎える終着点。それがこの桃源郷だった。

ザイアは歩みを進めるたびに、この場所の本質に近づいていくような感覚に襲われた。足元の土は柔らかく、空気は澄んでいる。しかし、彼が歩くたびに、どこかで歪んだ音が聞こえてくる。それは風の音か、木々のざわめきか、はたまた人々の囁きか。ザイアには区別がつかなかったが、その音が彼の心をざわつかせた。

「ここに罪があるのか…」

彼は何度も自問した。この楽園には一見、罪など存在しないように見える。だが、同時に、この美しさこそが罪深いのだと感じていた。人々は楽園を夢見る。しかし、その夢の先に待つのは、決して救いではなく、欲望に囚われた果ての破滅だということを、ザイアは知っていた。

遠くから、鐘の音が聞こえてきた。教会の鐘のような重々しい響きが、静かな桃源郷に不穏な雰囲気をもたらした。ザイアは立ち止まり、音の方を見やった。その音は、まるで何かの始まりを告げるかのようだった。

「破滅が、始まる…」

ザイアは小さく呟いた。鐘の音と共に、楽園の風景が徐々に変わり始めた。空が赤く染まり、花々が枯れ、木々が朽ちていく。彼が見ていた平和な風景は、次第に壊れ、崩れ落ちていった。まるでこの地が彼の存在を拒絶するかのように、桃源郷はその仮面を剥がしていく。

「ここが、8番目の罪の場所…」

ザイアは確信した。ここはただの楽園ではない。これは、人間が手に入れることを夢見た、しかし決して手にしてはいけない場所だった。ここにいる者は皆、楽園を追い求めた結果、自らの欲望に飲み込まれ、この地で永遠に囚われることになる。

そして、彼の目の前に一人の人物が現れた。その人物は、まるで桃源郷に溶け込むような穏やかな表情を浮かべていたが、その目には空虚さが漂っていた。彼の姿を見たザイアは、彼がこの地に囚われた一人であることを理解した。

「ここで何をしている?」ザイアは問うた。

その人物は微笑みながら答えた。「私たちは皆、この場所を探し求めた。そしてここにたどり着いたが、ここから出ることはできない。楽園とは、ただ美しいだけの場所ではない。欲望が極限に達した者が行き着く場所、それがこの桃源郷だ。しかし、その先に待っているのは永遠の囚われだ。」

「ならば、なぜここにいる?」ザイアはさらに問いかけた。

「それは簡単なことだ。誰もが楽園を夢見る。しかし、その夢が破滅に繋がると知りながらも、人は夢を追い続ける。それが8番目の罪だ。七つの大罪を超えた欲望の果てに、人はここにたどり着く。」

ザイアはその言葉を聞き、深く息を吐いた。彼自身も、この場所に何かを求めてやってきた。しかし、今やそれが何であるかは明確だった。この地に存在するのは、ただ破滅だけ。欲望に囚われた者が、永遠にその渦の中で苦しむ場所だった。

鐘の音が再び鳴り響く。ザイアはその音に耳を澄ませた。教会の鐘のような重い響きが、彼の心に警告を与えているようだった。

「ここを去らねばならない…」

ザイアは静かに背を向けた。欲望に飲み込まれた者たちの囚われた楽園――桃源郷。その美しさの裏に隠された破滅を知り、彼はこの地から離れる決意を固めた。

彼は歩き出した。鐘の音が遠ざかり、楽園の景色も徐々に彼の背後で消えていく。しかし、彼の胸には一つの確信が残っていた。楽園とは、手に入れるべきものではなく、超えるべきものなのだと。


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渡辺一樹 -カナシバリ-
アンチヒロイズム・メタルロックバンド『カナシバリ』 Vo&G/カナシバリ社長/カナシバリofficial⇒ http://www.kxnxb.com//Twitter ⇒ https://twitter.com/navi_sick