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たかが2円されど2円
今日は澄んだ青空で気分爽快、ジムで体を動かしてなおさら気分上々。
根拠はないが、なんかいい日だな・・そう思いながら鼻歌交じりで、スーパーに立ち寄った。
スムーズに買い物も終了し、レジで並んでいると、私の前に
高齢の婦人が「2円たりない。」と自動精算機の前で店員さんに訴えるように話しかけた。
するとレジの女性が、「2円ぐらいならかばんのどこかにまぎれていたり、ポケットなんかに入っていたりしない?探してみたら?。」と私の商品をすばやい手つきでスキャンしながら、精算機の婦人に対応した。
ふと私はその高齢の婦人に目をやると「やっぱりないわ・・。」と
精算機の前で立ち往生している。
するとスーパーの奥から主任らしき男性店員さんが出てきて、何やらその方の対応をして足早に去って行った。解決したのだと思って、私の中では
ちゃんちゃん♫はい終わり。の事案だったのだが、その女性は変わらず立ちすくみキョロキョロしながらひたすら精算機の前で立ったまま動こうとしない。
ん? ん?
どうやら、スーパーとしてはお金を取りに帰るか、買い物をあきらめるかぐらいの選択肢しかなかったようだ。が、しかし婦人は動かなかっただけだった。正確に言えば2円足りないけど買い物をして、家路につきたいという所だろう。
たかが2円。されど2円。スーパーは個人店ではないので「しゃあないなぁ。2円負けたるわ!!2円おまけ。」てな展開には間違いなくならないのがこの世である。
婦人の方もあきらめて帰るそぶりは全くといって感じられない。ただただ2円ない・・と繰り返し言うだけで、残酷に時間だけが過ぎていった。
その時だった。
なんでだろう・・私の心がざわざわしてきたのだ。
見た目からして75歳を過ぎた感じがするし、腰が曲がっている・・一度自宅に戻り、2円を握りしめてまたスーパーにやってくるのはさすがにないな・・
だからと言って、レジの前の見知らぬ婦人に、無職の私が、この厳しい世の中を一生懸命働いてくれている主人のお金を見ず知らずの人に差し出す余裕は我が家にはない!!
心がドキドキと早まる鼓動に、さっきまでの気分爽快の穏やかな気分はどこへやら。どよーんとしてしまった・・・
私の商品のスキャンが終了し、「2番精算機でお支払いお願いします。」と言われ、
その高齢の女性の横の精算機に私は移動した。
その時だ!!精算しようと財布を開けたら、1円玉2枚兄弟のように寄り添って
私を見てるのだ。「あー!!これはこういうご縁だったんだ!!。」と
2円をその方のレジに投入したのだ・・してしまったと言う方が正解なのか・・
その女性は私をじっと見て、「世の中捨てたものじゃないね。お姉ちゃん、ありがとう。」とハスキーボイスな声でお礼を言われた。
そしてじっと私の顔を見て「忘れへんから。会ったら必ず返すからね。
涙でるよね。ほんまにありがとう。」と言われた。
見た目で人を判断してはならない・・そんなことは100も承知だけれど、
75歳は超えているその女性は、赤い髪の毛に三つ編みをして派手目なマニキュアをしていた。ついついそのハスキーボイスはお酒で・・と妄想してしまう。
私は天使じゃないから、2円を渡してから気持ちがどんより曇りになってしまった。
よーくよーく考えたら、私の母なら80歳超えていても2円足りなかったら商品を1つ戻すだろうし精算機の前で立ち往生しない・・
いいことしたのか、悪いことしたのか全く分からなくなった・・
たかが2円されど2円。でもお金にはかわりはない。
なぜ2円を差し出してブルーになったのか・・
私はなんて心が狭いんだろう・・いけない・・
悶々と悩みのループにはまっていく・・
これではなんの意味もなくなってしまう1日になりそうだったので、
帰宅後ひたすら雑草抜きをした。黙々と無になって雑草抜きをしているうちに
まぁいっかぁ。
これからは、一度冷静によく考えてから行動しよう!!と自分に言い聞かせて
一見落着。
からっぽの頭を使いすぎたせいか、今日はぐっすり眠れそう・・