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メキシコ #3 / トゥルムへ


なんとか粘って5時過ぎまで眠り、昨日と同じようにカーテンのスイッチを押したけど外はまだ暗くて、日が昇るまでバルコニーで外を眺めた。

このホテルはビーチフロントの部屋を低層階に構えているけど、メキシコはハワイのような気候で心地がいい。随分と早くからビーチには散歩をしている人たちがいて、この日が昇るタイミングで1日をスタートさせるのはとても自然なことのように思えた。

朝ごはんは食べ残しを狙う小鳥たちも一緒だ。メキシコにいる間この一見黒く見えるけど、よく見ると青味を含んだ不思議な色をしている鳥をよく見かけた。足が長くてなんだか賢そうに見える。

パッキングを済ませてからまたチェックアウトまでゆったりと過ごし、ロビーに降りたのは正午くらいだった。ダウンタウンのバス停までタクシーで行って、そこからバスに乗るつもりだったけど、当たったタクシーの運転手からこのままトゥルムまで行く悪くない(と思う)ディールを持ちかけられたので、それに乗ってみることにした。

トゥルムまでは車で約2時間。

高い建物もなくて道路の両サイドは林で、特に大きい木もないし、空のひらけ方が気持ちいい。優雅なロードトリップかと思いきや、イケイケのタクシーの兄ちゃんが、途中からEDMやテクノを爆音でかけ始めた。
え?クラブじゃないよね?くらいの、それはそれは大きな音で。

私にとってそれらの音楽は決してロードトリップ向きじゃあないし、とにかく音量がとんでもなくて気が狂いそうだった(笑)

「いいでしょ?」みたいな感じでドヤ顏の彼に音量を下げて欲しいとなかなかいいだせず...、友達と顔を見合わせ、しばらく耐えたものの、まさかの更に音量を上げていく彼に、そろそろやばいよね、もう無理だよね、と話していたら、会話をしていた私たちに気を使ってか音量を下げた!

「音量下げたよ!喋ってるからだよね?このまま喋り続けよう!」と苦肉の策(笑)

結局永遠と喋り続けるわけにはいかず、最後の方はどれだけ心を無に出来るかという修行のようで、挙げ句の果てに降りる頃には「いい音楽だったでしょう?今夜はパーティーだねっ!」と彼。

「でしょうね」と心の中で呟いた。

この謎の修行を経て、旅で一番楽しみにしていたエコホテルに到着した。

「部屋には電気もシャワーも無いから覚悟するように」とこのホテルを紹介してくれた友達に言われていたので、キャンプのような姿勢で人生初のエコホテルに挑む。

建築やインテリアは昔から好きなもののひとつで、自分のインスタでもインテリアのアカウントを一番多くフォローしてる私には、このホテルのとんでもない建築がたまらなくて、日本で予約が完了した日からとても楽しみにしていたのだ。

思いの外こじんまりした入り口を入ると、ちょうどチェックインラッシュなのかロビーは混雑していて、人手が足りていないようだ。もうロビーの段階から奥に見える敷地が今まで見たものとは似つかなくて、ワクワクする。

しばらくすると”エンジェル”と呼ばれるコンシエルジュが来て(全員が白い麻のワンピースを着ていて妖精みたいだった)、歴史や背景やなどを踏まえてホテルの案内をしてくれる。「私たちは全てのホテルという概念に反抗していく」という彼女のセリフが印象的だった。

どう説明したら的確に伝えられるのかな...、すごくシンプルに言うなら、このホテルはジャングルの中にある大きな大きなツリーハウスのような感じ。

木の枝みたいな、しっかりしたツタみたいな、これを束ねたものか、木の板で出来た道というか、廊下と言った方がいいのか、これですべてが繋がっていて、1つの大きな村のような印象を受ける。

そこを歩いていると木漏れ日がキラキラしたり、両サイドに茂る木々の葉に肩が触れて、優しい気持ちになった。敷地内を歩いているだけで脳を刺激されまくる。

凄すぎて頭の中の処理が追いつかず、私は大興奮だった。

まだ部屋の準備が出来てないから、ビーチでハングアウトしてもいいし、カフェでランチしてもいいし、どうする?とエンジェル聞かれ、私たちはビーチを選んだ。


続く。

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