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宝塚観劇記 星組 めぐり会いは再び next generation-真夜中の依頼人(ミッドナイト・ガールフレンド)-

作・演出/小柳 奈穂子
柚希礼音時代に第一作、第二作が上演された続編。設定の背景に前作があるのは確かだが、全然知らなくても大丈夫。
小生、星組に関してはファンモードが発動する。礼さんが歌い出すだけで、テンションが上がる。舞空瞳さんのシンプルなドレス姿のスタイルに感嘆する、という状態なのですが、敢えて言います。
礼さんは、出てくるだけで周りが明るくなる華やかさがあるので、今回のような祝祭的な演目はその資質の見せ所だと思う。しかし、そういう場面が少なく、物足りない印象。ダンスコンテストの場面のようなものがもっと欲しい。ラストシーンは聖杯を盗まれて、続編を匂わせる終わり方になっていて、祝祭感がしぼんでしまった。ちゃんと華やかに祭ってほしかったですね。
トップコンビに焦点を当てながらも、パン泥棒三人組など若手にも出番を作ったため(それが悪いといいたいのではない)、瀬央ゆりあ、有沙瞳さん以下の比重が非常に小さくなっている。それが観劇後の物足りなさの原因のように感じた。

以下、ネタバレあり。
脚本には大きな瑕疵がある。宰相オンブル(輝咲玲央)が自分の息子(極美慎)を王女の婿にしようと目論む。そのために王女を誘拐して、自分の息子を婿に選べと脅迫するのだが、これ、おかしいよね。
黒幕であることを自分から王女に暴露してしまったら、解放されたあと王女は、彼を反逆者として告発するのは確実だから、そんなことをするのはおかしい。彼女を従わせるための人質が効果を発揮するのはつかの間だ。王女が宰相の息子を婿に指名した段階で、人質を解放しなければ、王女はオンブルを告発するだろう。また、解放しても告発するだろう。そういう想定がたつため、瀬尾ゆりあ達が録音機を使って犯人を暴露する場面がうまく収まらない。
オンブルの立場で考えれば、息子を婿にしたいのなら、王女を誘拐するのではなく、対立候補であるルーチェ(礼真琴)を誘拐するか、何らかの手段で婿候補を辞退させるか、(この芝居のテイストにはそぐわないが)暗殺するか、というところだろう。それをしない宰相は頭が悪すぎ。劇中の重要人物の頭が悪いと脚本・劇が破綻します。(ちなみに、柴田侑宏氏の脚本が素晴らしいのは、登場人物が悪役も含めて知的で、台詞も人物の精神的な高み(善悪関係なく)を感じさせるからだとおもう)
小柳氏は当然自分の脚本の穴はわかっているはず。どういう事情があったのかはわからないけど、なんとかならなかったかと思う。たとえば、宰相がルーチェの誘拐を企て、その情報がなんらかのルートで、レグルス(瀬尾ユリア)に漏れる。ルーチェ、アンジェリーク、レグルスたちが大活躍してその計画の裏をかく、などという展開にはできなかったのだろうか?録音機はそのためのツールとして利用するということで、録音機発明のエピソードを回収する。(観ていない人には、わかりにくい文章ですみません)
とにかく、登場人物の知能指数をもっとあげてほしかったです。

『Gran Cantante(グラン カンタンテ)!!』
作・演出/藤井 大介

今となっては、専科の美穂圭子さんの印象しかない。
スカステで放映したら、感想を書くかも。
以上。

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