![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/138856642/rectangle_large_type_2_a9089188207d12bdecf5acfbef1717bb.jpeg?width=1200)
変なシリーズ:「不思議な家と僕がオバケになるまで」第三十一話
【前書き】
皆様、お疲れ様です。
カナモノさんです。
「悪魔と青年が紡ぐお話を、シリーズとして書いたら。」
三十一話です。まだ、フロントです。
少しの間でも、お楽しみ頂けていることを願います。
【不思議な家と僕がオバケになるまで】第三十一話
「ホテル・フェアモンド・ミステリーメリー②」
作:カナモノユウキ
《登場人物》
・きつね 心の悪魔「アコ」と共に過ごしている青年。
・アコ 元夜更かしの悪魔、現在は心の穴を埋める心の悪魔としてきつねに寄り添っている。
・オバケ きつね達が度々見かける方、多分女性。
・コンシェルジュ 〝不思議の家〟のスタッフ。
『では、こちらにご署名をお願い致します。』
《宿泊名簿に署名をする二人。》
『では、エントランスへご案内します。』
「え?おわ!フロントの床が壁ごと…回転している。おわ!フロントの裏って…こうなっているんだ。」
「住んでた頃にホテルの入り口なんて見たこと無かったからよ、何処にあんのかと疑問だったが…そういうことか!」
「何か、日本の忍者屋敷みたいな作りだね…それで、うわぁ~また凄いエントランスだ。また違った高級感と言うか。」
『世界を巡ったオーナーが設計した自慢のホテルで御座います、落ち着きと静寂の〝青〟を基調に致しております。』
元々のエントランスとは正反対の落ち着いた高級感と言うか、〝近代的〟な感じもあって…。
でも驚いたのはそこの宿泊客の多さでしたね、静寂が霞むほど大勢のお客様が居ました。
「へぇ…意外と宿泊客居るんだな、最近は部屋無し悪魔とか妖怪が増えてんのか?」
『ええ、悪魔は〝人の心の余裕〟に住み着く生き物、最近は〝余裕〟なんてものを感じる人間は少ないのでしょう。』
「え?悪魔ってそういう生き物なの?…そうか、だからアコが僕の心に住んでくれたのか。」
「それもあるけどよ、基本的には〝契約〟を交わして、〝魂〟を頂くとかよ。〝対価〟を頂くんだよ。そいつが俺たち悪魔の贄に成ったり活力になって元気になるとか、そういうもんなんだけどよ…。」
『契約は人間の〝余裕容量〟が多いことが絶対条件なのです。このホテルには、悪魔以外もご滞在しておりますので。妖怪様やその他の方々も、人間社会の生き難さで不思議の家に駆け込まれているという様な現状ですね。』
僕、アコの名前を知って悪魔になったはずなのに。
悪魔のこと全然、何も知らないんだなって思いましたよ…正直ちょっと凹みました。
知らなかったってことよりは…、何だか色々に。
だって…人間の〝余裕〟が無いって、悲しい事じゃないですか?
「人は、友好関係を気付けていないって…そういう光景なのか。」
「まぁ!そんなもん流れがあっからよ!前にも何度もあったしな!こんなもんだろ毎回!」
『人も、運命も、勿論我々も流転いたします。その内に共存に適した平和も訪れるでしょう。さぁ、では早速お部屋へ参りましょう。そんな浮世の地獄も霞むほどの娯楽をお楽しみください。』
「…そうですね、楽しませて頂きます。僕が今考えても、何も変わらないしね。」
「お!いいぞきつね!今日はホテルで豪遊だ!呑むぞ!食うぞ!楽しむぞ!」
その時の僕がどれだけ凹んでも、世の中は変わらない。
そんなの、外の世界でも当たり前だったのに…やっぱり現実を見ると。
〝余裕〟が無くなる感覚、〝そりゃそうだよな〟って…思って。
最終的には、開き直って居ましたけどね。
中々、悪魔になり切れませんね。
続く
【あとがき】
最後まで読んでくださった方々、
誠にありがとうございます。
〝余裕〟って、みんなあります?
では次の作品も楽しんで頂けることを、祈ります。
お疲れ様でした。
カナモノユウキ
《作品利用について》
・もしもこちらの作品を読んで「朗読したい」「使いたい」
そう思っていただける方が居ましたら喜んで「どうぞ」と言います。
ただ〝お願いごと〟が3つほどございます。
ご使用の際はメール又はコメントなどでお知らせください。
※事前報告、お願いいたします。配信アプリなどで利用の際は【#カナモノさん】とタグをつけて頂きますようお願いいたします。
自作での発信とするのはおやめ下さい。
尚、一人称や日付の変更などは構いません。
内容変更の際はメールでのご相談お願いいたします。