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ボイスドラマシナリオ:「ヱイ藍2」

【前書き】

皆様、お疲れ様です。
カナモノさんです。

今回は先日スタエフで投稿した「たとえばこんなディストピア。」の第二作【ヱイ藍2】です。

楽しんで頂けると幸いです。

※コチラを聴きながら楽しむことも出来ます。
 是非、合わせてお楽しみください


【ヱイ藍2】

作:カナモノユウキ


〔登場人物〕
・柳田信子 ※「」
・AI(グレタ) ※『』

アナウンス音が鳴り料理が現れグレタの音声が語り掛けてくる。

『お待たせ致しました、牛フィレ肉とフォアグラを抱き合わせてロースト “ロッシーニ”風でございます。』
「ありがとう。」
『お褒め頂き光栄です。』

上品に食事をする信子。

「グレタ、美味しかったわ。流石私専属のAIね。」
『喜んで頂き何よりです。デザートをお持ち致しますか?』
「えぇ、お願い。」
『畏まりました。』

再度アナウンス音が鳴りデザートが現れ、信子は喜びを露わにする。

『お待たせ致しました、スフェール・ムエルタンのソルベとフロマージュブランのムース、ロゼシャンパンのジュレと共にでございます。』
「あら、これムエルタン!珍しい!」
『ご不満でしたか?』
「私の大好物、知っていたの?」
『知りませんでした、記憶しておきます。』

食事を終え、満足気な信子。

「今までで一番美味しかったわ、ご馳走様グレタ。」
『ありがとうございます。最後に、カクテルの使用は如何いたしますか?』
「えぇ!飛びっきりのをお願いするわ。」
『承知いたしました。こちらで飲まれますか?お部屋のご準備も出来ておりますが。』
「ここで良いわ。ここで死にたいの。」
『承知いたしました。』

変わらぬアナウンス音と共に、カクテルと呼ばれた液体が現れる。

『ご用意が出来ました。』

カクテルを飲み終え、恍惚に浸る信子。

「ふう。最高のディナーで心置きなく旅立てるわ。さよならグレタ!」
『はい、さようなら。良い旅を。』

割れるグラス、それとほぼ同時にこと切れる信子。

柳田信子、死亡。


『心拍の停止を確認。』

『柳田信子様の死亡を確認致しました。死体運搬の手配、完了致しました。』

『親族への連絡、遺言書の送付準備、完了しました。』

『死亡届の作成を開始、完了しました。役所への提出を完了しました。火葬許可証を受け取りました。』

『葬儀、および火葬の手続き申請、完了しました。』

『各種契約の解除に移ります。』

『各種契約の解約手続き、完了しました。』

『可能な手続きの一切を完了しました。』


『お疲れ様でした。』


【あとがき】

最後まで読んでくださった方々、
誠にありがとうございます。

今回の裏話ですが、この高級感が僕の中で未知数で。

ディナーも最初は割と適当に書いたら、これは違うよカナモノさんとしてくれた兄さんが居て。

教えてもらうと…全然違う。
僕の考えている高級は…高級じゃない!?
と軽いカルチャーショックもあって、中々に勉強になった作品でもありました。

あ、ちなみに。
「ムエルタン」なんてものは…ありません。

てへ。

では次も楽しんで頂けることを祈ります。
お疲れ様でした。

カナモノユウキ


【おまけ】

横書きが正直苦手な方、僕もです。
宜しければ縦書きのデータご用意したので、そちらもどうぞ。


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