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スプラトゥーン3の弾の命中率について #6 ジャンプ撃ちの拡散~理論編~

 シューター、ブラスターのジャンプ撃ちの命中率についても調査していきます。が、地上撃ちとはいろいろ違います。

地上撃ちと異なるパラメーター

パラメーターの違い

 命中率の式は、次の式で表せるのでした。

$$
p_{ブキ}(b,d)=\left(\frac{\frac{180}{\pi} \arcsin{\frac{r_t+r_b}{d}}}{s} \right)^{\log_{b}{0.5}}
$$

各パラメーターが地上撃ちのときとどう変わるのか見てみます。

 dは、変わらないとしましょう。つまり、敵イカの中心から銃口までの距離をそのまま使います。敵と弾丸の大きさ$${r_t, r_b}$$も変わりませんね。 
 ジャンプ撃ちにより振る舞いが大きく変化するのは、拡散sとブレ値bです。

 ブレ値bのジャンプ中の値は、ジャンプ中は一定の値に固定されます。(ブキごとに異なりますが、2024年10月現在シューターは0.4, ブラスターは0.5, スピナーは0.3で固定です。)

拡散sを求めよう

拡散の変化

 拡散sは、ジャンプ直後に地上撃ちの拡散よりも大きいジャンプ撃ち拡散の値となり、少し後に縮小が始まり、さらに少し後に縮小が完了、つまり地上撃ちの値まで減少します。なお、解析情報によると
・ジャンプ後、縮小が始まるまでの時間
・ジャンプ後、縮小が完了するまでの時間
はブキごとに固有ですが、ほとんどのシュータースピナーマニューバーと、一部のブラスター(ホット、ロング、ノヴァ、S-BLAST)で前者が25Fで後者が70Fです。しかし、ラピ、ラピエリ、クラブラは縮小開始までが40Fと長いです。
H3は20F,50Fらしいですが、H3はジャンプ撃ちと地上撃ちの拡散が変わらないので無意味です。(スプラ2の初期アプデで上方修正としてこれらの値が短縮されるも、足りなかったためか後のアプデでそもそもジャンプ撃ちで拡散が増えないようになりました。その名残でしょう。)

ジャンプ撃ち拡散はいくつか?

 この時のジャンプ撃ちの拡散の値は、アクション強化ギアにより減少します。具体的には、地上撃ちの拡散よりも大きい「GP=0の時のジャンプ撃ちの拡散」が決まっていて、アク強を積むほど地上撃ちの拡散に近づいていき、最大の57積み(エナスタ効果中と同じ)で地上撃ちの拡散と同じ値になります。(※GPの値は、メインギア1個がGP=10に、サブギア1個がGP=3になるとして計算した値です。)
具体的な式が、次のようになります。

$$
s_{\mathrm{ju}}=s_{\mathrm{st}}+(s_{\mathrm{st}}-s_{\mathrm{jumax}})(\mathrm{ratio}(GP))^{\log_{0.5}{slope}}\;\;\;\;(1)
$$

$${s_{ju}}$$が求めるジャンプ直後の拡散値、$${s_{st}}$$が地上撃ちの拡散値、$${s_{jumax}}$$がジャンプ撃ち拡散の初期値(GP=0の時の値)です。ratioはGPの関数で、0から上がるにつれ少し山なりに増加する関数です。次の式で表されます。

$$
\mathrm{ratio}(GP)=\min(1,0.033GP-0.00027GP^2) \;\;\;\; (2)
$$

ギアパワー(57表記、横軸)とratio(縦軸)の関係

 slopeはギアパワーが適応される事象ごとに設定されている値で、大きいほど少しのギアパワーで効果を生むようになり、小さいほどたくさんのギアパワーを積んで初めて効果が表れるようになっていきます。

 式の導出は、wikiのこのページの「ギアパワーの効果量の計算方法について」の章に詳しいので、そちらを参照してください。wiki内の「X = (High - Low) * ratio^(log(slope) / log(0.5))」という値が(1)式の「$${ (s_{\mathrm{st}} - s_{\mathrm{jumax}} ) (\mathrm{ratio}(GP))^{\log_{0.5}{slope}}}$$」の項に対応し、「high」が$${s_{\mathrm{st}}}$$に、「low」が「$${s_{\mathrm{jumax}}}$$」に対応します。

ブキ種ごとの違い

 ブキ種ごとにこのslopeの値は異なります。
シュータースピナーマニューバーはslope=0.75
・ブラスターはslope=0.5
・ただし、ノヴァとS-BLASTはslope=0.625

ブラスター以外は地上撃ちの拡散もそこそこ大きいため、slopeを大きくして少しのギアパワーで効果が大きく表れる方向に調整されています。
ブラスターは地上撃ちの拡散が0°と小さいため、slopeが小さくても十分少量積みで大きい拡散縮小が見込めるんですね。ただし、ノヴァとS-BLAST上方修正により、さらに少量のアク強で大きく拡散が縮小されるようになっています。

グラフにすると次のようになります。

シューターのジャンプ撃ち拡散とギアパワー量の関係
ブラスターのジャンプ撃ち拡散とギアパワー量の関係

キル速の期待値は?

 キル速の期待値も後に計算します。が、ブレ値bが固定のため何発撃っても命中率が変わりません。よって、計算はずっと楽です。

 命中率をpとしましょう。これは距離が変化しない限り不変です。そして、一回命中するまでに撃たなければならない回数の期待値は1/pです(証明は割愛します。期待値が確率の逆数になる場合として検索すれば簡単に出てきます(ex:http://zakii.la.coocan.jp/enumeration/32_bernoulli_k.htm))。よって、n確のブキがキルするまでに撃つ回数の期待値はn/pですね。

 そうすれば、今回採用しているキル速の定義(#4参照)から、キル速の期待値が(割と簡単に)求まります。

$$
E(キル)=1+((n/p-1)*(\mathrm{repframe})) \;\; [\mathrm{F}]
$$

 次回2回で、シューターとブラスターのジャンプ撃ちの命中率のグラフを用いた考察をしていこうと思います。

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