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エピソード3(日進月歩 輝&輝の15年)

アミューズミュージアムとの出会い

若かりし頃の思い出のライブハウス的なものが私たちにもあります。それは浅草寺の二天門を出てすぐのところにあった、2009年に開館し2019年に閉館したアミューズミュージアムです。

私たちは、このアミューズミュージアムで2010年2月より、ワンマンライブを定期的に行うこととなりました。

そもそも、このアミューズミュージアムとの出会いは、福士豊秋師匠からのご紹介でした。

アミューズミュージアムでは常時、青森文化を中心にした展示やパフォーマンスが行われていて、豊秋師匠が演奏された時にお弟子さんであるぴーちゃんも一緒に出演しており、輝&輝のことを話題に出してくれマンマンライブのお話をいただいたのでした。

初めてアミューズミュージアムに行った帰りに、ぴーちゃんから「輝&輝でワンマンライブできるかもよ!」と電話がかかってきたのを今も覚えています。私は多分大学の寮にいて、消灯時間も過ぎてパジャマ姿、完全なるoffモードだったのですが、一瞬でじわっと熱くなり、気持ちが高揚していました。

まだ大学2年生だった私たちは、それまでイベント出演に出向くことが多く、自分たちで一時間や二時間のライブ構成はしたことがありませんでした。でも「ワンマンライブできるアーティストってかっこいいよね」と2人で妄想して盛り上がり、私たちの拠点となる浅草アミューズミュージアムで2019年2月までの間に50回のワンマンライブをすることとなるのです。

今でも、初期の頃からワンマンライブを観てくださっている方がコンサートに足を運んでくださっています。最初の頃は本当に目も向けられないし、耳を塞ぎたくなるような出来栄えだったと思うのですが、今どんなことを思いながら私たちの舞台を見てくださっているのだろう、とたまに感想を聞きたくなります。でも、もはやメンバーか!?というくらい一緒に歩んでくれているので、この長い年月の中で感じてきたことは同じのような気もするのです。わざわざ聞くのは野暮かな。。今でも応援してくださることにただただ感謝して、いい音楽を届けられるよう精進することが1番のお返しだと信じています。


ワンマンライブ

さて、2010年から始まった輝&輝のワンマンライブ。第一回目は今持っているレパートリーを全て出して時間を稼ぐライブでした。

かろうじてあるオリジナル曲2・3曲と、合奏曲六段、メジャーな民謡メドレーと五大民謡の曲弾き、こんなところです。

そして極め付けは、無印で買った衣装、、、。
無印が決して悪いということではなく、何で若い女子2人の津軽三味線のライブ衣装が無印だったか、というところに疑問だらけです。

一応、流れを説明しておくと、下北沢の古着屋さんやデパートにも足を運んだんです。それを見た上で選んだのが無印。。疲れて思考停止していました。

衣装選び一つとっても、本当に一苦労なんだということを知りました。

このワンマンライブを続けることで、本当にあらゆる角度からパフォーマンスすることの心得を学んでいけたと思います。

例えば、
・トークに慣れる
・オリジナル曲を増やす
・色々な楽器やパフォーマーとのコラボレーションの仕方
・津軽三味線という楽器にとことん向き合う


こんな感じでしょうか。
そうそう、民謡は唄があってこそと身をもって感じたのもこのアミューズミュージアムでのライブからでした。

当時、お客様に「皆さんも知ってる曲なので一緒に歌ってください」とどメジャーな「ソーラン節」「花笠音頭」などの民謡をメドレーにして歌詞カードを配っていました。でも、お客様からしたらいくら歌詞カードを配られていても、よほど民謡に精通している人でないと唄い出しにくいのは当たり前です。「別に上手くなくてもいいから一緒に唄ってくれないと唄いたくても唄えない」と言われました。

確かに、楽器の聴き方と唄の聴き方ってちょっと違うのかもしれないと初めて思わせてもらいました。カラオケを思い出してもらうと納得するのですが、歌はほとんどの人が経験したことのある音楽の表現です。楽器を奏でる技術がなくても一緒に共演できるのが歌うということ。知っている歌を誰かが歌っていると、思わず一緒に口ずさみたくなるのは自然現象だなぁとその時ハッとさせられました。

本当に上手な人の唄はうっとりと聴く専門としての役割がありますが、下手なら下手なりの表現の仕方があるのでは…!?といいように解釈してしまい、民謡を習うという予想外の一歩を踏み出すこととなったのでした。

でもこれは本当に良い経験になっていて、民謡の世界では唄を知るとその曲の7割ほどを理解することができます。唄を覚えると三味線がすぐ弾けてしまう魔法。唄付の間の勉強にもなるし、民謡の仕組みを知るにはまずは唄からと言っても過言ではないと思います。

なので、永遠に初心者マークは外せませんがこれからも唄わせてください。笑

集客をする

このワンマンライブを続けるにあたり、一番大変だったことは集客です。たった50人で満席というキャパシティでしたが、初めの頃は1ヶ月に一回開催を目標にしていたので演奏のクオリティーを保つことと集客をすることを同時にすることが上手くできませんでした。

オリジナル曲を作らなくてはいけないし、ライブの周知もさせなくてはいけない。どちらかに集中してしまうとどちらかが疎かになってしまい、幕が開けたらお客さん4人、ということもありました。

私の記憶ではそれはこの時なんです。

ぴーちゃん、唄ったそうです。ぴーちゃんは唄のことをちゃんと勉強しながらも人前では滅多に唄いません。なので、たった4人が聴けたラッキー会。

それと、「あんドーナツ」という新曲を作るのに本当に苦労していました。(今ではお蔵入りでほとんど演奏することない曲ですが、、、)私たちはこの数日前青森に行っていて、青森でも空き時間に練習、そして夜行バスで次の日の朝帰ってきて、大学の授業に出た後もう一度集合してリハーサルを重ねました。

そして、ようやく曲が完成して間に合ったと安心していたらお客さんが4人…

集客をすることをすっかり忘れてしまっていたのです。そんなことある!?とお思いでしょうが、あるんですよね。。どんなに一生懸命やっていても、経験が浅いと本当に色んなことが起こるものです。

ワンマンライブを続けることで、一アーティストとしての器の大きさを広げてもらえました。

生音で届ける

そして、もう一つ。このワンマンライブでは楽器の音は毎回生音でした。50人でマックスくらいの会場だったこともありますが、生音で気持ちよく演奏できる会場というのはそう多くはありません。

そもそも、津軽三味線は門付芸という形で生まれたこともあり、生音で大きな音が響くように改良されてきた楽器です。
楽器を最大限に響かせられることは津軽三味線奏者として身につけておきたい術です。最初から狙っていた訳ではありませんが、自然とマイクに頼らずに2人で楽器を鳴らすという訓練をすることができました。二人いるので、常に比べられることでいつも毎回新たな気づきがあり、向上心を無意識に保つことができました。

昨年の14周年コンサート「百日奏」では、生音にこだわった会場でも何回かライブを行いましたが、このアミューズミュージアムでのライブを思い起こさせるようなアットホームで、真摯に楽器に向き合う時間を過ごすことができたと思います。

大きな会場でたくさんの方に聞いてもらうコンサートができることは演奏者としてのステップアップになるのですが、たまには一人一人にしっかり向かい合えるような小規模生音ライブも続けて開催したいなと感じます。生音ライブは私たちの原点です。

宣伝させてください!

只今【ちょー必死コンサート宣伝月間】なので、コンサートお知らせをさせてください!ぜひ足を運んでいただけたら非常に嬉しいです!!!

よろしくお願いします(土下座)

津軽三味線 輝&輝 15周年コンサート 「日進月歩」  東京公演 太陽編  


日時:2023年7月23日(日) 13:15開場/14:00開演

場所:紀尾井ホール小ホール 

チケット:一般5000円 学生(小〜大学生)3000円 *未就学児無料


出演:輝&輝(津軽三味線)

   福士豊桜(民謡)

   瀧北榮山(尺八)

   佐々木忍弥(津軽三味線)


■イープラス購入ページURL

https://eplus.jp/sf/detail/3840860001-P003000
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津軽三味線 輝&輝 15周年コンサート 「日進月歩」  名古屋公演 

日時:2023年8月27日(日) 15:00開場/15:30開演 

場所:のぶながホール 

チケット:一般4000円 学生2000円 *未就学児無料


出演:輝&輝(津軽三味線)

   正調津軽三味線(津軽三味線)

   福士豊桜(民謡)

   伊藤辰哉(キーボード)

   鈴木良教(パーカッション)

■イープラス購入ページURL

https://eplus.jp/sf/detail/3848820001-P0030001