KANAME Personalとは何か(2/5)
前回のインタビューではKANAME Personalの開発背景についてお話を聞いてきました。今回はKANAME Personalの診断の流れや重視している考え方について詳しく聞いていきます。
3. KANAME Personalの診断項目
3-1.KANAME Personalの診断の流れ
村松:KANAME Personalの分析はどのような流れですか。
竹内:受検者の方に質問に回答していただくと、「成長性」や「一貫性」、「社会性」、「人間性」、「共鳴性」を表す棒グラフがそれぞれ示されます。
他には5つの性質ごとの質問に対する回答結果も示されます。
この回答結果を見ることで、受検者の方がどれだけ素直に回答できているか(回答にゆらぎがないか)どうかや、潜在意識で自分のことを把握しているかどうかの真実性などを把握することができます。
また、このグラフや回答結果から受検者のエネルギーレベルを読み取ることができます。
このエネルギーレベルとは「意識の次元」を表しており、「真剣性」と「自転性」、「調和性」の3つの性質に基づいて割り出されています。エネルギーレベルは「真本音度合い」とも言い換えることができます。
※なお、「真剣性」と「自転性」、「調和性」はレポートには示されません。
このエネルギーレベルと質問の回答結果を照らし合わせながら、受検者一人ひとりの特性や伸ばし方、適する環境などを示しています。
3-2.5つの性質
村松:「成長性」や「一貫性」、「社会性」、「人間性」、「共鳴性」の5つの性質を重視されていますが、これらを重視する理由は何でしょうか。
竹内:この5つの性質については、ずっと現場で人と向き合い、人をつぶさに拝見し続けた結果として分かったものです。
何が人にとっての内発的なモチベーションの源泉なのかを探り続けた結果として、「成長性」や「一貫性」、「社会性」、「人間性」、「共鳴性」の5つの性質から来ているものだと確信しました。
また、この5つの性質の指標があると、エネルギーレベルを割り出しやすいです。
1.「成長性」
村松:まず「成長性」とは何でしょうか。
竹内:「成長性」の定義は「自分をより高めたい」という純粋な意欲の度合いを示しています。単純に昨日の自分よりも今日の自分を高めていこうという意欲があるかどうか、ということです。
また、この”成長”とは目に見えるスキルや他者からの評価を追い続ける様である”水平的な成長(膨張)”ではありません。
自分自身の内なる願いから生まれ、人として成熟に向かっていく”垂直性な成長(進化)”のことを示しています。
このような背景から、受検者の方の中には「私は成長意欲が高いのに、成長性が低いと評価されるのはどうしてだろう」と思われる方もいます。
※なお、他の4つの性質でも言えることですが、全ての質問に他者から良いと思われるだろう回答をしたとしても、それぞれの性質の数値が高く出るわけではありません。また、それぞれの性質の数値が高いことが良いというわけでもありません。
村松:「成長性」はどうすれば伸ばすことができるのでしょうか。
竹内:「成長性」は単独で伸びることはありません。
他の「一貫性」や「社会性」、「人間性」を高めようとした結果として、「成長性」が伸びていることに気付かれることがほとんどです。成長のための成長はないと言えますでしょうか。
また、「成長性」とは、生まれつき持った素質の部分が大きいと考えています。令和になってから最初から「成長性」が高い方が増えているようにも感じます。
今までは経済的に豊かな暮らしや会社での出世等の外面的な充足に価値を感じる時代が続いてきたかと思います。
しかし、令和はどう生きるか、本当の願いは何かなど内面的な充足に価値を感じる時代に変わってきたという影響が大きいのではないでしょうか。
2.「一貫性」
村松:次に「一貫性」とは何でしょうか。
竹内: 「一貫性」の定義は、「淀みのない自己統合(心と行動の一致)」への純粋な意欲の度合いを示しています。本当の自分の願いと行動がどこまで一致しているか、ということです。
もう少し詳しくお伝えすると、「一貫性」とは「願い」、「役割」、「価値観」、「能力」、「行動」、「カタチ」の6つの要素が「一つに繋がっていること」と定義しています。
平成までの時代では「カタチ」や「行動」が主に重視され、これらが人生において一貫していることこそが一貫性がある人であり、良いことだと言われてきました。
しかし、真の「一貫性」とは、自分自身の本当の願いを認知し、6つの要素を一つの方向に向けて生きることを指します。
例えば、願いがないのに行動だけして成功してしまった方は「一貫性」が低くなることがほとんどです(そのような経営者を拝見してきました)。
村松:「一貫性」はどうすれば伸ばすことができるのでしょうか。
竹内:「真本音度合い」を高めることが最も大切です。
現代では、まず能力の獲得や行動に躍起になられる方が多いと思います。
しかし、本当の願いが明確になれば、それを実現するための能力というのは自然に備わっていくと思います。
また、自分の願いが明確になればなるほど何をすべきかが分かるようになるので、無駄な努力や行動をしなくなります。その結果、願いと行動の「一貫性」がどんどん高まっていきます。
まずは自分の願いは真本音なのかどうかを意識することが大切だと考えています。
3.「社会性」
村松:「社会性」についてはいかがでしょうか。
竹内: 「社会性」の定義は「社会における自己確立」への純粋な意欲の度合いを示しています。
ここでの”社会”とはお客様や同僚など周囲の人のことを表しています。
また、”自己確立”とは自分自身を自分だけではなく、どこまで相手や周囲の人を含めた範囲で捉えられているかを示しています。
例えば、顧客目線でどんな価値を提供できるかを考えている人ほど「社会性」が高く出る傾向があります。
一方で、自己満足的に社会を良くすると掲げられている人は「社会性」が低く出る傾向があります。
つまり、他者にとって何がベストかを模索できる人ほど「社会性」が高く、一方で自己利益のために他者貢献しようとしている人は「社会性」が低いと言えます。他者貢献を自己満足のために行っている方を拝見してきました。
村松:「社会性」はどうすれば伸ばすことができるのでしょうか。
竹内:相手が本当に喜ぶことは何だろうと"真剣"に考えることが必要だと考えています。
本気で相手のことを考えていけばいくほど、自分のみの視点から相手や周囲を含めた視点へと広がっていき、段々と次元が高まっていきます。
その結果として、周囲の人とのシナジーも生まれやすくなり、どんどん進化していくと思います。
4.「人間性」
村松:「人間性」についてはいかがでしょうか。
竹内: 「人間性」の定義は「関わる人を大切にしよう」という純粋な意欲の度合いを示しています。
相手のことをまるで自分のように、どこまで大事にすることができるかを表しています。
一見するとシンプルなようですが、これが最も難しいことではないでしょうか。
そして、相手に意識を向けることができる方ほど「人間性」が高いと言えます。
また、この相手を大事にしようとする時に感じるエネルギーを”愛”と呼んでいます。
「人間性」が高い方からは、ものすごく”愛”を感じることができます。
村松: 「人間性」はどうすれば伸ばすことができるのでしょうか。
竹内:まず相手に意識を向け、向き合うことが大切だと考えています。
相手に意識を向けて初めて、相手が大切にしていることや価値観を知ることができます。
そして大切にしていることや価値観を尊重しようとして初めて、愛が生まれるのではないでしょうか。
今まで他者と向き合ってきた経験が多い方ほど、「人間性」が高いと思います。
5.「共鳴性」
村松:最後に「共鳴性」についてはいかがでしょうか。
竹内: 「共鳴性」の定義は、「人と共に未来を創ろう」という純粋な意欲の度合いを示しています。簡単にいうと、単純にチームとしての成長意欲を表しています。
人生の目的に向かっていくと、自分の力のみでは何ともならないことに気付かされる瞬間があります。例えば、会社も創業者一人では目的を達成できないから組織になったと言えます。
つまり、ある地点から誰かと共に人生を歩んでいくようになります。
村松: 「共鳴性」はどうすれば伸ばすことができるのでしょうか。
竹内:まずは「一貫性」、「社会性」、「人間性」を高めることが大切です。
「共鳴性」は「成長性」と同様に、「一貫性」、「社会性」、「人間性」が高まって初めて伸びていきます。
そのため、回答結果で「一貫性」、「社会性」、「人間性」が低く、「成長性」や「共鳴性」が高い方は、真剣性(どれだけ素直に回答できているかどうか)や真実性(潜在意識で自分のことを把握しているかどうか)が低いといえます。
また、他のポイントとしては共に成長しながら進もうとする関わり方を大切にすることが重要だと思います。
村松:5つの性質だけで本人の特性やポテンシャルなどが分かるのでしょうか。
竹内:こちらの5つの性質から表面的な部分はまず分かります。
例えば、人間性や共鳴性が高い方はサポートする力に長けていることや、社会性が高い人は社会的使命を全うしたい気持ちが強いことなどが分かります。
しかし、エネルギーレベルに基づいて分析を行うと、例えば表面的にはある一つの指標が高く出ていたとしても、本当は別の指標が高い可能性があることや、眠っているポテンシャルなどが分かります。
村松:実際の受検者の回答結果のグラフごとに受ける印象について教えていただけますか。
竹内:まずこちらの方ですが、まず「人間性」が高いことが分かります。
「人間性」か「社会性」が高くでている方は、サポートすることか場を調和することにポテンシャルがあることが多いです。
但し、この方は「成長性」も高く出ていますので、「人間性」が高いことも踏まえると、リーダーシップの方向にポテンシャルが高いと考えられます。
またグラフには見えていませんが、「人間性」が非常に高い方なので、「自己自由度」が上がっていくと「社会性」の部分がどんどん高くなるかと思います。
次にこちらの方ですが、「成長性」と「共鳴性」が高く、他の「一貫性」や「社会性」が低いことが分かります。
「成長性」や「共鳴性」は、他の性質が伸びて初めて高くなるため、こういったグラフになることは、真剣性(どれだけ素直に回答できているかどうか)か真実性(潜在意識で自分のことを把握しているかどうか)が低いと言えます。
他者から良いと思われるだろう回答をされたのか、あるいは潜在意識レベルで自分の気持ちを認知されていなかったなどが考えられるでしょう。
このような「回答の揺らぎ」や「真実性」を踏まえて、「自己自由度」や「個人の個別育成方針」をレポートします。
最後にこちらの方ですが、全ての性質が数値的には低めに出ています。
しかしこのグラフからは、受検者の方が自分の気持ちを潜在意識レベルで捉え、素直に回答されていることから、非常に「真実性」が高いということが読み取ることができます。
レポートでは、「真実性」が高い方はグラフの見た目以上に各性質が高くなる傾向があります。
この方に関しても、グラフや回答結果をそのまま受け取ってレポートするのではなく、「真実性」の高さを踏まえた上で分析を行いました。
次回の第3話は、引き続きKANAME Personalの診断項目について詳しく説明します。