KANAME Personalとは何か(4/5)
前回のインタビューではKANAME Personalの診断項目であるエネルギーレベルやレポートの内容についてお話を聞いてきました。今回はKANAME Personalのレポートの「個人の現在地と可能性」と「適した環境の選び方」について詳しく聞いていきます。
3-6.個人の個性育成方針
村松:次の項目の「個人の個性育成方針」はどのように表されているのでしょうか。
竹内:先天的に持っている力やポテンシャルに加えて、今、何がそのポテンシャルの発現の障害になっているかをレポートしたものが「個人の個別育成方針」です。
今までの診断項目や、受検者の方の「エネルギーレベル」と回答結果を照らし合わせながらレポートしています。
Ⅰ.ポテンシャル
村松:まず「ポテンシャル」とは何でしょうか。
竹内:私は「ポテンシャル」を生まれた時から元々兼ね備えている先天的な能力と定義しており、「素質」と同義です。
「ポテンシャル」は「未開の領域を切り開く力」か「個人や組織の進化に必要な本質を見つけ出す力」、「場に調和を作り出す力」、「他者の潜在能力を引き出す力」のいずれかに該当します。
これまでの企業や個人の方へのサポートの経験から、どの方でもいずれかに該当することが分かっています。
そして、「ポテンシャル」が他の方と全く同じになることはありません。例えば、「未開の領域を切り開く力」のポテンシャルがある方でも、一人ひとりの具体的なアプローチは異なります。レポートの内容も一人ひとり違うものです。
また、ポテンシャルは決して1つではありません。あくまでどのポテンシャルが強いかのグラデーションであり、最終的には「真本音度合い」が高まっていけば、全ての「ポテンシャル」が発現します。
レポートでは受検者の方の現在の位置を踏まえた上で発現するポテンシャルを記載しています。
村松:「ポテンシャル」が発揮された事例について教えてください。
竹内:過去に経営コンサルティングでサポートさせていただいた時の事例ですが、いつも様々な場に顔を出して、メンバーを引っ張っていくことに注力されていた社長さんがいらっしゃいました。
しかし、その方とお話しをさせてもらうと、実は「場に調和を作り出す力」にポテンシャルがあることが分かりました。
今まで送ってきた人生によって形成されてきたクセや思い込みによって、あれもこれも自分がやらなければと思われていました。
「場に調和を作り出す力」にポテンシャルがある方は、会議などでその場にただいるだけで、場の雰囲気が変わっていきます。
ですので、本来のポテンシャルを意識し、今までのクセや思い込みを手放してもらうようサポートを続けてもらった結果、組織が劇的に変わることがありました。
つまり、ポテンシャルを発揮するためには、あれもこれも注力するのではなく、今までのクセや思い込みを知覚し、やらなくて良いことをどんどん手放していくことが必要です。
今の現代では、手放すことよりも、あれもこれも身につけることの方が重視されているように感じています。
Ⅱ.自己育成ポイント
村松:次に「自己育成ポイント」はどのような観点で記載しているのでしょうか。
竹内:受検者の方が成長するために、何に注力するべきかをまとめたものです。
多くの方は自分の成長のために、様々なことに手を出しすぎていると感じています。
何か行動すること自体は良いことだと思います。一方で、様々なことに手を出しすぎた結果、本当に必要なことに集中できず、結局何にもならないことが多い印象を持っています。
KANAME Personalでは、受検者の方が成長のために集中すべきことのみを記載しています。
Ⅲ.自己育成のための壁
村松:「自己育成のための壁」とはどのようなものでしょうか。
竹内:これまでの人生の中で形成された思考や行動のクセが成長を阻害します。
これがいわゆる「反応本音」です。
例えば、「自分はダメだ」や「こうあるべきだ」、「今の私では無理だ」等の「自己開放」を阻害する思い込みなどがあります。
「反応本音」において、最も成長を阻害しているポイントを「自己育成の壁」として記載しています。
村松:今の若手の方で特に多い阻害ポイントなどはありますか。
竹内:自分を押さえ込む系の阻害が多い印象を持っています。
そのような方にはもっと自分を自由にした方がいいというアドバイスをよく行います。自分を抑えることが成長につながると真面目に考えている方が多いように感じます。
また、企業に入社すると基本的に上司からの命令が絶対になるかと思います。
自分の個性をどう発揮するかよりも、言われたことをやることが必要になるので、自分を押さえ込むのが当たり前になっていくのだと思います。
その結果、萎縮してしまい、本来のパフォーマンスを発揮できない方を多く見てきました。
Ⅳ.自己自由度を高めるための「自己課題」
村松:「自己自由度を高めるための「自己課題」」はどのようなものでしょうか。
竹内:受検者の方が何をすれば良いのかを具体的に書かせていただいたものが自己課題です。
受検者の方が自力でどこまでできるかは分かりませんが、文字の説明で、できる限りお伝えすることを心がけています。
また「自己自由度」(≒「真本音度合い」)を高めることが、「ポテンシャル」(≒「素質」)を発見するために必要です。
これまでの人生の中で形成された思考や行動のクセが「ポテンシャル」の発見を妨げています。
したがって、「自己課題」は今までの人生で避けてきたことや意識していなかったようなことが記されています。
ゆえに、受検者の方の中には、自己課題に取り組む上で勇気が必要な場合があります。
Ⅴ.オススメの「自己課題」への取り組み方
村松:「オススメの「自己課題」への取り組み方」はどのような観点で記されているのでしょうか。
竹内:上記の具体的な「自己課題」への取り組み方をさらに詳しく記載しているものです。
例えば、「こうあるべきだ」というモノの見方に壁があり、「人との向き合い方」に自己課題があった方には、「あるがままに観察する」ということを中心に、オススメの「自己課題」への取り組み方を記載したことがあります。
他には「私はダメだ」という自己否定に壁があり「純粋にわがままになること」に自己課題があった方には、「自分の中心核の場所を自覚する」ということを中心に記載したこともあります。
つまり他人と同じ自己課題になることはありません。
また、KANAME Personalは何度も受検することができますが、その時の自己自由度によって課題や取り組み方は変わってきます。
一方で、自己課題や取り組み方が分かっても、実際に行動することが難しい方もいらっしゃいます。
そういった方にはレポートに基づいてコーチングなどでフォローをさせていただいています。
受検者の方が分析者本人と直接お話しできる点は、KANAME Personalの面白い点ではないでしょうか。
3-7.適した環境の選び方
村松:「適した環境の選び方」はどのように診断していますか。
竹内:「適した環境の選び方」では、受検者自身のポテンシャルを最大限に発揮できる環境をテーマに、企業の大きさ・柔らかさ・明るさの3つの観点から最適な環境の傾向をお伝えしています。
企業の大きさ・柔らかさ・明るさという3つの観点は、今までの企業向けの組織コンサルティングの経験に基づいて、ポテンシャルを発揮できる環境を見つける上で最も必要な要素だと考え、この3つの観点に関する質問を作成しました。
そして、個人の特性や強みのような「個別育成方針」だけでなく、個人の特性に則した「適した環境の選び方」まで分析する点は、他の診断ツールとは大きく違う点であると考えられます。
「適した環境の選び方」に関しても、受検者の方の「5つの性質」や「エネルギーレベル」などに基づいて、企業の大きさ・柔らかさ・明るさの3つに関する質問の回答結果と照らし合わせて分析を行います。
なお、単なる回答の組み合わせのみから導かれる結果ではなく、「本来の自分」が望んでいる企業の大きさ・柔らかさ・明るさは何かということを重視しています。
Ⅰ.企業の環境・規模
村松:まず「企業の環境・規模」とは何でしょうか。
竹内:「企業の環境・規模」とは「本来の自分がどのくらいの影響を与えたいか」を示すものです。
KANAME Personalでは、物理的規模(社員数、支店数、組織構成など)や影響的規模(その企業の影響の範囲と深さ)、成長的規模{量(売上、店舗数)、質(品質、次元など)の成長スピード}の3つの要素を中心に質問して分析を行います。
世の中には、自分に合った規模感が「実在」の自分と一致している人があまりいないように感じています。
例えば、本来は一対一での丁寧なお客さんへの対応が合っている方が、会社の成長とともに規模の拡大を優先した結果、思い描いた現実にはならず、困惑される方がいらっしゃいます。
一方で、より多くのお客さんへのアプローチが合っている方が、1対1でのお客さんへの対応という仕事を選択してしまって、上手くいかないケースもあります。
KANAME Personalではエネルギーレベルや特性に基づいて、本来の自分が大切にしたい規模感はどれくらいなのかをお伝えしています。
なお、自分が何人くらいの人にどの程度の影響を及ぼしたいかは、「真本音」で決めている人もいらっしゃいます。
Ⅱ.企業の柔軟性
村松:「企業の柔軟性」とは何でしょうか。
竹内: 「企業の柔軟性」とは「本来の自分がどれくらいの柔軟性を組織に望むか」を示すものです。
KANAME Personalでは、物理的柔軟性(業務の固定度合い、分業の固定度合い、社内のルールの固定度合いなど)や風土的柔軟性(斬新なアイデアを出しやすい雰囲気か、奇抜なアイデアでも受容しやすい社風か)、成長的柔軟性(もっと良くなろう、あるいは今のやり方をどんどん越えようとする意欲が高いか)の3つの要素を中心に質問して分析を行います。
例えば、自分から仕組みを作っていくことを望んでいたとしても、本来の自分は仕組みを改善していくことの方が適しているケースがあります。
他には、固定化されたものを壊して変革していくことが適した方もいれば、その逆の方もいらっしゃいます。また仕組みが整っていてもいなくても、どちらでもいい人もいます。
KANAME Personalではエネルギーレベルや特性に基づいて、本来の自分にとってどのくらいの組織の柔らかさが適しているかをお伝えしています。
Ⅲ.企業の明るさ
村松:「企業の明るさ」とはユニークな表現ですが、どのようなものでしょうか。
竹内: 「企業の明るさ」とは「本来の自分が望む組織のエネルギーレベル」を示すものです。
KANAME Personalでは、物理的明快度(場所、建物、立地条件、室内の明るさなど)や精神的明快度(人のエネルギーレベル、オープンで健康的な関わりなど)、成長的明快度(人として、チームとしての進化欲求)の3つの要素を中心に質問して分析を行います。
まず全てのものにはエネルギーレベル(=真本音度合い)が存在しています。
なんとなくこのモノや場所、空気感は自分の感覚と合っているなどと感じることは誰にとってもあるのではないでしょうか。
また場所だけではなく、関わる人やチームにも同様にエネルギーレベルが存在しており、自分のエネルギーレベルと適した人やチーム、組織が存在します。
つまりKANAME Personalでは、自分のエネルギーレベルに適した人や環境、組織は何かをお伝えしています。
あえてエネルギーレベルが低い組織に入ることで組織のエネルギーレベルを上げていくのが適している人もいれば、最初からエネルギーレベルの高いところに行った方がいい人もいます。
例えば、いわゆるゴミ屋敷に住む方は、ゴミ屋敷であることを自ら望んでいる場合があるように、望んでいる環境や組織のエネルギーレベルは人それぞれと言えます。
これら3つの企業の大きさ・柔らかさ・明るさの分析結果に基づき、適した環境についてのアドバイスをレポートしています。
次回の第5話は、KANAME Personalの利用法について詳しく説明します。