舞台少女たちの足音

※12/13 あらすじ説明部の全く持って意味不明な誤字を修正しました。

二次元における「言葉」は、キャラクターの命。
舞台における「足音」は、その瞬間を生きる役者だけに鳴らすことができる音色。
そのふたつが紡ぎあう作品が、『少女✩歌劇レヴュースタァライト』。

『少女☆歌劇レヴュースタァライト』とは?

「アニメ」と「ミュージカル」が相互にリンクし合い、展開していく新感覚ライブエンターテインメントと銘打って、2017年4月30日に発表された。本作はミュージカルが原作となり、またミュージカルの主要キャストがそのままアニメ版等での声優を担当するという形式を取っており、漫画やアニメ、ゲームを原作とし、基本的にアニメ版等での担当声優以外の舞台系俳優によって演じられる2.5次元ミュージカルとは異なる。主要キャストは舞台女優(一部声優兼任)の肩書きを持つ人物が中心となっている。
-wikipediaより引用




舞台を観劇する前に

・今回の#2公演は、通常の公演に加え『男性限定公演』と、『女性限定公演』がありました。
チケット倍率を気にされる方や、「野郎だけで推しさんへの愛を叫びたい!」という方や、
「あのキャストさんに黄色い声を浴びせたい!」という方は通常公演に加え、こちらの日程もお勧めします。

・会場のロビー前で持ち物検査がありました。
キャストさんと非常に近い距離でお芝居が行われますので、万全な警戒態勢で行われるようです。
6年ほど飛行機に乗っていない筆者は、金属探知機の前であわあわしてしまいました。
(係員のお姉さん、申し訳ないです)

・公演は大きく「お芝居のパート」、「ライブパート」の二部構成です。
ライブパートでは、ペンライトを振ってキャストさんに声援に声援を送ることができます!
物販のスタァライトブレードが最良ですが、通常のキンブレでも9人それぞれの色は搭載されているので、お手持ちのペンライト持参でも問題はないと思われます。

待ちに待ったあの日

10月某日。
私と高校時代から付き合いがある親友は、会場の天王洲銀河劇場に向かいました。
ふたりともオタク歴は10年。様々なアニメやゲーム、ライトノベルを渡り歩いてきましたが、「2、5次元作品」と呼ばれているものを観劇するのは今回がはじめて。
会場近くのパスタ屋さんで、お互いの仕事の愚痴をこぼしつつ、アニメの展開への考察や、推しキャストさんに対しての気持ちを語り合いました。

うきうきした気分で座席に座ると、とても女性のお客さんが多い!
開場前から座席からいい匂いが漂っていたことを小声で報告させてください。
本来「男性向け」ということを運営会社から意図されている当作品らしいですが、他の日程の公演に行った仲間内でも、女性の観客の方がとても多い、とのことを書き込んでいる方が多かったです。

運命の続き

今年の9月まで放送されていたアニメ版は、
主人公の愛城華恋が12年前に『同じ舞台の上に立つ』と約束をした幼馴染の神楽ひかりと手を取り合い、同級生と『トップスタァ』の座を目指し、級友たちと可愛い外見にはらしからぬ激しいバトルを繰り広げる物語です。

12年ぶりに約束の場所『東京』で再会し、
様々な困難を乗り越え、同じ舞台に立つことができた『ふたり』。

本来、彼女たちが演じる『スタァライト』という物語は、
代々悲劇として伝わる脚本。
ところが9人のさまざまな葛藤、笑顔、そしてキラめきが。
次なる結末を導いていきます。

いままで英国に留学し、離れ離れになりながらも同じ夢を追うことを誓ったひかりと、ふたりで目指した学園祭の舞台を演じられることを信じ続ける華恋。
今作品の大きな基軸として描かれるふたりの関係性と、
九十九期生の絆の物語がアニメ版スタァライトです。

今回の公演は、アニメ版の「続き」として描かれていきます。

「スタァライト」を奪おうとする者

来年の学園祭の公演への意気込みを見せる九十九期生の一同。
キャストさんの迫力のある演技に加え、
アニメの絵柄のプロジェクションマッピングを使用した、「口上」。
次なる舞台への意気込みを、迫力のある歌唱や、コミカルにダンスしながら思い思いに表現します。

個性豊かな級友たちが自分をアピールする中、「ひかりと二人でスタァになる」という、幼い頃からの夢を叶えられた華恋は、次の文化祭の公演への見通しを立てられずいた。

そんな日々の中、ライバル校の青嵐音楽学校から、
彼女たちの演じた演目「スタァライト」を奪おうと目論んでいる4人が、「交流授業」という形で、9人の前に現れます。

アニメも顔負け!激しいバトル
※ネタバレを多く含むのでやんわり書きます

この項で描く「バトル」とは、歌唱、ダンス、殺陣。
3つの要素を組み合わせた舞踏のことを指します。

それぞれ育て上げてきた「キラめき」を奪われないように、決死で戦う9人。
小春、氷雨、涼。そして教師の八雲。
敵陣の培ってきたスキルや過去の確執に心を乱されて、雲行きは難航。
自分の信頼していた相棒が負け、そして、予測できないような裏切り……。
9人が築き上げてきた「絆の舞台」を、激しくかき乱していきます。

数々のレヴューの中でも、
まひる(岩田晴葵さん)・ひかり(三森すずこさん)VS涼(佃井皆美さん)のシーンが筆者の心の中に残っています。

夏の青空に染まったホリゾントの向こう側に、まひると涼の思い出が霞む。
まひるのラブ・ジャッチメント(通称まひる棒)が少しだけ戸惑いを見せて。

激しいアクションの中でも、キャストさん三人の仕草や表情を見つめると、
細やかな心情が伝わってきました。

あの夏の日。中学生の頃のまひると涼は、夢を誓い合った。
そして、高校生になり別々の場所でそれぞれの夢を追う今。
ふたりの執念が激しくぶつかり合います。

迫力のある劇伴や、セミの鳴き声も功を奏して、
秋の肌寒さを吹き飛ばしたようにも思えてきます。
この場面で上手側でバトンを振っていたコロシ(馬場莉乃さん)の、
洗練されたバトン裁きにも圧巻しました。

群青

青嵐の脅威に圧倒された8人。
舞台の中心で残された主人公の華恋は立ち尽くします。
そして、戸惑う華恋を除いた9人の仲間+3人の敵陣、計11人での「群青」の歌唱。
これまで九十九期生もとい、キャストさんで編成されるスタァライト九九組は、これまでにアニソン、ポップス、ボノサバなどの様々な曲調を歌い上げてきました。
この曲は一転変わって、「This is 戯曲」といった雰囲気。
(どことなく、宝塚歌劇団ぽい……)

演技、歌唱、ダンス、殺陣。
スタァライトという濃厚なエンターテイメントの色に包まれて、
どこか混濁した気持ちで舞台を見つめていた私。
11人の「群青!」の声に合わせて、舞台全体の空気がきりり、と引き締まりました。


その瞬間、

「あぁ、私は今『お芝居』を観ているのだ」
という、一種の目覚めのようなものを促すカタルシスが、身体中をぐるりと循環しました。
これこそが「舞台が魅せる感動」というものなのだなぁ、としみじみしていました。

主人公・愛城華恋

「見ているものにドラマを与えることは使命」
走駝先生から、この一言を投げかけられた華恋。
この一説は、劇中の華恋や華恋を演じる小山百代さんや、そして舞台に立つ役者さんだけでなく。
「感動をつくる仕事」に就いている方々、みなさんに課されているものだと考えられます。
スタァライトという今回の公演だけでも、
制作会社の方々、脚本家さん、作詞家さん、音響・照明さん、舞台装置や大道具小道具を作られている方々。
この舞台に関わる全ての方々が、この目標を抱えて日々思い悩みながらお仕事をされているのだと私は考えています。

今まで舞台少女たちが、敵、仲間たち、そして自分自身に。
問いかけ続けていた命題は、すべてこの言葉に集約されています。

その言葉を耳にして、心を奮起した華恋は。
背筋を伸ばし、しゃんと胸を張って。

他ならぬ主人公として、舞台の頂点に降り立ちます。

舞台少女たちの足音

歌唱や演技は、映像の世界の中で完結します。
それでは「足音」は、どうでしょうか?
「足音」を感じられるのが、『舞台』ならではの醍醐味だと思います。

今回の公演のリード曲、「99 ILLUSOIN!!」
前回の#1公演から成長し、新しい舞台を作り上げようと、
奔走する彼女たちのさわやかなアップチューンです。

耳の中で、「音楽」「歌声」以外の何かが聞こえる。
前の座席だったので、わずかな振動も合わさって。
その聞きなれない音の正体は、12人分の「足音」でした。

会場に来た観客のみなさんの「感動」の中心に、彼女たちは集まります。
今回の公演まで必死に努力してきた、それぞれの足音を立てながら。

”声優”、”アイドル”、”役者”、”女優”などの、定義があいまいになっているこの時代に、ただ大きな舞台に立ち、演技をするだけでも大変なことであるはずなのに。
”演技”、”歌唱”、”アクション”を、全て颯爽にこなし、それらどの枠にも閉じ込められない彼女たちは、まさしく「舞台少女」なのです。

 まとめ


正直に言いますと、「2、5次元作品」にこんなにのめり込んでしまうとは思いませんでした。
今作品は「アニメ版で声を当てている声優」と「舞台の上で演じる役者」が
一緒であることが最大の特色であり、「ひとりのキャラクター」に、長く・様々な側面を通して向き合うからこそ、深みのある演技や、感情を最大限に発揮した歌唱・ダンスができるのかと思います。
ライブパートでの歌唱力の高さはもちろん、
歌唱していないときの細やかな仕草や仲間たちの絡みも可愛らしかった……。
この作品を「ちょっと気になるな」と感じている方にも、
「まずは舞台を!」と言いたくなるくらい、言語化することが難しいほど素晴らしい公演でした。

すべこべ言ってきましたが、どうかどうか……。
少女✩歌劇レヴュースタァライトをよろしくお願いいたします。




※来年の7月にこの公演の再演が決まったようです!
場所は浦安の舞浜アンフィシアター。
この記事を読んで興味を持っていただいた方々も、
今回観に行くことができなかったみなさんも。
是非是非、見に行きましょう!!!!
キャストさんの皆さんが、どうかお怪我をせず、笑顔で公演を迎えられるように、ささやかながらお祈りしております。

#少女歌劇レヴュースタァライト #スタァライト # #2Transition  

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