9月14日は「コスモスの日」
秋桜と書いて、コスモスと呼んだ。
「秋山秋桜」それが彼女の名前だ。
一人の名前の中に、秋が二回も出てくるというのは、かなり珍しい状況だと思うし、秋以外の漢字も山と桜なのでどうしても自然的なナチュラルな女性なのかと勝手に想像してしまう。事実かどうかは僕はコメントできないが。
秋山さんは下の名前の「コスモス」と呼ばれるのが好きではない。
彼女の友達たちはみんな「コスモス」はかわいいとか、素敵な名前とか言ってたけれども、本人はまったく気に入っていないようで、下の名前で呼ばず、秋山さんと呼んでと言っていた。
「コスモス」口に出してみると、「モスモス」のようになんだが少しもごもごした感じがする。詰まった感じと言ってもいい。その「コスモス」という響きを僕は好きだった。それが花の名前だと知ったのは、幼稚園で彼女と出会ってから少し経ってからだった。
小学校中学年と同じクラスになったり、ならなかったりで、同じクラスになったとしても彼女のことは「秋山さん」と呼んだ。間違っても「コスモス」とは呼ばなかった。いいのに「コスモス」
僕が「秋山さん」のことを最後に「コスモス」と呼んだのはいつだっただろう。幼稚園か少なくとも小学校の低学年のはずだ。
「コスモス」はその昔、自分の名前が嫌いだと僕に言った。僕はその時なんて返したか覚えていないが、ぼーっとした子供だったので気の利いたことは言っていないだろう。でも、「コスモス」って素敵な名前だよと言ってあげていれば、もしかしたら彼女は今頃、周りの友達から「コスモス」と呼ばれていたかもしれない。
そう思いながら今日も「秋山さん」と呼んだ。
9月14日は「コスモスの日」