【夏の連続厚顔無恥小説】第1回「献血は〇〇〇の味」
献血にはじめて行くのに持っていくものはなんだろうかと考えてみた。血を取るという事は、レバーか。
生のレバー片手に献血ルームに行ったら、献血ルームのスタッフの方は大変に困るだろう。
「あの……そちらは?」
「あ、これはレバーです。生の」
「えーっと、ちょっと献血ルームの中にはお持ちいただけないですね。衛生的に」
「……衛生的に」
献血ルームのスタッフの方を困らせるのはやめよう。
そうか。持つのがダメなら、レバーを食べながら献血すれば血を与えながら自ら補給できる。などどいうどうしょうもないことを考えながら献血をしていると、
「あー珍しいですね」とスタッフの方が言った。
血液型が珍しくて、事故にあった時の輸血が大変というニュースを見たことがあった。そういうことかな?
「ポン酢です」
あ、いえレバーにはニンニク醤油派です、私。
「珍しいですね。最近の若い方はファンタグレープとかが多いんですが、ポン酢ですね。血液が」
私の血液はポン酢です。これは中学一年生のニューホライズンの英語の例文ではない。
どうやら私の血液はポン酢のようで、いままで25年間生きてきてその事実をはじめて知ったのだった。
そうか、ポン酢か。なぜかファンタグレープです。と言われるよりも……
少し安心した自分がいる。
8月21日は「献血の日」
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「そういえば、さっきから献血ルームのテレビでは、アナウンサーがなにやら大声で実況しているな。事件でもあったのかな?」
→【夏の連続厚顔無恥小説】第2回「金色のあの子は困り顔」
「あ、あそこの棚に並んでいるのは、献血が終わった人が好きに食べていいお菓子だ。あ、僕の好きなアレがあるぞ!」
→【夏の連続厚顔無恥小説】第3回「食べ始めると結局一袋です」