4月2日は「図書館開設記念日」
ここは一冊図書館です。この一畳しかない狭いスペースが図書館です。
部屋というよりかは茶室のような空間に木箱があります。この箱には開けた本人が過去から現在までに一番欲しいと思いながらも、どうしても手元に置いておくことができなかった本が入っています。そしてその本は2週間だけ貸し出しができます。ただし、必ず返却してください。当たり前ですが次の人が借りられなくなります。ここは一冊図書館です。
そう案内された東大の偉い教授は緊張していた。目の前には木箱。まるで浦島太郎じゃないかと思いながら、いったいどんな本が入っているのかワクワクした。あの時手に入らなかった有名な歴史の本か。はたまた海外で見たあの高額な本か。
ゆっくりと木箱のふたに手をかけ、持ち上げた。中から煙はもちろん出てこなかったが、そこには一冊の本が置いてあった。
「先生、何読んでいるんですか?」
教授はその真っ赤な本の表紙を学生に見せた。表紙には男の子とクマの子が向かい合う絵が描かれていた。
ここは一冊図書館です。2週間の返却期限を必ず守りましょう。
4月2日は「図書館開設記念日」