10月24日は「文鳥の日」
きゅうちゃんがいない。きゅうちゃんとは漢字で九ちゃんと書く。そのきゅうちゃんがいない。鳥かごにも部屋の中のどこにもいなかった。
「きゅうちゃん、きゅうちゃん」と呼び、きゅうちゃんの姿を探した。きゅうちゃんは白い体の文鳥で、口ばしは赤い。
去年、同棲相手が急にペットショップから買ってきて、家族に加わることになった。まぁ家族とはいえ不安定な同棲カップルに文鳥が加わっただけで、果たして家族と呼べるのかは不明なところだ。
今年になり、同棲相手はこの家を去った。その時きゅうちゃんをどうするか。という問題が発生したが、きゅうちゃんのことよりも多くの問題が発生していた為、一時的にきゅうちゃんの存在は忘れられた。そして、きゅうちゃんは我が家に残された。
そうして今日。きゅうちゃんの姿が見えなくなった。窓は閉まっていたし、外に飛んで行ってしまったとは考えにくいが、きゅうちゃんを探すのに疲れて、椅子に腰かけ、外をなんとなく眺めた。冬の空は空気が乾燥して澄んでいた。きゅうちゃんはどこへ行ったのか。この部屋から出て行ったなら、同棲相手と同じかと可笑しくなった。エサが足りなかったかい? と思った。
10月24日は「文鳥の日」