6月27日は「日照権の日」
あの高い煙突たちを破壊しよう。
「また煙突ができた」
「煙突で太陽がさえぎられて、畑に光があたらない」
「いったいどうすればいいの。煙突は増えるばかりよ」
僕が住む村では農業で生計を立てている人がほとんどだ。昔からの土地で豊かな湧き水を使って、多くの畑を皆で管理している。
しかし、最近村の近くに高い煙突が立つようになり、そこから白い煙がもくもくと毎日立ち上っていた。その煙突により村には太陽の光が当たらなくなっていた。
日ごとに増える煙突に、最初のころは珍しがって近くまで見に行っていたが、煙突の立つ地域一体は柵で覆われていて間近で見ることはできなかった。
なんとかしないと。
増える煙突に、僕は一つの答えを出そうとしていた。
昔、祖父は村の炭鉱で働いていた。その炭鉱はもう閉鎖されてしまったが、祖父は家の倉庫に様々な物を残した。
ヘルメット、ツルハシ……そしてこれだ。
村中が寝静まったある夜。僕は村を抜け出してあの煙突に向かう。
辺りを警戒しながら柵を乗り越える。柵の外側にも、内側にも見たことがない三つの葉っぱを広げたようなマークがそこかしこに貼ってあった。
誰もいないのか異様なほど静かで、あっという間に煙突に近づくことができた。僕はそこで背負ってきたリュックから、あれを取り出す。
祖父が炭鉱で使っていた爆薬だ。
僕はそれを煙突に順番にセットしていった。
そしてすべての煙突にセットし終えると起爆スイッチを……。
6月27日は「日照権の日」
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