【夏の連続厚顔無恥小説】第4回「あなたが一番だましやすい人は、あなた自身」
前回のおはなし
さて、帰ろうかなと隣の献血ブースを見ると、眉間にしわを寄せて、難しそうな顔のおじいさんが一言、言った。
「ポンペイ最後の日はもう間近。君はどうするの?」
あれ、これなんかのヤバい勧誘かと思った。うーん、まずいなどう考えても僕の目を見て言ってるね。
「あの、すみませんポンペイ最後の日ってなんですか?」
「君は今、自分の血液がポン酢であることに少なからずショックを受けているね」
うそー、忘れかけていたのに思い出しちゃったよ! それに質問には答えてくれない系のご老人なんだね。
「そうですね……まさか自分の血液がポン酢だったなんて、それに献血しても意味がないんじゃないかと思っています」
「うんうん、つまりだリットンの名言を借りればだ『あなたが一番だましやすい人は、あなた自身だ』ということだね」
「えーっと、え?」
「ポン酢の血液を持った若者に幸あれ!」
大声でそう言われて、なんだかよく分からないが僕はグローカスの気分で街に出た。
8月24日は「ポンペイ最後の日」
次のおはなし
タクシーって知らない人の車に乗せてもらっていると思うと、なんだか不思議な気分になるよね。さーて、次回のおはなしは〜
→ 【夏の連続厚顔無恥小説】第5回「タクシーの運転手さんの、いやー新人なものでナビ使ってもいいですか? の答えはダメです」