【夏の連続厚顔無恥小説】第3回「食べ始めると結局一袋です」
前回のおはなし
「はい、お疲れ様でした。以上で献血終わりですよ」
ふぅ、誰が献血で使うのか、よく考えたら不明なポン酢の献血が無事に終わり、僕は献血途中から目を付けていた棚に向かうことにした。
その棚にはこの世のお菓子ほぼ全てが並んでいると言うと、少々大袈裟なのでこの世のお菓子の6割ほどが並んでいる天国と言うと、少々大袈裟なので、まぁまぁな場末のそれなりなキャバクラという具合の天国だった。
そして、そこには僕の大好きなポテトチップスがあり、早速不足したポン酢の分を取り戻そうと、一袋取ろうとした時、
「あ、ごめんなさね。ポテトチップスは純粋な血液を献血した方しか差し上げてないんですよ。あなたは確かポン酢よね。ポン酢の方ははい、どうぞ」
「はい、どうも」と僕の手にあったのは、よっちゃんイカだった。
こんなところでまさかの差別! 僕は一生懸命にポン酢を提供したのに、それなのにそれなのに!
怒りを抑えきれず、よっちゃんを激しく開封し、一口食べてみる。
あぁ、なんだろうこの不足したポン酢の分を補ってくれている感覚は。これで正解だったのかもしてない、いやこれが正解だったのかもしれない。
ポテトチップスなんてついつい、ミヤネ屋見ながら一袋食べてしまうし、手に着いた塩気と油をどうすればいいか分からなくなるしで大変だ。
ありがとう、よっちゃん、スマートな君だね。
僕はよっちゃん片手に献血ルームを後にした。
8月23日は「湖池屋ポテトチップスの日」
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献血ルームからの帰り、タクシーに乗り込んだ僕を待っていたのは……
→【夏の連続厚顔無恥小説】第5回「タクシーの運転手さんの、いやー新人なものでナビ使ってもいいですか? の答えはダメです」
よっちゃんを持っていただけなのに、トホホ……男はつらいよ。
→【夏の連続厚顔無恥小説】第7回「よっちゃんと不良とそれからと」8/27をお楽しみに