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7月4日は「シーザーサラダの日」

「じいや、あれがないぞ」

「は、申し訳ございません。すぐにご準備いたします」

慌てるじいやは急いで厨房に向かった。

「おい、シェフはおるか!」

厨房の奥からシェフが出てきた。

「はい、なんでしょうか。何か王様のお食事に問題でも?」

「おい、シェフ! なぜこの前出したあのドレッシングを出さないのだ! 王様は大変あれがお気に召したと伝えたであろう? すぐに用意するのだ」

困った顔のシェフは言う「王様があまりにも野菜を食べないとお聞きしましたので、この前は仕方なくドレッシングを出しましたが……あまりおすすめできないのです」

「なぜすすめられない? 理由を申してみよ」

「はい」そういうと、シェフは話し始めた。

自分はこの島の外から来た人間であること。そして、この島の周りはほとんど、とある国により支配され、その支配は近い将来必ずこの平和な島にも訪れるということ。

そしてその国で流行っているのがあの白いドレッシングであった。苦肉の策でレシピを知っていたあのドレッシングを作りこの島の王様に出してしまったのだ。その名も「Caesar salad」侵略国の帝王が好きなドレッシングをかけたサラダだから「シーザーサラダ」と言う。

「迂闊でした」と反省するシェフ。

「何か他のドレッシングを作れないか?」黙ってはなしを聞いていたじいやは聞いた。

「はい、実はかねてより考えていたレシピがあります。それを試させてください」そう言うとシェフはドレッシング作りをはじめた。

「王様お待たせしました」

できたドレッシングを持ってくるじいやに、王様は

「これ、じいや。この前のドレッシングとは色が違うではないか?」

「はい、王様。これはシェフが考案した我が島オリジナルのドレッシングです」

「ほー、オリジナルドレッシングと申すか。色もこの前の白と違い、オレンジ色で綺麗だな。どれどれ……」

「うん! うまいぞ! これは気に入った!」王様はそのドレッシングをいたく気に入りその後、島の名前を取って、

「このドレッシングは『サウザンドアイランドドレッシング』とする! と島中に広めた」

明るく平和で陽気な人たちの島で生まれたドレッシングだ。

7月4日は「シーザーサラダの日」


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