10月17日は「沖縄そばの日」
お隣さんはシーサーさんだが、夏川りみかニルヴァーナを聴いているのだろうかという勝手な想像で頭が一杯になるここは小生の部屋。
先日引っ越しのご挨拶にわざわざ、シーサーさんはちんすこうを持ってきてくれ、ぱさつきながらもその日のうちに二つほどいただいた。小生、人生ではじめてのちんすこうなもので、まさかここまで口の中の水分が持っていかれるという事実をはじめて知り、砂漠化した土地はこのようにして干からびていくのかと遠く異国の現状を口の中に感じた夕方だった。
数日後の雨のある日、珍しくお隣の部屋から音楽が聞こえた。ほぉほーついに涙そうそうが来たかと思ったが、小生の知らない沖縄っぽい民謡なのか、三線の音も聞こえる。やはり、沖縄のシーサーさんだけのことはある。きっと踊りながら狭い四畳半は、ざわわ……ざわわ……状態であろう。
しばらくすると、小生の部屋のドアがノックされた。それはシーサーさんのノックとすぐに分かった。(詳細は以前のおはなしを読んでね)
ドアを開けるとそこにはやはりシーサーさんが立っていて、手にはどんぶりがあった。湯気がたちのぼるどんぶりは何かのコマーシャルを彷彿させ、シーサーさんが持っていることでさらなる沖縄のコマーシャル感がアップした。
「作りすぎたもので、よかったらどうぞ」と、どんぶりを渡してくるシーサーさんに、小生は何ですか? とも聞けずに黙って受け取った。
「沖縄そばです。おいしいですよ」とシーサーさんは得意げ。
さて、小生沖縄には詳しくないが、ちんすこうそして、この沖縄そばの存在は知っていた。これが沖縄そば。なんだかいい匂いがする。
「いや、大好きな沖縄民謡を歌いながら作っていましたら、作りすぎてしまいました」そう言って、恥ずかしそうにシーサーさんは隣の部屋に戻って行った。
沖縄そばは作りすぎるものなのか。小生には分からない。
小生は手に託された沖縄そばと対峙しながら、食べ終わったらこのどんぶりをシーサーさんの部屋すなわち隣の部屋に戻しに行くんだよな。そうしたらシーサーさんがどんな部屋に住んでいるか少し覗けるな。などどシーサーさんの部屋を想像していると少し沖縄そばは、少し冷めた。
10月17日は「沖縄そばの日」
シーサーさんとの出会いの話
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