【夏の連続厚顔無恥小説】第2回「金色のあの子は困り顔」
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献血ルームのテレビでは、名古屋城の様子が中継されていた。
「えー、みなさんご覧ください。こちらは名古屋城の上空です。今まさに向かって右側のしゃちほこが飛び降りようとしています」
僕は冷静に考えたらポン酢の血液をいったい誰が輸血で使うのかな? と思いながらも献血に励んでいた。そこに飛び込んできた仰天ニュース!
きっと金のしゃちほこも365日毎日お互いを見つめあっているから、嫌になっちゃったんだよね。毎日視線のレーザービーム出まくりだもんね、郷ひろみ風に言えばさ。
金のしゃちほこってオスとメスなのかな? どうなのかな、だったらさやっぱり仲のいい夫婦だって毎日面と向かって、
「君に今日の輝き素敵だね」とか「今日は一段と輝いているね」とか言ってたら三日で嫌になりそうだもんね。
でもさ、飛び降りたら結構痛いと思うよ。いくら金のしゃちほこでもね。ダメージ大きいよ、きっと。なんかのパーツ取れるよ。
そうだ、金のしゃちほこのさ、向き変えようよ。そうすれば少しは解決するよね。
「はい、お疲れ様でした。以上で献血終わりですよ」
スタッフの方の声がして、僕の献血は終わった。
中継はまだ続いていた。
8月22日は「金シャチの日」
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「無事に献血を終えた僕。ふと隣の献血ブースから声がかかり……」
→【夏の連続厚顔無恥小説】第4回「あなたが一番だましやすい人は、あなた自身」
「良いことをした後は気分がいい。ちょいと遊びにでも出かけようかとタクシーに乗り込むと、行先はなぜだか虹の橋」
→【夏の連続厚顔無恥小説】第6回「虹の橋はどこまでが虹?」8/26をお楽しみに