4月28日は「象の日」
別に自分から触りたかったわけではなかったが、学校生活の最大の嫌なところである順番に一人ずつ触るというシステムで僕だけ、いいですというわけにはいかなかった。
そして触る。右手で触った。今まで生きてきたなかではじめての感触で、触った瞬間終わったと思った。僕は1秒でも早く手を洗いたかった。そうしないとこの感触が一生残ると思った。しかし、そんなことは許されず、象の皮膚を触った子からまたきちんと列に並ばなくてはならず、すぐに手を洗うことは不可能だった。あの時すぐに手を洗っていれば、その後の僕の人生は変わっていただろうか。
僕はその後の人生、右手で触るものすべて象の皮膚と比較するようになってしまった。やわらかいタオルでも、硬い食器でも、なにを触っても象の皮膚より硬いか、やわらかいか、ザラザラしているかどうか。
象の皮膚は、僕の感触を完全に支配していた。
今もこれからもずっと。
4月28日は「象の日」